楽天の3980円で送料無料39ショップについて

モール運営ノウハウ

楽天が「3980円以上を送料無料にする」と2019年8月に発表、2020年2月ごろから施行されています。

楽天が送料無料ラインに踏み切ったのは、Amazonなど競合ショッピングモールを意識した結果であり、お客様にとっては大変ありがたいサービスですが、店舗様にとっては不安が大きいものです。

改めて楽天の送料無料ラインの概要と楽天の意図、そして送料無料ライン対策についてご紹介したいと思います。

全店舗で「3980円以上」を送料無料に

楽天は2019年8月、全店舗で「3980円以上の購入で送料無料」という“送料無料ライン”の施行を発表しましたが、この送料無料ラインは楽天市場内の全店舗が対象となっています。

ジャンルを問わないため、全店舗が3980円以上の購入で送料無料にしなくてはいけませんので、送料で赤字になる店舗様も少なからずおられると思われます。

楽天は送料無料ラインを施行することにより、店舗様が送料分の利益をどうやって確保するか見直しを行う必要があります。

送料無料ラインを設定に踏み切った意図

楽天市場内では店舗ごとに送料が異なり、顧客の「商品価格が安いと思ったら送料が高かった」「送料が店舗ごとに異なるのはわかりにくい」という意見を汲んだ結果として送料無料ラインを設定に踏み切ったと説明しています。

ヤフオクやメルカリでもそうですが、安い!と思って商品を買った時、送料が本来の価格より高めになってしまっていた…というのはよく聞く話で、こういったわかりにくさから、「全部でいくら料金がかかるのか?」という総額をお客様が求めるニーズが高まるのは当然と言えるでしょう。

スマートフォンが流通している現在、中高生も当たり前のように商品の売買をはじめており、この分かりにくい送料について若年層が理解してくれるのは難しいです。

「送料がかかるなら買わない」とあっさり見限られるため、楽天市場は「わかりやすさ」「送料無料」を追求しているのでしょう。

楽天運営側は約10%売上アップを見込めると説明

楽天がこれまでの販売に関するビッグデータを解析した結果、送料が「3980円」だったため一律に設定したとのことです。

この金額であれば注文単価の減少も起こりにくく、送料無料にメリットを感じて注文頻度が増えると楽天は予想され、楽天三木谷社長はこの3980円以上送料無料ラインを設定することで、楽天全体で「10%」以上の売上アップが見込めると明言しました。

店舗の意見も承知しているものの、結果としては店舗型にもメリットがあると楽天は確信して強行に踏み切ったようです。

楽天の送料無料ラインに戸惑う店舗側

3980円以上送料無料は「安い」と感じ店舗さまは多々おられます。
急に楽天側から「3980円以上の購入で一律送料無料にすること」と決められると、採算が合わないケースもあるでしょう。

ビッグデータ解析からとはいえ、商材や値付けによって利益率がバラバラであり、利幅の少ない商材を扱う店舗にとっては、非常に受け入れがたいシステムと思われます。

さらに楽天の施行する送料無料ラインは、離島も対象となります。
今まで離島の場合は通常の送料とは別に送料の上乗せがあり、北海道や沖縄で離島料金が発生することが多かったのですが、今回の楽天の送料無料施策ではこの中継料も無料になってしまい、店舗側としてはさらなる利益ダウンにつながってしまいます。

このことに楽天側は、離島の場合は「9800円」(税込)を送料無料ラインにすると発表していますが、どこまで店舗側の理解が得られるか、それは今後明らかになっていくでしょう。

楽天とAmazonの送料無料の違い

Amazonが送料無料にできる理由は配送システム

楽天はAmazonに対抗しているという見方もありますが、Amazonは以下の2つの特徴があるため、送料の優遇が可能となっているのです。

フルフィルメントセンターでコストカット

Amazonのフルフィルメントセンターは全国16か所に拠点を持っており、北は宮城県、西は九州地方と全国に幅広く設置しています。

Amazonの出品者はフルフィルメントセンターに在庫を置くことができ、手数料はかかるもの配送にかかる送料は無料というメリットがあります
また、海外発送もできるので、海外にまで販路を広げることも可能です。

IT化でコストカット

フルフィルメントセンターは、「物流革命」ともいわれるAmazonの最先端技術の宝庫で、倉庫内で商品をピックアップするロボットで徹底した効率化が行われ、人件費の節約に貢献しています。

楽天は配送センターの増設が課題か

Amazonのフルフィルメントセンターが全国16拠点あるのに対し、楽天の配送センターは2019年12月時点で6拠点で、うち4拠点が千葉に設置されているためAmazonと同等とは言えません。

このようにAmazonに比べると流通システムに劣る楽天がAmazonに対抗して送料を優遇するためには、配送センターの増設やITを活用した効率化などが課題となります。

楽天の送料無料施策に店側はどうすべきか

楽天が全店舗3980円以上を送料無料とすれば、店舗側が利益ダウンを気にするのは当然であり、楽天への出店中止を検討するケースもあるでしょう。

しかし自社ECサイトを立ち上げるより初期費用が抑えられるし、さらに「楽天」というネームバリューは大きく、集客効果は圧倒的です。

送料を含んだ「商品代金の上乗せ」もありますが、この商品代金の上乗せも楽天側は見越しており、そのうえで送料無料に設定しても影響は少ないと見られているもの、お客様は目が肥えていますのでモール間の価格差に気づくでしょう。

それでも多少商品が値上がりしても「顧客離れ」が起こらないラインとして、3980円で送料無料という線引きを行っているのです。

また、楽天は荷別れなどで通常より配送料がかかる場合は送料を徴収してもよいとしています。つまり、商品が同梱できないことを顧客に説明して納得してもらえれば、送料の支払いを求められるなど、柔軟な対応を見せています。

まとめ

店舗にとって影響が大きい、楽天の送料無料ラインで、店舗様にとっては不安感の強い施策ですが、楽天側は購入率の上昇を見込んでいます。

「特定送料」なるシステムも取り入れ、本来の送料を設定できるケースもありますが、もし同商品を扱っている39ショップ対応済の競合店がいると淘汰されていくので、いずれ全店舗対応となるでしょう。

このためにも、送料や配送、出品の見直しを行っていく必要があります。
こういった施策に不安感を覚える店舗様がおられましたら、サヴァリへご相談くださいませ。

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