今回ゲスト、株式会社クラシコム 代表取締役社長 青木耕平氏は、
北欧ビンテージ雑貨をEC販売する「北欧、暮らしの道具店」を開業され、
現在は「フィットする暮らし、つくろう。」をミッションにライフカルチャー
プラットフォームとして事業を展開されています。
青木氏に「クラシコムのブランディング」についてお伺いしました!
▽2018年頃スマートフォンやSNSが急拡大した当時既に、プラットフォームへ依存することのリスクを危惧されていたのですね。
SNSがこれ以上革新的に伸びていくという感じはなかったんですよね。
当時ディズニーさんがNetflixやAmazonからコンテンツを引き抜いてDisny+を作ったら、一夜にして億単位の有料課金者が生まれるということが起きたんです。
僕らは絶対に支配されざるを得ないプラットフォームとの関係だと思っていたけれど、ディズニーさんは全部コンテンツ引き上げてウチでやります、みんなここでやって下さいとそう言って今やプラットフォームを脅かすような存在になっている。
これって何なんだろうと思った時に、お客様の頭の中のレイヤーに自分達の価値観や世界観がインストールできているのだと。
つまり頭の中のシェアというところを取っているコンテンツやIP事業者はその下のアプリレイヤーやOSレイヤーのプラットフォーマーの支配を受けないんだなと思いました。
つまり普段使い慣れたAmazonPrimeやNetflixsに無いのなら、Disny+に新たに入会してでも見たいと思っていただけるだけのマインドを勝ち得ることができていたのだと思うんです。
そのためにはちょっとした便利な情報を伝えるためのものやちょっとしたエッセイ、きれいな写真とかではそこまでのマインドセットを作ることは不可能だと。
しっかりとコストをかけ、世界観も完璧に構築に非常に時間をかけたIPと言えるだけのコンテンツを作っているからこそで、我々のライトなコンテンツをSNSに中心に出し続けるだけではああはなれないよねというのが2018年頃の気付きです。
▽なぜドラマ制作をされることになったのですか?
たまたまWebCM作ろうと思って相談に行った先の人と仲良くなりすぎて「クラシコムさんCM作るとか“らしく”ないですよ」「ドラマ作ったほうがいいんじゃないですか」と言われたんです。
自分のビジネスのこと365日24時間考えているから、他人からの提案で一回も考えたことのない提案ってあまりないじゃないですか。
僕にとってドラマって本当にめったに無い一回も考えたことのない提案だったんです。
基本的にはそれが上手く行く行かないに関わらず、一回も考えたことないやつはバジェット的になんとかなるんだったらやると決めているのでとりあえずやりたいと。
そうして今までやった経験とDisny+さんの案件が結びついて、自社で作ってきたコンテンツから一段リッチというか少し種類の違う、お客さんとガッツリ結びつくコンテンツを作っていかなきゃいけないと思いました。
そこでドラマやドキュメンタリーやポッドキャスト、音楽など人の心に強烈に働きかける分野、どちらかと言ったら理性じゃなく感受性に強く働きかけるようなコンテンツを作ろうと。
そのデリバリーする場がYouTubeやポッドキャストあるいはAmazonPrimeなど、SNSじゃないところに少しリソースをかけていこうと2018−2022年に取り組んできて、その達成の一つが映画を作り全国で配給ということになったんです。
▽お客様のマインドレイヤーに価値観や世界観をインストールすることと、まずやってみるという経験がそこで繋がったのですね。
ある本を読んでいた時に、ブランディングじゃなくブランデッドなのであるというその言葉があって本当にその通りだなと。
ブランドを作ろうみたいな感じじゃなくて結果的にブランド化されるエピソードの地層ができているということだと思うんですよ。
ブランドとして育てたいのであれば、ブランドの愛着なりロイヤルティにふさわしいだけの価値あるエピソードがいっぱい必要なんですよね。
何の価値あるエピソードもないものが突然ブランドになることはなくて、例えばルイヴィトンみたいなものがあった時に、どこかの王様が使っていたとかあの女優さんが映画のこのシーンで使っていたとか色んなハイブランドとしてふさわしいエピソードの積み重ねがあるからこその今じゃないですか。
時間をかけてそれだけの価値があるということを証明するエピソードをいっぱい作っていかないといけないんですよね。
自分達のリソースや予算でまかないきれる範囲でコツコツと過去を作っていく、過去に投資するというのを僕らはよく言っています。
このほかにも盛りだくさん、クラシコムのブランディングについて公開しています!
コンテンツ制作やブランディングをご検討中の企業様のご参考になるかと思います!
それでは、青木氏流『EC運営で時代を超えて大切な考え方』、ぜひお楽しみください!
~第167回 ゲスト~
青木耕平氏
株式会社クラシコム
代表取締役社長
1972年生まれ。2006年、実妹である佐藤友子と株式会社クラシコム共同創業。
2007年より北欧ビンテージ雑貨をEC販売する「北欧、暮らしの道具店」を開業。
現在では「フィットする暮らし、つくろう。」をミッションにライフカルチャー
プラットフォームとして、様々な商品を取り扱いながら、日々の暮らしに関する
コラムや映像を制作・配信するとともに、企業へのマーケティング支援を行うなど、
ライフカルチャーにまつわる事業を展開中。