おいしいの基準って?会話が生まれる鶏肉専門のECサイトとは?【episode155】

店長編

今回ゲスト、株式会社須田本店 代表取締役 須田健久氏は、
鶏肉専門店「水郷のとりやさん:須田本店」の4代目です。地元で大切に育てられた「水郷どり」や、鶏の飼育環境にも配慮した運動場付きの鶏舎でのびのび育ったニワトリの放し飼い卵をご提供されています。楽天市場でも数々の賞を受賞されていらっしゃいます。

須田さんに「ECとリアル」について聞いてみました。

▽どういう経緯でECをされているのですか?

私は4代目ですがすぐに家業を継ぐつもりはありませんでした。
大学4年生の時にバードランドという焼き鳥屋に行って衝撃を受けました。
通常の焼き鳥屋のイメージではなく、ワインを片手におしゃれな人たちが焼き鳥を食べている。
それを見た時に焼き鳥には可能性があると思い、新卒で修行させてもらうことになりました。
私の父がやっていたころはまだワンストップショッピングという時代で、いわゆるスーパーのようにソースやお菓子などもおいてあり、そこで焼き鳥や唐揚げも売っている町のお肉屋さんでした。
私がバードランドで修行をしていたころ、父が2001年に楽天市場に出店しました。
田舎町にも大きなスーパーが出始めて、価格競争では勝てず商圏の人口も少なくなり、何か新しいものを始めなければならないというところで、同じ町に豚肉の通販先行事例もありパソコンを買うところから始めて楽天市場に申し込みをしました。
当時はまだ加工品というのが少なかった時期で、生の鶏肉を売っているお店が鶏肉のジャンルでは一番売れていたので、そこを目指してスタートしました。
すでに出店していたお店はうちよりかなり規模の大きいお店で、うちはそこから仕入れているようなイメージですので、仕入元と同じ価格帯ではどうしても利益が出ない苦しい状況が続いていました。
両親もリアルの実店舗をやりながら夜はネットの仕事をする。
注文や問い合わせがあっても日中は返信すらできない。
夜2時3時までネットの仕事をして、6時から実店舗の仕事を始めるという状況が3年くらい続き、私も3年間の修業を終えたのでそのタイミングで家業を継ぎました。

▽帰って、先ず何をしましたか?

3年間、焼き鳥の修行しかしておらずECというものが全く分からなかったので当時父が参加していたECのグループで3ヵ月くらい学ばせてもらい、それから家業に帰りました。
まず最初に数字を見なおしました。
メルマガ読者は結構いたのですが、購入者が少なかったので、一度自分たちの味を知ってもらおうと思い1000円セットを作りました。
もちろん利益は出ないです。最初の一年間は利益よりも売り上げの数字しか見ていなかったので、売り上げ目標は達成しましたが、何も手元に残らないし、従業員の不満も大きくなり、私自身、少し精神的に追い込まれて仕事もできないような時期もあり、何のために仕事をしているのかわからなくなってしまいました。
その後お客様に喜んでもらうのはもちろんだけれど、家族や従業員が幸せになれなければ、商売は続かないと考えるようになりました。

▽実店舗に変化はありましたか?

2004年に家業を継いでからネットは鶏肉の専門店としてやっていて、そこにお客様がついてきてくれていました。
ただ店舗は町のお肉屋さんのままで、通販で買い物したお客様が店に来ると「あれ、なんかちょっと雰囲気違うかな」という。
そのギャップを自分たちも感じていたので、2006年に店舗を改装して「鶏肉専門店」のイメージに合う、鶏肉のみで調味料も地元のものをおく、またそれまではテイクアウトだけだったところをイートインのスペースを作って、鶏肉をすべて満喫できるような場所に店舗を作り直しました。
最初は、地元のお客様からはすこし引かれましたが週末になると東京の方から親子丼を食べに来てくれるお客さんが増えてきて、逆に地元の人にも根付いていきました。
通販を見て来店したお客様とのギャップも減って、相乗効果という部分でもすごくよかったと思います。
プラス、メディアの方からの取材も受けやすくなりました。

▽飲食では「おいしい」という基準が大切ですよね?

皆さんおいしいと言ってくださるのはすごく嬉しいのですが、僕はおいしいの基準をあまり明確にはしていません。
好みは人それぞれで、おいしいに基準を置くと商品を作るときに困ってしまうので、味に関しては、自分が食べておいしい、提供したいと思うものだけにしています。
その代わり、鮮度であったり、目に見えて誰からもわかるものには基準を設けています。
「おいしいです」とはページに書きません。
味の特徴や各商品のコンセプトを伝えます。
例えば12種類の部位の違いを楽しんでもらうことにコンセプトをおいている商品もあります。
焼き鳥屋さんからすれば邪道かと思いますがおいしさは求めず、鶏肉専門店が出す、鶏を一羽丸ごと食べてもらうための焼き鳥です。
会話が生まれる焼き鳥にしたかったのです。
うちのコンセプトは「食卓に笑顔を」なので、鶏肉をどう楽しんでもらえるかを考えて商品開発しています。
そこを目指して商品を作って来ているので、それが分かってもらえるようになると、店舗に来てくださったときも、商品を軸にして会話が生まれたりします。

このほかにも盛りだくさん、ECとリアルについて公開しています!
ECとリアルの両立をご検討中の企業様のご参考になるかと思います!
それでは、須田流『ECとリアル』、ぜひお楽しみください!

~第155回 ゲスト~

須田健久氏
株式会社須田本店
代表取締役

1921年創業の鶏肉専門店「水郷のとりやさん:須田本店」の4代目、
須田健久です。
私たちのモットーは、自慢の鶏肉と卵で「お客様の食卓に笑顔を
お届けすること」。鶏肉専門店なので、鶏肉と卵にはとことんこだわり
ます。
地元で大切に育てられた「水郷どり」や、鶏の飼育環境にも配慮した
運動場付きの鶏舎でのびのび育ったニワトリの放し飼い卵。
その鶏肉と卵で、鶏肉を好きになってくれる人がもっともっと増えるような
商品開発を心がけています。
笑顔溢れる食卓のお手伝いができれば幸せです。

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