今回ゲスト、アートアンドヘルスケア株式会社 森下 浩隆 氏は、通販コンサルタント。健康食品・サプリの単品リピート通販企業で広告・CRM・事業戦略を統括し、年商100億規模の成長を牽引。現在は年商3億から100億まで幅広い規模でのサポートをメインとされていらっしゃいます。
森下氏に『食品EC』についてお話をお伺いしました!
▽食品ECで成果を出すために、まず取り組むべきことは何でしょうか?
食品ECの支援をしていて感じるのは、多くの中小食品メーカーが「商品は美味しい」「作り手にも魅力がある」ということです。実際に話を聞くと、「これは伸びるな」と思う商品が本当にたくさんあります。ただ、良い商品があるだけでは売上は伸びません。
私がまず着手するのは、既にある顧客接点を見直すことです。食品メーカーは物産展や催事、自社店舗など、通販以外にもお客様と接触できる場を持っていることが多いのですが、その接点を十分に活用できていないケースがほとんどです。特に物産展や催事で商品を購入してくれたお客様は、すでに商品を口にしている状態です。つまり、通販でいうところの「F1(初回購入)」が終わっていて、すでに「F2(2回目購入)」の対象顧客なのです。このリストの価値は非常に高いのですが、多くの企業はそこを取りこぼしています。店頭では接客や販売で忙しく、顧客情報を取得する仕組みが整っていないケースがほとんどです。そこで重要になるのが、物産展や催事で顧客リストを集める仕組みです。アンケートやLINE登録、QRコードの活用など方法はいろいろありますが、とにかくお客様と継続的につながれる状態を作ることが大切です。実際に私が提案することもありますが、「次回の催事案内を送ります」「ハガキを持ってきてくれたら1個サービスします」といった特典を付けると、喜んで登録してくださる方も多いです。大事なのは、一度きりの販売で終わらせないことです。せっかく美味しいと思ってもらえたお客様との関係を継続するために、リストを着実に積み上げていく必要があります。広告ももちろん有効ですが、その前にファンの基盤を作ることが重要です。顧客リストが積み上がれば積み上がるほど、会社の強さになります。「動線理論」と呼んでいるのですが、例えば、物産展で商品を食べてもらう、パッケージを見る、レシピを見る、SNSを見る、検索するなど、お客様との接点はたくさんあります。そのすべてのタッチポイントから、LINE登録や顧客リスト取得につながる仕組みを設計するのです。食品メーカーの場合、通販を始める前からリアルな接点が多く存在しています。そのため広告から集客する前に、既存の接点をどれだけ顧客資産化できるかが非常に重要になります。私は支援に入ると、まずタッチポイントを洗い出し、どこからも漏らさずリストインできる仕組みづくりから着手することが多いです。食品は体験価値が非常に高い商品です。実際に食べてもらえれば、美味しいかどうかがその場で分かります。そのため、リアル店舗や物産展を持っている会社は非常に強いです。ECだけで販売するよりも、お客様に体験してもらう機会がある方が圧倒的に有利です。また、最近はInstagramなどを活用して情報発信をしている小規模事業者も増えています。食品は写真や動画との相性も良く、SNSも重要なタッチポイントになります。口コミだけに頼るのではなく、自ら情報発信を行い、お客様との接点を増やしていくことが重要です。
▽広告に頼らず売上を伸ばすことは可能なのでしょうか?
十分可能です。実際に私が支援している企業では、広告をほとんど使わずに売上を2〜3倍に伸ばしているケースもあります。実際、コンサルティング開始から5年ほど経過した企業を見ると、多くが2〜3倍程度に成長しています。例えば北海道のお茶農家さんでは、催事でアンケートを取得し、新茶の時期にはサンプルを送り、年末には年越し用のお茶の案内を送るという取り組みを続けています。それだけで以前の2倍以上の売上になっています。大切なのは、新規顧客を追い続けることではなく、リピーターやファンを増やすことです。最近は広告費も高騰しており、新規獲得コストは上がる一方です。一方で、一度つながったお客様との関係を継続できれば、安定して売上を積み上げることができます。地方の食品メーカーや家族経営の会社であれば、急成長を目指す必要はありません。顧客リストを増やし、ファンを育てながら着実に売上を伸ばしていくことで、4〜5年でEC売上1億円規模に到達することも十分可能です。食品ECは広告だけで伸ばすものではなく、顧客との接点を資産として積み上げていくことが何より重要です。物産展、催事、ふるさと納税、SNS、ECモールなど、あらゆるタッチポイントを活用しながら顧客リストを増やしていくことが、持続的な成長につながると考えています。
~第352回 ゲスト~
森下 浩隆 氏
アートアンドヘルスケア株式会社
代表取締役
通販コンサルタント。健康食品・サプリの単品リピート通販企業で広告・CRM・事業戦略を統括し、年商100億規模の成長を牽引。老舗明太子メーカーのEC再構築を担当し、EC売上4,000万円を1年半で1億2,000万円へ伸ばした後、独立。現在は食品通販の支援をメインに、企業が持つすべての販売チャンネルを組み合わせた独自の「導線理論」「摩擦ゼロ理論」で売上、利益を最大化する。年商3億から100億まで幅広い規模での実績多数。
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