「サイトへのアクセス数は増えているのに売り上げが伸びない…」
そういった場合は、もしかすると「カゴ落ち」が起こっているのかもしれません。
ECサイトの売上を伸ばす上で避けては通れないカゴ落ち対策。
この記事では、カゴ落ちについての基本的な知識や、カゴ落ちが起きてしまう原因とその対策方法について解説していきます。
カゴ落ちとは
「カゴ落ち」とは、ECサイトを訪れたユーザーが買い物カゴに商品を入れたのにそのまま離脱してしまうことを指します。
カート落ちやカート放棄とも呼ばれています。
買い物カゴに商品を入れるほどに購入意欲のあったユーザーが離脱してしまうのは非常に勿体ないことです。
カゴ落ちの対策は売り上げに直結する要素ですので、ぜひ対策を取りましょう。
カゴ落ち率の平均値
カゴ落ち対策を考える前に、ECサイト全体ではどれくらいカゴ落ちが起こっているかを知れば、自身のECサイトがどれくらいの熱量でカゴ落ち対策に取り組むべきかも分かってきます。
デンマークの企業Baymard Instituteの調査によれば、ECサイトの平均カゴ落ち率は69.80%とのことです。
また株式会社イー・エージェンシーはカゴ落ち率は約68%だったという調査結果を出しているため、およそ7割ほどが平均値だと考えて問題ないでしょう。
つまり100万円分の商品がカゴに入っていたとしても、そのうち売れているのは約30万円分だけ。
ネットショップは売上の2.4倍近い機会損失をしているということになります。
カゴ落ちの改善がネットショップの売上に繋がる理由がお分かりいただけたかと思います。
では、そもそもカゴ落ちは何故起こってしまうのか、その原因から説明していきます。
カゴ落ちの原因と改善策
カゴ落ちの原因は一つではありません。
Baymard Instituteが調査したカゴ落ちの原因を、日本語に訳してまとめた表がこちらです。
https://baymard.com/lists/cart-abandonment-rate
こちらは表にも載せている通りアメリカのECサイトについての調査ですので、日本とは事情が異なる点もありますが、それでも日本のECサイトのカゴ落ち対策と通ずる部分はあります。
これら11種類の原因ごとに対策を取れば、カゴ落ち率は確実に下げられると言っていいでしょう。
カゴ落ち率改善の基本
まずは基本を押さえておきましょう。カゴ落ち率改善の基本は、ユーザーのネガティブな感情を無くすことです。
例えば、
「アカウント登録が複雑で面倒くさい」「このサイトに決済情報を入力しても大丈夫だろうか」「サイトのレスポンスが遅くてイライラする」……
といった気持ちが起こらないような、スムーズに決済できるECサイトにすればカゴ落ち率を減らすことが出来ます。
では早速、カゴ落ちしてしまう原因とそれぞれの改善策について解説していきます。
1.ただサイトを見ていただけ/買う準備が出来ていなかった
カゴ落ちの理由として最も多く挙げられたものがこちらです。
ユーザーの中にはカゴをブックマーク機能として利用する方や品薄の商品を確保するために使っている方も居て、そういったユーザーはほとんどこの理由で離脱してしまいます。
しかしサイトや商品への関心を持っている状態ではありますので、再訪や実際の購入に繋げられる可能性はかなり高いと言えます。
リマーケティング広告を利用して、繰り返しユーザーの興味を惹きましょう。
時間が経てば経つほど記憶からは薄れてしまいますので、早い段階でカゴ落ちに対するフォローメールを送るのも有効です。
実はフォローメールは約45%の消費者が開封しており、7%のユーザーが購入まで進んでいるという調査結果があるため、入れておいて損のない施策だと言えるでしょう。
また、カゴの中に商品がある状態でサイトを離脱しようとするとポップアップが表示されるようにするといった、そもそもサイトからの離脱を防ぐ対策方法もあります。
2.追加費用が高すぎた(配送料、消費税、手数料)
ユーザーはこちらが思っている以上に追加料金を気にしています。
消費者の内なんと73%が購入を決める際に送料無料が重要だと答えているという調査結果もあるほどです。
商品の価格を見て購入を決めたのに、送料や手数料が上乗せされた合計金額を見れば買う気が薄れてしまう…というのは考えれば当然のことかもしれません。
理想的な対策は、送料を無料にするなど追加費用を極力減らすことですが、売上との兼ね合いもあるためそう簡単には出来ないのが実情です。
サイト上に送料や手数料について事前に記載しておくことで、いざ決済というときに追加料金を突然上乗せされたような気持ちになるのを抑えられます。
表示する場所は「カートに入れる」ボタンの近くなど目につきやすい場所がオススメです。
あらかじめ送料込みの商品代金を設定し、送料無料と表示するのも有効です。
3.アカウントを作る必要があった
ECサイトではお互いに顔が見えない状態で取引が行われます。
そのためECサイトに個人情報を預けることに抵抗があるユーザーも少なくありません。
その中で、購入時に必ずアカウント作成が必要となると、心理的ハードルを感じてしまうことがあります。
また後ろに「購入フローが長かった/複雑だった」という理由があるように、アカウント登録の手間を煩雑だと感じて離脱してしまうユーザーも存在します。
会員登録なしで購入できるようにするのはもちろん、会員登録の手順をシンプルにすること、そもそも会員登録をしても大丈夫そうだと思わせる信頼感あるサイトにすることが大切です。
4.配送に時間がかかりすぎた
この理由については、フロント業務でなくバックエンドとの連携も必要になってきます。
まずは注文から発送までをスムーズに行えるように在庫管理システムを整えましょう。
配送を信頼できる業者に依頼することも大切です。
どうしても配送に時間がかかってしまう場合は、正確な配送状況が確認できる追跡番号を伝えたり、細かく配送状況を告知したりすることでユーザーの不信感や不安を軽減することが出来ます。
5.購入フローが長かった/複雑だった
商品の購入に至るまでに、ページを跨ぐごとにユーザーの買いたい気持ちはどんどんすり減っていきます。
商品をレジに持っていき会計を済ませれば購入できる現実の購買と同じように、ECサイトでの購入もシンプルにしなければいけません。
入力ページのデザインを分かりやすくするのは当然、入力フォームをまとめたり必須入力項目を減らしたりしてページの数や長さを削減したり、Amazon Payなどの決済方法を導入して入力の手間を省いたりして、ユーザーが購入までにかかる時間を少なくするよう心がけましょう。
また、見落としがちなのがスマートフォンからの購入フローの簡略化です。
現代においてスマホユーザーは増え続けており、スマホからの購入がしづらいECサイトはそれだけ多くのユーザーを離脱させてしまっていると言えます。
購入ページだけでなく、ECサイト全体がスマホからでも見やすいかどうか今一度確認しておきましょう。
6.クレジットカード情報を預けられるほど信用できなかった
「アカウントを作る必要があった」の項目で説明した通り、ユーザーはそのECサイトを信用して個人情報を預けて良いのかどうかを疑っており、クレジットカード情報の扱いには特に慎重に考えています。
そんなユーザーの不安を無くす方法と安心させる方法のどちらもを重視し採用することで、この離脱理由は対策できます。
ECサイトがユーザーに与える不安とは、主にメンテナンス不足やセキュリティに由来するものです。
例えば、リンクミスやリンク切れが多かったり、SSL通信で保護されていなかったりするサイトは、顧客の情報も雑に扱っているのではないかと疑われてしまいます。
サイト内を問題なく巡回できるかは定期的に確認し、SSLサーバ証明書や常時SSL対応などセキュリティ対策への取り組みをサイト上で表示して、ユーザーに安心してもらえるよう心がけましょう。
そしてユーザーを安心させる方法ですが、””ユーザーの知っているもの””を見せることが有効だと言われています。
こちらのサイトで行われた海外での調査によれば、
https://econsultancy.com/which-e-commerce-trustmarks-are-most-effective/
人々によく知られているMcAfee、Verisign、Paypalのマークが特に強い安心感を与える効果があったとされています。
またランディングページの中に対応しているクレジットカードのロゴを掲載することで売上がアップしたという事例もあります。
ECサイトにはトラストマークやユーザーによく知られているロゴを見えやすい位置に配置するようにしましょう。
7.事前に合計金額が分からなかった/計算できなかった
「追加費用が高すぎた」と似たカゴ落ちの理由です。
買い物カゴに商品を入れた時点で送料などを含めた合計金額が表示されるようにするなど、ユーザーが払うべき金額を早い段階で把握できるようにすれば解決することが出来ます。
8.サイト内でエラーが出た
入力中にエラーが出た、または画面が白いまま固まってしまって、そのまま面倒になって離脱した…という理由です。
入力フォームのエラーは、可能であれば入力が終わった段階で表示するようにしましょう。
フォームの真横など分かりやすい場所に出した上で、どこが間違っているのか分かりやすいテキストも必要です。
何度も同じエラーが起こるようならフォームそのものを改良すべきかもしれません。
また、ECサイトでは、読み込み時間が0.5秒長くなるだけでコンバージョン率が7%悪化するとも言われています。
「Google PageSpeed Insights」や「GTMetrix」といったツールを利用すれば、ECサイトの速度に問題が無いかを分析できます。
ページの速度はSEOにも関わってくる部分です。
速度の測定だけでなく改善すべきポイントを教えてもらえるますので、しっかり改善しましょう。
9.返品規則が満足できるものではなかった
特にアパレルで起こりやすい離脱の原因です。
ECサイトでは商品を直接確認して購入できないため、返品の規則がきちんと定まっていないと「もしかして詐欺ではないか?」と疑われてしまうことも少なくありません。
返品の条件を明確に記載することは必須だと言えるでしょう。
その上で、ECサイトのフッターから返品について書かれたページに飛べるようにしておくとよりユーザーフレンドリーになります。
10.利用したい決済手段が無かった
SB Payment Serviceの調査によれば、普段利用している支払方法に対応していなかった場合、60%以上のユーザーが「他のネットショップで購入する」と回答しています。
最も利用されている支払い方法はクレジットカード払い、次いでコンビニ払い、現金代引きと続いています。最低でもこの3つには対応しておきましょう。
また、Amazon Payなどのキャッシュレス決済手段を導入しておけば、購入時に入力する情報が減らせるため「購入フローが長かった」と感じてのカゴ落ちにも対応することが出来ますので、一石二鳥だと言えます。
11.クレジットカードが拒否された
カード番号の入力ミスや通信環境によってクレジットカード決済が拒否される場合もあります。
この場合、決済方法がクレジットカード払いのみだと商品が購入できずユーザーを離脱させてしまいます。
クレジットカード払い以外にもコンビニ払いや現金代引き、キャッシュレス決済など複数の決済方法を用意しておくことで対策が出来るでしょう。
疑問や不安が解決できず離脱した
表の中にはありませんが、この理由でカゴ落ちが起こることもあります。
商品そのものや、購入方法についての疑問や不安が解消できなくて購入に踏み切れなかった…というパターンです。
これにはFAQの設置が最も効果的ですが、ただ置くだけでなく見つけやすいようにする必要があります。
商品ページやフッターからすぐにアクセス出来るようにしましょう。
その場で疑問が解消できるようになるチャットボットの導入も有効な対策です。
これは購入後の話になりますが、購入の完了画面に「よくあるお問い合わせ」としてFAQを表示するようにすれば、アフターサポートへの移行もしやすくなりおすすめです。
カゴ落ち対策に役立つツールの紹介
カゴ落ち対策にはECサイトそのものの改善も有効ですが、ツールを導入することでより効果を高められる場合があります。
そもそも何故カゴ落ちが起こっているのかを分析できるもの、離脱時・離脱後のフォローをしてくれるものなど様々なツールがあり、無料で利用できる場合もありますので、是非導入を検討してみてください。
ここでは代表的なものをいくつか紹介します。
分析ツール
カゴ落ちの原因を分析するツールとしては「Google Analytics」が広く使われています。
Google Analyticsの「目標到達プロセス」を設定すれば、買い物カゴからどれくらいのユーザーが会員登録画面に進んだのか、そのうちどれくらいが購入完了まで辿り着いたのか…ということをデータとして蓄積してくれます。
ユーザーが離脱している割合が高いページがあればそこに問題があるのだと突き止められ、サイトを改善する際の役に立ちます。
利便性の高いツールですので是非利用しましょう。
離脱防止ツール
Re:Volver
ユーザーのサイト離脱の気配を察知してバナーを表示してくれる離脱防止ツールです。
使い方がシンプルな点と、マウスカーソルの動きやスクロール率、そのユーザーの訪問回数など様々な要素に応じて違う画像を表示できるカスタマイズ性の高さが魅力です。
ただし表示するバナーによっては広告っぽさが強く出てしまい、逆に胡散臭いと感じられてしまう可能性がありますので、ポップアップする画像の選定は慎重に行うようにしましょう。
Code Marketing Cloud
あらかじめ設定した通りにWebサイト内でユーザーの接客を行ってくれるツールです。
例えば初めてのユーザーなら初回限定のクーポン情報を表示したり、購入する商品のカテゴリが決まっているユーザーには類似商品をレコメンドしたりといった風に、細かく設定すればまるで実店舗で接客を行っているかのような提案をすることが出来ます。
接客テンプレートも用意されていますので、ECサイトの立ち上げが初めてというケースでも全く的外れな設定をしてしまうという心配もありません。
一方で料金プランが公開されていないため、利用を検討したい場合には問い合わせが必要になります。
ある程度ECサイトが軌道に乗ってきたと感じた段階で導入するとより効果的でしょう。
SaleCycle
カゴ落ち直後やカゴ落ちから数日後のユーザーにフォローメールを送信するように設定できます。
また、カゴ落ち対策だけでなく、購入後のお礼やアップセルといったリピート施策としてのメールの設定も用意されています。
さらにどんな商品がカゴ落ちしたのかを確認できる機能もあるため、サイトやページ単位でなく特定の商品について、例えば送料を無料にしたり値下げセールを行ったりといったカゴ落ち対策を行うことが出来るようになります。
しかしこちらも初期導入にかかる費用が明らかにされておらず、特に個人や小規模なECサイト運営をしている場合は敷居の高さを感じるかもしれません。
カートリカバリー
500サイト以上で導入実績のあるツールで、カゴ落ちメールとリマーケティング広告でユーザーの呼び戻しを実現してくれます。
メールはステップメールの形式で配信できるため、経過時間に応じた適切なメッセージを届けることが可能になります。
1人のユーザーに対して、どの商品をカゴ落ちさせたか、どのページで離脱したのか、利用しているデバイスは何かといったあらゆるデータを分かりやすく可視化してくれるため、細かな対策が練りやすくなります。
月額約4万3千円という価格は、規模の小さい、立ち上げたばかりのECサイトでは少し割高だと言えるでしょう。
まとめ
ここまで「カゴ落ち」の原因と対策について解説してきました。
カゴ落ちの対策とはつまり、ユーザーに安心と信頼を与えられるECサイトを作るということです。
そのための改善作業を行っていくうちに、カゴ落ち率の減少だけでなくコンバージョン率の上昇にも繋がっていくはずですので、ECサイトの売上を伸ばしたい場合は積極的にカゴ落ち対策へ取り組んでいきましょう。
サヴァリではより詳しく詳細を詰めておりますので、さらに売上をUPしたい店舗様はサヴァリへご相談くださいませ。