「店舗での鮮魚の売り上げが落ちているからネットショップでリカバーしたい」
「卸売業者との繋がりが出来たからカキやカニを通販で売りたい」
…そういった理由で魚介類を取り扱うECサイトを立ち上げようとしている方もいらっしゃると思います。
この記事では、魚介類をインターネットで販売する場合に必要な許可や実際に販売するにはどうすればいいか、どのような点を売り出せば商品を魅力的に見せられるのかについて解説していきます。
食品をネット販売するには許可が必要
まず、食品をインターネットで販売するためには法律や条例に基づいた資格および許可を取る必要があります。
ここでは具体的にどういった資格や許可が必要なのかを解説します。
食品のネット販売に必要な資格と許可
インターネットで食品を販売する時は、基本的に「食品衛生責任者の資格」と「食品衛生法に基づく営業許可」を取らなければいけません。
「食品衛生責任者」とは食中毒や食品衛生法違反が起こらないように管理運営を行う責任者で、営業許可を受ける施設ごとに最低1名が必要です。
インターネットだけの販売であっても商品を保管する場所が施設とみなされる場合がありますので、事前に必要かどうかを保健所に確認しましょう。
資格を取るためには各都道府県で開かれている講習を受ける必要がありますが、受講には事前予約が必要ですので早めに申し込むことをおすすめします。
また、食品衛生法に基づく許可について、取り扱うものが魚介類である場合、鮮魚ならば「魚介類販売業」と商品を保管するための「食品の冷凍または冷蔵業」が必要となり、加工食品を販売するなら「魚肉ねり製品製造業」や「そうざい製造業」等を取得しなければなりません。
更に都道府県の条例で別途に取るべき許可が定められている場合もありますので、ネットショップで初めて魚介類を取り扱う場合はもちろん、既に実際の店舗で商品を販売していたとしても、ネットショップ開業前は必ず管轄の保健所に相談するようにしましょう。
「食品衛生責任者の資格」と「食品衛生法に基づく営業許可」の取得方法
「食品衛生責任者の資格」および「食品衛生法に基づく営業許可」の取得方法については、以下の記事で詳しく解説していますのでこちらを参考にしてください。
ただし魚介類を取り扱う場合は、施設内の冷蔵設備や清掃のしやすさといった点を厳しくチェックされますので、店舗となる保管施設の工事に着工する前に保健所としっかり打ち合わせをしておきましょう。
特に魚介類を販売する場合に注意したい点
魚介類を取り扱う際に注意すべき点は他にもあります。
例えばネットショップだけの販売で実店舗が無い場合でも「魚介類販売業」の許可は必要です。
この場合、商品を保管するための倉庫や冷蔵施設が店舗として扱われることとなりますので、必ず保健所に申請するようにしましょう。
また、魚介類は生鮮食品で、特に家庭での保存や食べ方には注意を要するものです。
食品販売においては食品表示法により食品表示ラベルの貼付が義務付けられており、これは魚介類についても適用されていますので、原産地や用途(生食可能かどうかなど)、消費期限、保存方法といった事項は正確に記載しましょう。
インターネットで魚介類を販売する方法
現実で物を売るために店舗が必要であるように、インターネット上で商品を販売するにもショップが無くてはいけません。
ここではインターネット上で魚介類を販売するための3つのプラットフォームについて解説します。
1.大手モールECで販売する
一つ目の方法は楽天市場やYahoo!ショッピング、Amazonといったモール型のECサイトに出店することです。
「魚介類 通販」などのキーワードで検索してみると分かるように、こういった大手ECモールは非常に検索順位が高く、集客にかかる費用や時間というコストが削減できます。
その代わり、類似商品で出店している競合ショップも多く、差別化を図るための要素が商品に無ければ埋もれてしまう可能性も低くはありません。
また出店数が多いためその分価格競争も激しくなっている場合がほとんどです。
さらに、運営が軌道に乗るまでは初期費用や月額費用、販売時に引かれる手数料が高く感じられることもあります。
2.自社のECサイトを開設する
自分でECサイトを制作し、そこで商品を販売することも出来ます。
この場合、作ったばかりのサイトですので当然検索順位は低く、ユーザーに店舗の存在を認知してもらうにはバナー広告やリスティング広告を利用したり、SNSでマーケティングを行ったりといった宣伝活動が必要になります。
集客のための宣伝によって費用や時間がかかってしまいますが、一方で、大手ECモールに構えたショップに比べて独自性やブランド力は高いと言えるでしょう。
ECサイトの制作方法ですが、一からサイトを構築するのは手間も費用もかかってしまうため、最初のうちは企業が提供しているプラットフォームを借りる形での自社ECサイトが作れる「ASP型カート」の利用をおすすめします。
BASE、カラーミーショップ、STORESなど様々なASP型カートがあり、初期費用や手数料も異なりますので、いくつか比較検討して販売戦略に合った選ぶようにしましょう。
ASP型カートについてはこちらの記事でも少し取り上げていますので是非読んでみてください。
3.専門的な販売サイトに出店する
楽天市場やAmazonは総合的に広いジャンルの商品を取り扱うモール型ECサイトです。
しかし中には「果物・野菜だけ」「魚介類限定」といった風に、取り扱う商品ジャンルを限定したECモールがあります。
魚介類を販売するなら「漁師さん直送市場」「JAタウン」「食べチョク」などが規模の大きいサイトです。
こういったサイトにはより独自性の高い商品が集まってくるため、本当にそのジャンルの商品にこだわりたいユーザーは大手ECモールでなく専門的なECモールを利用する場合も少なくありません。
ブランドや物珍しさといった要素ではなく、純粋な商品の品質に自信がある場合はこういったサイトを利用して出店するのもおすすめです。
インターネットで魚介類を売る場合のポイント4点
魚介類はスーパーや専門店に直接行けばすぐに手に入るものです。
そこをあえて通販で購入してもらうためには、それだけのメリットや意味をユーザーに伝える必要があります。
ここではインターネットで魚介類を販売する際にセールスポイントとなる要素を解説します。
ポイント1.ブランド性
「北海道産のタラバガニ」「広島県産の牡蠣」といった風に、魚介類にはいわゆる名産があります。
遠く離れた地域に住んでいる人にとってはなかなか手に入りづらいものですが、そのような距離の制約なく商品を購入できることこそが通販の強みです。
こういった商品は強いブランド力を持っているため、ユーザー側に魅力を伝えやすいのが特徴です。
もちろん同じことを考えて仕入れを行っているショップは少なくありませんので、その中でも更に差別化できるような要素を考える必要はあるでしょう。
また、魚介類のブランドと言えばやはり築地です。
割高にはなりますが、可能であれば築地からの仕入れを検討してみるのもおすすめです。
ポイント2.希少性
鮭や鯖のような漁獲量の多い魚はスーパーですぐ手に入りますが、すっぽんやフグ、ハモといった珍しい魚介類は専門店でも見つけることが難しい場合があります。
そういった珍魚が手軽かつ確実に手に入るのもネットショップの特徴です。
なかなか手に入りにくい商品を仕入れられるのであれば「ここでしか買えない」といった売り文句を前面に押し出していくことで独自の強みにすることが出来ます。
ポイント3.新鮮さ
実店舗での購入と比較したとき、通販の弱みは「届くまでに時間がかかる」ことです。
特に腐ったり品質が落ちたりしてしまう可能性がある生ものにとっては大きな課題だと言えるでしょう。
その問題を払拭できるような要素、例えば「産地直送」という言葉や「即日発送」の試みはユーザーにとって大きな魅力となります。
ポイント4.安心感
時間がかかる以外の通販の弱みとして「商品が直接確認できない」ことがあります。
「写真と全く違う商品が届いた…」というトラブルは魚介類の通販でもよくあるものです。
ユーザーはインターネットで生鮮食品を購入する際、何かしらの不安を抱えていますので、それを解決できるような説明を商品ページや紹介画像に入れておきましょう。
国内で獲れたものを販売するのであれば「国産」、天然の商品を取り扱うのであれば「天然」といったキーワードは必ず入れておきたいものです。
また、万が一商品に不備があった場合の返品や交換のルールもサイトに分かりやすく記載しておきましょう。
まとめ
ここまで、ネットショップで魚介類を販売する際に必要なこと、実際に販売するためのプラットフォーム、そして売上を伸ばすためのセールスポイントについてそれぞれ解説してきました。
魚介類を販売する時は、それが人の口に入る食品であるということを常に念頭に置いた上で、スーパーや他のECサイトといかに差別化するかを意識しながら取り組むようにしましょう。