今回ゲスト、株式会社エニキャリ 小嵜 秀信 氏は、日本初のEコマース学術研究機関である東海大学総合社会科学研究所Eコマースユニットの客員教授として研究・教育に従事され、システムおよびシェアリング配送プラットフォームの2事業を中心に、日本のラストワンマイル配送を牽引されていらっしゃいます。
小嵜氏に『物流』についてお話をお伺いしました!
▽日本政府の「総合物流施策大綱」とは
3月31日に閣議決定をされたのが、5年に一度に改定される総合物流施策大綱です。2026年から30年までの5年間、日本の物流はこうあるべきという指針を政府が出しました。私は90年代から25年以上EC事業を経験して思うのは、マーケティングやECサイト、物流倉庫も変わってきた。しかし最終の伝票を貼って、宅配業者に渡して終了というのは、実は何も変わっていない。そんな中、今後配送というものはどうなっていくのかをお伝えしたいです。Amazonがデファクトを取ってきた「置き配」は時代のニーズと相まって、政府も置き配を推進するということで、2030年までに半分を置き配にするという目標を掲げています。おそらく将来的には、デフォルトは置き配で、対面受け取りしたいときはそのように選択して例えば+100円といったようになるかと思います。昨年末のブラックフライデーの際には年末や楽天イベントなどと重なって、ある物流大手の基地がパンクしてしまいました。現状の物流システムの課題が見えてきています。
▽フィジカルインターネットとは
中国では注文をした時に3つの選択肢があるのです。店舗があるECサイトですが、通常配送、お店で受け取る、お店が今すぐ届ける、というものです。超エクスプレスで、値段別途かかります。政府の方針も、「フィジカルインターネット」という新しい物流モデルを2040年までに日本に根付かせるという取り組みがなされています。具体的には物流のDX化、IT化を進め、パレットのサイズやカーゴサイズ、オリコン(折りたたみコンテナ)のサイズや箱のサイズも含めて、全ての基準を業者ごとにバラバラではなく統一していこうという取り組みです。例えば60サイズはこの3辺合計、2種類しかないという風にすると、積載率の計算もものすごく楽なのです。他に面白いところでいくと、ラストマイルで配達する配送番号、問い合わせ番号が、現在会社ごとで当たり前にバラバラですが、これを統一しようというのも今回の物流大綱に載っています。この取り組みは、素晴らしいと私は思っています。統一することのメリットとしては、例えば昨年末のようにAの宅配会社さんがバーストしてもBの業者さんが代わりに運ぶことができます。商品のJANコードのように統一されると、まとめて運んだりして物流施設を共同化できるわけです。フィジカルインターネットは共同配送を今後もっと促進させようというのが狙いです。
▽物流ネットワークの再構築
Amazon配送の成功は、日本に大きな影響を与えています。Amazonのモデルは、都心周辺の坪単価の安いところにFCと呼ぶ大きな倉庫を作り、在庫を保管してピッキング、パッキングを行い、その荷物を都市部のデリバリーステーションDSに集め、一般的にTCと呼ばれるところで荷物の振り分けを行って、近くのエリアをきちんと配送するというやり方です。今回の物流大綱は日本全体にこの物流ネットワークの再構築を推進していくとしています。大手の宅配会社さん3社は、基本は日本全国津々浦々まで届くためのユニバルサルサービスを前提に作られています。Amazonは人口密集地にいかに効率よくとどけるかということで、都市部だけはいけるのですが、ユニバーサルにはならないモデルなのです。大手のヨドバシカメラやニトリなどが東京を中心とする関東、関西、福岡、名古屋というところは自社で配送を行う、それによって早く安くを実現し、それ以外のところは大手の宅配会社にお願いするといったスタイルが今どんどん広がっています。
▽リアル店舗の要件と物流の関係
まだ数字は出てないですが、2025年全流通に占める ECの割合「EC化率」が10%に到達すると思うのです。中国は多分45%ほどです。そんななかでリアル店舗が生き残る要件は20年近く前からある、街中にある、在庫置き場である、です。これはヨーロッパ、アメリカもどんどん具現化してきています。大綱にも受け取りポイントの多様化が書かれており、コンビニ受け取りだけでなく、ガソリンスタンドや他のところでも受け取れたらいいのではないかと書かれています。中国やヨーロッパ、特にイギリスではこの受け取りポイントが今ものすごく増えています。宅配業者の営業所や普通のお店の片隅にそのコーナーがあったりもします。フィジカルインターネットというもの自体は、そもそも欧米で数年前から盛んに取り入れられている手法で、日本の政府としてはそれを今追いかけて具現化されてきつつあるのが現状です。
~第349回 ゲスト~
小嵜 秀信 氏
株式会社エニキャリ
代表取締役
Eコマース黎明期より大手企業のECサイト・通販運営に従事し、EC事業子会社代表を務める。その後、ECシステム会社、中国上海での小売チェーンストア事業およびEコマース事業の代表を歴任。
現在は、日本初のEコマース学術研究機関である東海大学総合社会科学研究所Eコマースユニットの客員教授として研究・教育に従事しながら、ラストマイルDX事業を行う株式会社エニキャリの代表も務め、システムおよびシェアリング配送プラットフォームの2事業を中心に、日本のラストワンマイル配送を牽引する。
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