【農産物EC】商品力だけでは売れません|リピート率を高めて売上をあげる方法【みつばちのーと・EC・ネットショップ】

店長編

今回ゲスト、みつばちのーと 田中 章雄 氏は、2015年に静岡県伊東市へ移住し、養蜂・EC未経験から「みつばちのーと」を創業。国産ハチミツの生産から販売・発送までを自社で一貫して手がける。現在は売上の約85%を自社ECが占め、広告運用やCRM、業務システムも内製しています。

田中氏に『農産物のEC販売』についてお話をお伺いしました!

▽なぜ蜂蜜の生産・販売を始めたのでしょうか?
もともとは全く異業種で働いていました。サラリーマン時代に、農業分野での新規就農や新規事業を考える人向けの「農業版ビジネススクール」の運営に携わったことがきっかけです。そこで養蜂の講座を担当することになり、蜂場に通う中で養蜂と蜂蜜に興味を持つようになりました。会社を辞め、広島の師匠のもとで1年ほど修行し、生産者として独立しました。最初からECをやっていたわけではなく、都内のマルシェや百貨店の催事など、リアルでお客様と対面販売するところからスタートしました。独立当初はイベントの売上にかなり依存していました。特にビッグサイトで開催されるイベントなどが大きな売上になっていたので、「このままイベントに依存していて大丈夫なのか」という不安がありました。そこで2018〜2019年頃から、妹と一緒にオンラインショップを勉強し、商品を1個ずつ登録するところからコツコツ始めました。その後コロナ禍になり、イベントが軒並み中止になりました。本当にオンラインショップをやっていてよかったと思いました。これまでイベントで買ってくださっていたお客様がオンラインで購入してくださり、そこからECの売上が伸びていきました。現在は売上の約85%がECで、完全に逆転しています。

▽リアル・ECで販売する上でそれぞれ意識していることは?
国産蜂蜜は自給率が5%程度なので、国産を探しているお客様は決して多くありません。だからこそ、国産であること、混ぜ物をしていないこと、高熱処理をしていないことなど、自分たちが当たり前だと思っているこだわりをきちんと伝えることを意識してきました。また、当時20代で独立したこともあり、「若者が脱サラして、本物の蜂蜜に思いを持ちながら頑張っている」という部分に共感して、「頑張っている人を応援したい」と購入してくださるお客様もいました。イベントでは、InstagramやLINEに登録していただく導線を毎回つくっています。商品にチラシを入れたり、何度もアプローチしたりして、イベントからオンラインにつなげることを意識しています。SNSを使わない年配のお客様にはアンケートを取ってDMを送るなど、その場所やお客様に合わせて手段を変えています。大切なのは、イベントで「ただ売る」ことではなく、「お客様との関わりを作る場所」として考えること。リアルで接点を持ったお客様との関係を、その後もオンラインで継続していくことがECの売上にもつながっています。

▽自社商品だけにこだわらない理由とは?
最初は「自社の蜂蜜をいかに売るか」が中心でした。ただ、自社の蜂蜜だけでは取れる種類や数量に限りがあります。天候によって収穫量が変わるリスクもあります。そこで他地域の国産蜂蜜をテスト販売してみたところ、「自社の蜂蜜だから買う」というだけではないことが分かりました。山形のさくらんぼの蜂蜜など、地域が違えば自分たちには提供できない価値があります。さらにナッツや伊豆のイチゴを蜂蜜に漬けるなど、加工商品も展開してきました。蜂蜜は頻繁に消費する商品ではないからこそ、新たな価値を提案して、お客様を飽きさせないことを意識しています。現在はSKUで約500〜600まで展開しています。うちのミッションは「蜂蜜を届ける」ことではなく、「お客様に豊かになってもらう」ことです。そう考えると、自分たちの蜂蜜だけにこだわる必要はありません。自社商品だけで事業を続けることは、生産量や自分自身に依存するという意味でもリスクがあります。だからこそ、他社から仕入れることで商品を広げ、自社の収穫量に左右されない事業にしていきます。現在、自社の蜂蜜は全体の3~4割程度ですが、それも含めて事業全体としてお客様に価値を提供できる形を目指しています。

▽現在はどのような仕事に力を入れていますか?
今は生産面をほぼスタッフに任せています。もともとは自分で作っていたので、現場に行きたくなる時もあります。ただ、自分が現場だけを見ていると、会社全体が見えなくなってしまうので、今は「自分がなるべく現場に出ない組織づくり」に一番注力しています。生産者としての専門知識に加えて、以前の営業経験もあるので、「どうやったら価値が伝わるか」まで考えられることが自分の強みだと思っています。生産することだけではなく、「作る」と「伝える」の両方を考えること。それが、農産物ECを成長させていく上で重要だと考えています。

~第363回 ゲスト~

田中 章雄 氏
みつばちのーと
代表

1986年生まれ。養蜂もECもまったくの未経験から2015年に静岡県伊東市に移住し、養蜂を開始。国産ハチミツの生産から販売までを手がける「みつばちのーと」を創業。「混ぜ物なし・高熱処理なし・国産」を軸に、ミツバチを飼育し採蜜、瓶詰め、EC販売、お客様への発送までを自社で一貫して行う体制を構築。現在はスタッフ約25名、売上の約85%を自社ECが占める。広告運用、CRM、業務システムの内製までを自ら手がけ、生産者とEC事業者の両面から事業を設計している。

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