今回ゲスト、リンテクト・ジャパン株式会社 前田 啓佑 氏は、中国での海外起業を起点に、「ものづくり」と「仕組み化」を軸とした事業モデルを構築し、家電や生活雑貨ジャンルでAmazon・楽天市場ランキングNo.1を多数獲得。経営コンサルティング分野では、数百億円規模の企業改革に携わり、半年で約1億円のコスト削減を実現されていらっしゃいます。
前田氏に『D2Cのモール戦略』についてお話をお伺いしました!
▽なぜ物流に徹底的に取り組んだのですか?
前半でも触れましたが、円安の影響で経費コストがかなり上がり、このままではまずいという危機感がありました。その中で最初に手をつけたのが物流です。ECは人件費や配送費が必ずかかりますし、私たちは小型商品だけでなく100〜160サイズの大型商品やワインセラーのようなかさばる商材も扱っているため、物流コストの影響が非常に大きいのです。もともと外部倉庫は利用していましたが、自社のプロダクトに合った在庫管理や運用を実現できる会社がなかなか見つからず、4年間で4回の倉庫移転、WMSも6社ほど使うなど試行錯誤を繰り返しました。ただ、コスト意識や細かい管理要求が高すぎて合わないケースも多く、最終的に「自社でやるしかない」という判断に至りました。
▽自社物流に切り替えてどのような変化がありましたか?
結論から言うと、コストが大きく下がっただけでなく、売上も大きく伸びました。単なる経費削減ではなく、出荷数の増加と粗利の改善が同時に起きたのがポイントです。特に大きかったのは、コンバージョン率の改善です。その要因の一つが「365日出荷」です。私たちは14時までの注文を当日出荷し、土日も稼働しています。これを実現できる倉庫は日本ではまだ少なく、多くのショップは土日の出荷を止めています。しかし実際には、金曜日の出荷締め切り以降はCVRが下がり、翌日到着できる競合に顧客が流れてしまいます。価格や品質が同じなら、早く届く方が選ばれるのは当然です。この積み重ねが商品全体のCVRを押し上げ、ランキング向上や売上増加につながりました。
▽なぜ土日出荷は「コスト」ではなく「投資」なのですか?
一般的には「土日稼働=人件費増」という発想になりますが、私たちはこれを広告費に近い投資と捉えています。土日の人件費が上がっても、それによってCVRが改善し、売上や自然流入が増えるのであれば、広告を打つより効率的なケースもあります。重要なのは「その投資でどれだけ回収できるか」という視点です。やらない理由はいくらでも挙げられますが、実際にやってみて数値で判断すればよい。やらないことで失っている機会の方が大きい場合も多いと感じています。
▽物流コストを下げるために具体的に何をしていますか?
私たちは物流を「製造業の延長」として捉え、徹底したコスト管理と改善を行っています。例えば、電気代は毎日計測し、社内で共有しています。どの使い方でどれくらいコストが変わるのかを可視化することで、全員の意識を高めています。実際にLED化した際も、明るさを優先して過剰に設置してしまい、結果的に電気代が上がるという事象がありましたが、計測によって最適化できました。また、ダンボールや梱包資材も既製品を使うのではなく、中国でオリジナル製造しています。これによりコスト削減だけでなく、現場の作業効率も向上します。例えば「折りにくい」「詰めにくい」といった現場の声を反映し、1件あたり数秒の短縮でも、1日数百件の出荷で大きな差になります。こうした小さな改善の積み重ねが、トータルの生産性向上につながっています。
▽物流を強みに変えるために重要な考え方は何ですか?
「物流は完成しない」という前提で、常に改善し続けることです。実際、物流会社の方々が見学に来ても驚かれることが多く、従来のセオリーとは異なる運用をしています。しかしそれは特別なことではなく、「自分たちにとって最適か」を突き詰めた結果です。また、現場の働きやすさも重視しています。効率化はコスト削減のためだけでなく、スタッフのストレス軽減や生産性向上にもつながります。その結果、利益が増え、給与に還元でき、さらに良い循環が生まれます。現在は自社の取り組みが評価され、他社の物流支援やコンサルの依頼も増えていますが、根底にあるのは「顧客にとって価値があるか」「全体として最適か」という視点です。物流を単なるバックヤードではなく、売上と利益を伸ばす戦略領域として捉えることが、モールで勝つための重要なポイントだと考えています。
~第348回 ゲスト~
前田 啓佑 氏
リンテクト・ジャパン株式会社
代表取締役
1986年生まれ、横浜市出身。東京工芸大学大学院修了後、大手自動車メーカーで安全制御システムの開発を経験し、2014年にD2Cメーカー「リンテクト・ジャパン株式会社」を創業。中国での海外起業を起点に、「ものづくり」と「仕組み化」を軸とした事業モデルを構築し、家電や生活雑貨ジャンルでAmazon・楽天市場ランキングNo.1を多数獲得。
経営コンサルティング分野では、数百億円規模の企業改革に携わり、半年で約1億円のコスト削減を実現。世界的な起業家団体の理事としても活動し、限られた資源を最適化して成果を最大化する「仕組み化」のプロフェッショナルとして、「子どもが大人に憧れる社会」の実現に向け、幸せハックの普及と実践に取り組んでいる。
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