ECにおける販売促進イベントの手法と5つの失敗例

ネットショップ開業

ネットショップの販促・プロモーションの方法

「良い商品やサービスを作っていれば自然と売れていく!」
…とは限らないのが現代のEC事情です。

商品を買ってもらうためには、まずはその商品そのものを知ってもらい、商品の魅力を感じてもらい、購入しようと決心してもらう一連のプロセスが無くてはなりません。
「販売促進」とはつまり、この流れを売り手側から引き起こすことです。
この記事では、商品の即売会や会場を借りて行うイベント等を通じた販売促進について解説しています。

そもそも販売促進とは

販売促進とは、売り手が商品の魅力をアピールし、買い手の購買意欲を刺激させるための活動を言います。
例えば広告やキャンペーンが販売促進の最たる例で、その他にも試食やサンプルの試供、ECサイト上でのクーポンの配布といったユーザー側にお得感を感じさせることで買いたい気持ちへと導く手法も含まれます。
インターネット上ではいつでも好きなタイミングで買い物が出来ますので、「今この商品を購入したい」と思わせるような施策を打ち出す事が大切です。
 

販売促進とマーケティングの違い

販売促進とマーケティングは混同されがちですが、実際には異なる概念です。
最も大きな違いは””主観””の差にあります。
マーケティングとは、「消費者」に視点を当てて、顧客育成の段階に合わせた施策を提示していくことであるのに対し、販売促進は「商品そのもの」に着目して、その商品をいかに魅力的に見せるか、どう売り出すかというプロモーションを意味しています。
つまりマーケティングは継続的な施策、販売促進は単発的な施策であると言うことも可能です。
 

販売促進が重要である理由

今、ECにおいて販売促進が重要視されている理由は情報の飽和にあります。
これまで、情報を発信するメディアやそれを利用できる発信者は限られていました。
しかし、インターネットが社会に膾炙し、大きな企業だけでなく小さな店舗や消費者個人でも情報を発信できるようになりました。
インターネットによって商品の情報を集めやすくなった一方で、その利便化を上回る勢いで情報の総量は増え続けています。
このようにモノと情報に溢れ返った現代において、製品を手に取ってもらうためにはまずその存在を、そして魅力を知ってもらうことが何よりも大切になってきます。
そのために必要なものがユーザーの買いたい気持ちを呼び起こすための一連の活動、すなわち販売促進なのです。
 

販促イベントの種類や目的

販促イベントには様々な種類があり、それぞれ最終的な目的も異なってきます。
ここでは主なイベント種類と、それぞれどういったことが行われるのか、何を目標としているのかについて解説していきます。
 

商品プロモーション

商品を紹介し、認知度を上げることを目的としたイベントです。
即座に購入に繋げてもらうというより、まずは商品の特徴や魅力を知ってもらうことが先立つため、無料で商品サンプルを試供したり、実際にサービスを体験してもらったりといった内容が主となります。
 

商品販売イベント

上記の商品プロモーションに加えて、実際の販売までを視野に入れて行われるイベントです。
単に商品やサービスについて伝えるだけでなく、購買意欲を高めるという目的で紹介を行います。
自社や店舗内で開催するイベント以外にも、商品の展示会および即売会、期間限定のポップアップストア、街頭や駅内のスペースを利用したイベント、そして店頭でのサンプルの配布なども商品販売イベントに含まれます。
 

BtoB向け商談会

一般消費者向けのイベントと企業向けのイベントは異なり、このBtoB向け商談会は企業向けの商品やサービスを取り扱っている場合のイベントとなります。
商談会には見本市や商品展示会、産業交流会などがありますが、どれも企業との契約が最終的な目標となるので、商材をアピールするためのプレゼンなどを行うこともあります。
 

プライベートショー

複数の企業や店舗が集まって開催するのではなく、単独のブランドによって行われるイベントです。
特に招待した顧客のみを相手に行うクローズドなイベントで、商品を多くの人に広める宣伝というよりは、既に親しい関係にある顧客に対して新商品を先んじてPRしたり、交流を深めることで更に企業へのイメージを高く持ってもらったりといった目的で開催されます。
 

企画立案で失敗しないためのポイント

販促イベントを成功させるためには良い企画が必要です。
ここでは企画を立てる際、失敗しないために押さえておきたいポイントを紹介していきます。
 

目的をハッキリさせる

そのイベントの目的を定めることが大切です。
商品の直接的な販売に繋げたいのか、単純に認知度を上げたいのか、代理店や販売店を探したいのか…など、目的に合わせて選ぶイベントも変わってきます。

また目的がしっかりと定まっていれば対象のユーザーも想定しやすく、そういった人々にリーチする企画としてプランも立てやすくなります。
販促イベントを実施すると決めた場合、何よりもまず目的を明確に定めましょう。
 

ターゲットを絞る

イベントの目的を決めた後は、どんな人に届けたいかというターゲットを設定します。
年代や性別、職業などから考えていきますが、その際には一人の具体的な仮想ユーザー、つまりペルソナを作っておくとより方向性を決めやすくなります。
設定したペルソナに確実に届くような企画内容やキャッチコピーなどを考えましょう。
 

予算に合った企画を考える

どれだけ良い企画を考えても、予算が不足している、或いは期待できるリターンの方があまりに低い場合、それは非現実的なイベントになってしまいます。
使用する場所にこだわるのか、タレント等を呼ぶために予算を使うのか、或いは集客にとにかく注力するのかといった、限られた予算の中でどこを重視していくのかも販促イベントを成功させるために大切な要素です。
 

事前に集客を行う

イベントにはより多くの人が集まった方が良いのは言うまでもありません。
集客にもいくつかの方法とコツがあるため、それをご紹介します。
 

【SNSの利用】

SNSは手軽に利用できる上に費用もかからないため、積極的に活用していきましょう。
SNSにはいくつかありますが、どれを選んでも良い、或いはとにかく複数のSNSに告知を出せばいいわけではなく、行うイベントの内容やターゲット層によってどれを利用するかを判断する必要があります。
例えばInstagramならば若い女性の利用がメイン層ですので、女性向けのファッションやコスメ、また写真映えする展示物などがある場合におすすめです。
Facebookはビジネス上の地位が高いユーザーの利用数が多く、BtoBサービスを取り扱うなら絶対に選ぶべきです。
またFacebookに登録されているユーザー情報は細かいため、ターゲティングの精度が高く、リーチさせたい層に向けてピンポイントに広告を出すことも可能です。
Twitterの利用層は若年層が多く、また拡散性が非常に高いので、インパクトの強い宣伝内容を打ち出せるのならぜひ利用したいSNSだと言えるでしょう。
 

【メールの配信】

メールマガジンを配信しているならその中で宣伝を行ったり、そうでなくても一度商品を購入したことがある方や会員登録済みの方が居れば、そこに向けてメールを配信するのも有効です。
こういったユーザーは既に商品やサービスに興味を持ち実際に利用しているため、全くゼロから働きかけるよりもイベントに興味を持ってくれる可能性は高いと言えます。
ただしこういった個人宛の宣伝は頻度を高くしすぎてしまうと鬱陶しいと感じられて逆効果になってしまいますので注意しましょう。
 

【WEBサイトでの告知】

SNSやメルマガを中心に集客する場合でも、それを通じてWEBサイトに誘導することでより詳細なイベントの内容を伝えたり、事前に申し込みをしてもらったりすることが出来ます。
また「Peatix(ピーティックス)」や「こくちーず」、「Event Search(イベントサーチ)」といったイベントやセミナー情報を登録して告知できるポータルサイトもあります。
 

【DMやチラシの配布】

実店舗を中心としたイベントや地域性の高いイベントなどを開く際は特に効果的な方法です。
またインターネットをあまり利用しない世代の人々をメインターゲットにしている場合にも向いています。
配布をする手間や時間などコストこそかかりますが、メールやSNS広告等に比べて確実に届き開封される可能性も高いため、とにかく色んな人にイベントの開催を知ってほしいといった状況でもおすすめです。
 

場所を確保する

販促イベントの失敗には例えばこんなケースがあります。
「イベントそのものは好評だったが、好評すぎて人が会場から溢れてしまった…」
「興味を持ってくれる人は多かったのに会場のアクセスが悪くて来場者が少なかった…」
こうなってしまうのは非常に勿体ないですよね。

会場を借りてイベントを行う場合は、値段や内装の雰囲気だけでなく、イベントの種類や見込みの来場者数、またアクセス手段とイベントの時間が噛み合っているかといった点を考えながら選びましょう。
実際に来場者になったつもりで一度会場まで向かってみると、どういった部分でつまづきやすいかを知ることが出来ます。
 

成功の基準を決める

「○○人に商品を買ってもらえれば成功」
「イベント後1ヵ月でサイトへのアクセス数が○○%アップすれば成功」
…といった風に、どれくらいの成果が出ればイベントが成功と言えるかどうかをあらかじめ決めておきましょう。

初めてのイベントで数値の目標が立てづらいといった場合でも、とりあえずは具体的な数字として定めておくべきです。
イベントの成果が思うように出なかった場合でも、「思わしくなかった」ということが分かるのと分からないのとでは大きな違いがあります。
上手くいかなかった場合は、きちんとその原因の分析と対策をし、少しずつ想定と現実のギャップを埋めていきましょう。
 

販促イベントの失敗例5つとその原因、対策

残念ながら、せっかく販促イベントを行ったのに上手くいかなかったケースもあります。
ここではよくある失敗例とその原因、そして対策方法について解説していきます。
 

失敗例1. 評判のいい施策を真似したがあまりリアクションを得られなかった

1つ目に紹介するのは「他店や競合ECサイトが行っていたイベントが非常に好評だったから自社でも実施したところ、リアクションが非常に悪かった」という失敗例です。
この失敗が起こってしまった原因は主にユーザー側の飽きにあります。
評判のいいイベントはその分いくつもの店舗やサイトで模倣されるもので、特にコンテンツの流動性が高いインターネット市場においては一瞬で鮮度が失われてしまいます。
もちろん他社の成功例を参考にすることは大切ですが、あくまで参考として、企画の際はオリジナルの要素を入れていくようにしましょう。
 

失敗例2. 費用をかけて集客したのにCVに繋がらなかった

2つ目に紹介するのは「費用をかけて大々的に広告を打ち出した結果、集客自体は多かったがCVにはほとんど繋がらなかった」という失敗例です」。
こうした失敗は、顧客になる見込みのあるユーザーの見極めが出来ていなかった場合に起こってしまいます。
明らかに商品の対象外であるユーザー層は集客する必要がありませんし、新たな顧客層を開拓したい場合は単に集めるだけでなく、集めたユーザーを誘導した先のページの訴求力を改めて高める必要があります。
その顧客が一目で魅力を感じられるような画像や動画等のコンテンツを用意できているか、検索システムやチャットボット等のユーザーサポートは充実しているか、そもそも商品ページの導線はきちんと整備されているか…といった点を、イベント前にしっかり確認しておきましょう。
 

失敗例3. 展示会のブースでほとんど立ち止まってもらえなかった

3つ目に紹介するのは「スペースを借りて展示会に出展したけど、ほとんど誰も立ち止まってくれなかった」という失敗例です。
このケースは大きく「事前戦略」と「ブース制作」の2点に原因を求められます。
展示会に訪れる人はほとんどの場合、何となくで来るのではなく、回る場所を事前にある程度決めてから来訪します。
勝負は展示会当日だけでなくその前の集客段階から始まっていると言えるでしょう。

集客手段としてはSNSやホームページで行う場合が多いですが、SNSアカウントはただ作って投稿を続ければいいわけではなく、より多くのユーザーの目に留まることが重要ですので、ハッシュタグを活用したりSNS広告で表示されるようにしたりといった工夫が必要になります。
ブースは、遠目でもそこに何があるのかが分かるようにすることが大切です。

キャッチコピーの書かれたパネルやポスターを用意するのは有効な手段の一つだと言えるでしょう。
モニターで短めの映像を流すのも足を止めさせる効果が期待できます。
ブースに訪れてもらった後は、スタッフによる説明や分かりやすい頒布物等で、商品やサービスの魅力を最大限に伝えていきましょう。
 

失敗例4. メルマガやPUSH通知で宣伝をしたらむしろ登録ユーザー数が減少した

4つ目に紹介するのは「メールマガジンやアプリの通知でイベントの宣伝をしていたら逆に登録ユーザーが減ってしまった…」という失敗例です。
ユーザー個人に直接働きかけることが出来るメルマガやアプリのPUSH通知は確実に届くという点でとても有効な手段です。

しかし一方で、個人に向けた宣伝である色が強いため、あまりに頻度が高いとユーザーが引いてしまう、或いは鬱陶しいと感じられてしまう可能性すらあります。
PUSH通知のちょうどいい頻度は1週間に1回だと言われています。
短期間で何度も宣伝するのではなく、じっくり時間をかけて宣伝していく計画性を意識しておきましょう。
 

失敗例5. セールやクーポンに対するユーザーの反応が薄い

5つ目に紹介するのは「販促キャンペーンとしてお得なセール情報やクーポンを出しているはずなのにユーザーの反応が薄い」という失敗例です。
これは宣伝が上手く出来ていないといった他に、店舗側が考える需要とユーザーが実際に求めているものとに乖離があるため起こってしまう事例です。
例えば、新商品であったりいくら安く販売していたりしても、シーズン的に使い道のない商品ならば購入されません。
また「初回購入でサイト内のポイントが2倍付与される」とアピールしていても、アカウント登録の手間が煩雑であればユーザーは購入前に離れてしまうでしょう。
このように、施策を打ち出す前にはそもそもそのセール商品は売れるものなのか、クーポン等はスムーズに利用することが出来るかといった点をしっかりチェックしておく必要があります。
 

まとめ

ここまで、商品の販売促進とは何か、販促の種類や企画の立て方、そして販促において起こりがちな失敗例5つを紹介してきました。
良い商品やサービスを生み出した後は、いかにその情報を顧客層にリーチさせるかが勝負になってきます。
販売促進はそのために欠かせない施策ですので、是非しっかりと活用してCV向上に繋げていきましょう。
 

 

 

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