ECサイトの基本
そもそも”EC”とは何を指す言葉なのでしょうか。
ECは「Electronic Commerce」の略称であり、日本語では「電子取引」と表記されます。
つまりECとはインターネットを介した商品やサービスの売買行為であり、ECを目的としたサイト(つまりネットショップや大手通販サイト)がECサイトです。
ECの形態は大きく
・企業から消費者を対象に行われるビジネス「BtoC(Business to Consumer)」
・消費者同士の商取引「CtoC(Consumer to Consumer)」
の2つに分類されます。
前者にはブランドの通販サイトや、楽天市場などのECモール、ASPカートシステムで作られた個人のネットショップなどが該当します。
後者に含まれるものには、ヤフオク!などのネットオークションと、メルカリを始めとするフリーマーケットがあります。
アパレルECとは?
ECの中でもアパレル商品を取り扱うものをアパレルECと呼んでいます。
「BtoC」「CtoC」の分類においては、取り扱っているものがアパレル商品ならばどちらでもアパレルECと言えますが、開業といった場合は「BtoC」の形態を取るのが一般的です。
ECサイトのタイプ
ECサイトのタイプはいくつかあり、大きく「モール型」と「自社ECサイト」に分けられます。
まず「モール型」は、Amazonや楽天市場といった、複数のショップが集まって形成されたECモールに出店するタイプのサイトを指します。メリットとしては、モールそのものに知名度と集客力があり無名のショップでもある程度の集客が見込める点が挙げられます。
ただしその分同業他社も多いため、商品を差別化しなければ売上を伸ばすことは難しいでしょう。またテナント料や手数料といった維持費用がかかる点にも注意が必要です。
そして「自社ECサイト」は、自分で独自ドメインを取得してネットショップを運営するタイプのサイトを指します。メリットとしては、モール型で発生するテナント料や手数料といった維持費用がかからない分、高い利益率を確保できる点が挙げられます。ただしその分、自分でゼロから集客を行う必要があるため、利益が出るまでに時間がかかる可能性があります。また集客においては、有料広告を活用するとその分費用が発生する点にも注意が必要です。
なお自社のECサイトを作るためには、
・ゼロからプログラムを組んでサイトを作る「フルスクラッチ」
・サイト構築に必要な機能をパッケージしたシステムを使って構築する「パッケージ」
・ECプラットフォームのサービスをレンタルして出店する「ASP」
などの方法があります。
初めて自社ECサイトを立ち上げるならコストが格段に安いASPがおすすめです。
アパレルECにおすすめのASPカートシステム
こちらでは、自社ECサイトを立ち上げるために、特に初めての方におすすめの「ASPカートシステム」と「CMS」を紹介します。
ASPカートシステム:BASE
初期費用と月額費用がどちらも無料なので気軽に始められます。
使用感も良く、HTMLやCSSの知識がない初心者でもクレジットカード決済やPayPal決済を始めとした複数の決済システムの導入等が可能です。
また、出品した商品はBASEのアプリにも登録されるため、モール型ECと似たような形での集客効果も見込めます。
有料ですが、デザイナーが制作したテンプレートを使用すれば、専門知識がなくても簡単にデザイン性の高いサイトを構築することが出来る点もアパレル系には嬉しいところです。
開業と継続に費用が必要ない分、売上1件あたりにかかる手数料は他のASPサービスと比べても高く、売上が伸びれば伸びるほど手数料がかさんでいきます。
そのため、試しにネットショップ運営の感覚を掴みたい方や、小規模で運営する予定のショップにおすすめのASPだと言えるでしょう。
●BASEを使用しているECサイトの例
白布(しらふ)
ソメヤスズキ
ASPカートシステム:カラーミーショップ
カラーミーショップの利用には初期費用・月額費用が必要になります。
しかし費用は固定ですので、一定以上ランニングコストが増えることがないとも捉えられ、中期~長期的にショップを続けていこうと考えている場合ではメリットにもなります。
写真を主軸としたSNSであるInstagramの写真をECサイト内に貼り付けることが出来るため、ビジュアル面でアピールしていきたいアパレルECに向いているシステムです。
またLINEとの連携も可能なため、公式アカウントでクーポンを配布したり、チャットボットとして使用したりといった施策も可能です。
一方で、ページの見た目を細かくカスタマイズするためにはCSSやJavascriptの知識が必要になってきますので、ブランドイメージを前面に押し出したデザインのサイトを作りたいといった場合には注意が必要です。
●カラーミーショップを使用しているECサイトの例
ロバート秋山のクリエイターズ・ファイル
OLD-FASHIONED STORE
ASPカートシステム:MakeShop
プレミアムショッププランだと月々11,000円の初期費用と月額費用が必要になります。
その分手数料が0%で、売れば売るほど純粋に利益になる点は嬉しいポイントだと言えます。
特徴的な機能としてMakeShopで出品した商品をYahoo!ショッピングやLINEショッピングにも自動出品できるアイテムポストがあります。
出店や管理の手間なく大手ECモールで商品を販売できるのはMakeShopならではの強みだと言えるでしょう。
機能数は651と非常に充実していますが、逆に、ネットショップ運営に不慣れな場合は持て余してしまう可能性もあります。
ある程度ECサイト運営のノウハウがあり、商品をしっかり売りさばく自信がある場合にぜひ利用したいASPカートシステムです。”
●MakeShopを使用しているECサイトの例
Lafayette
フジトウ
CMS:Magento
世界で最も利用されているECシステムです。
取り扱う商品のジャンルごとのテンプレートが提供されているため、デザイン性の高いECサイトを構築することができます。
自由にカスタマイズできるオープンソースですので、サイトに機能を追加したい、デザインをリニューアルしたいといった場合でも、知識さえあればスムーズに実装できる点はCMSならではの強みですね。
また、処理を高速化する機能を備えており、ユーザビリティ・SEO両方の観点で見て優れています。
しかし、主な情報源は英語ですので、国内のサービスと比較すると使いこなすのには少しハードルが高いと言えそうです。
また他のASPカートシステムと違い、自分でサイトを構築しなければならないため、もし企業に構築を依頼するにしても立ち上げまでに時間がかかってしまう点には留意が必要です。
●Magentoを使用しているECサイトの例
無印良品USAオンラインストア
suria
アパレルECの特徴
アパレルECでは営業を行う場所が実際の店舗ではなくインターネット上になるので、実店舗とは違った特徴を持っています。
その中でも特に意識しておきたいアパレルECのメリット・デメリットについてご説明します。
アパレルECのメリット
アパレルECのメリットとしては以下の2つが挙げられます。
時間・場所の制約がない
最も大きなメリットは時間・場所が制限されない点です。
実店舗を24時間365日経営することは難しいですが、ECサイトなら現実的になります。
またインターネットに接続さえしていれば、どれだけ距離が離れていても、例え海外であっても買い物ができる点はECならではの強みでしょう。
この強みを活かし、遠く離れた地方や、場合によってはアジアやヨーロッパといった海外にも商圏を広げやすいのもまたアパレルECならではの長所と言えます。
接客用の人員が必要ない
実店舗には接客をするための店員が必要です。
しかしECサイトではユーザーが自分で商品を探して購入するため、店員を置かずとも運営することができます。
ただし「店員が居ないから接客については考えなくていい」と思ってはいけません。
店員はユーザーの購入体験(CX;Customer Experience)の質を高めるために必要不可欠な存在です。
ECサイトにおいては、接客体験の欠けをカバーするための取り組みをしなければ、顧客は購入体験に満足せず、リピーターとして定着してくれないでしょう。
例えば類似商品や一緒に買いたい商品をレコメンドしてくれる機能の導入や、ユーザーの疑問に答えられるチャットボット、購入後も定期的にメールを送るなどのアフターサポートといった満足度を上げるための工夫には力を入れる必要があります。
アパレルECのデメリット
アパレルECのデメリットとしては以下の2つが挙げられます。
実際に商品を確認できない
ECサイトの最大のデメリットは実際に商品を確認できない点です。
アパレルECの成否はこの問題をどう克服するかにかかっていると言っても過言ではないでしょう。
「買ってみたらイメージと違ったからもうこのショップでは買わない…」
とユーザーに思わせてしまってはお互いに不幸になってしまいます。
そうならないためには、
・商品写真や着用している様子を出来るだけ多く掲載してイメージと実物のギャップを埋める
・実店舗があるならそちらで試着や採寸が出来るようにする
・アプリやECサイト上のサービスである程度のフィッティング機能を実装する
といった対策を講じる必要があるでしょう。
またNIKEのECサイトでは、1商品につき1回までサイズや色の変更による返品を行えるシステムが導入されており、ユーザーにも高く評価されています。
強力な競合相手が居る
これは特に個人ショップやまだそこまで知名度が高いわけではないブランドで特に悩ましい部分になります。
ユニクロを始めとするファストファッションブランドもECに進出しており、その価格と品質、知名度から多くのユーザーを獲得しています。
そんな中で、戦略を立てずにショップを開いてもユーザーを獲得することは難しいのが現実です。
ユーザーが自分のショップで買い物したくなる理由や動機をしっかりと考えた上でマーケティングを行いましょう。
アパレルECは成功できるのか
ネットショップを開業するにあたり、アパレルECで成功できる未来はあるのでしょうか。アパレル市場の変遷とともに解説していきます。
実は、アパレル市場自体は縮小傾向にありました。その理由に経済の低迷、そしてそれによる低価格帯ブランドの出現が挙げられます。
消費者の多くがハイブランドよりも安くて手軽なファストファッションを好むように変化してきました。
また、スマートフォンの普及によってフリマアプリが台頭し、ブランド品がユーザー間で安価に取引されるようになったことも後押しになっています。
またECにおけるアパレルという観点でも、従来アパレルとECは相性が悪いと考えられており、市場規模が大きくなるようなものではありませんでした。
「アパレルECのデメリット」でも述べた通り、服は実際に身に着けてみないと使用感が分からず、試着が出来ない通販での購入をしり込みするユーザーが決して少なくなかった点がネックとなっていたのです。
購入後も、色味や着心地が想定と違ったといった理由での返品も多く、トラブルなく売上を伸ばせているショップはほとんどありませんでした。
しかし、近年では、オンラインでもフィッティングができるサービスの登場やオムニチャネル(オフライン・オンラインを問わず複数の方法で店舗と顧客を繋げる試み)の推進などによって、ECサイトを利用してファッションアイテムを購入するユーザーが増えてきました。
以上のような背景から、ECという観点で見ればアパレル業界はいまだ成長し続けており、これからの開業でも成功できる可能性は大いにあると言えます。
アパレルECが伸びた4つの理由
では何故アパレルECは成長を続けているのでしょうか。アパレルECが伸び始めた理由とともに解説していきます。
1.アパレルECを運用するためのツールやサービスの発展
1つ目の理由としては、ECサイトそのものが運用しやすくなっている状況が挙げられます。
スマートフォンを持っているユーザーが増え、インターネットを通じた購買活動が当たり前になったのに伴ってECへ進出する企業も増加してきました。
そこからECサイトの管理・運用を楽にするシステムやツールが発展し、またアパレルECに特化したサービスも提供され始めたため、ECサイトひいてはアパレルECサイトを始動させやすくなっているのです。
2.アパレルEC市場の規模拡大
EC市場の拡大に伴い、既存のアパレルブランドもECへ参入し始めました。
また開店にコストがかからずランニングコストも低いASP型カートシステムの登場により、個人によるショップも増加し、アパレルEC業界全体の規模が大きくなったことも成長の理由として挙げられます。
3.MDサイクルの効率化とマーケティング理論の成長
業界が拡大すれば、成功・失敗を問わず多くの実例が蓄積されていきます。
そこから生み出されたノウハウと、日々発展を続けるECサイト運用を補助するツールやシステムにより、アパレルECは目覚ましい速度で効率化が進んできました。
それにより「MD(Merchandising)サイクル」、つまり市場調査、商品企画、生産から販売までの一連の流れをスムーズに回せるようになって販売機会が増加し、またマーケティングも実例に基づいてより理論立てて行えるようになったため、アパレルECに惹きつけられるユーザーは更に増加していきました。
4.オムニチャネル化の推進
ECサイトの運営に注力するブランドはほとんどの場合オムニチャネル化を併せて推進しています。
「オムニチャネル」とは実店舗やECサイト、SNSなど、企業とユーザーを繋ぐチャネル同士を連携させる戦略を指します。
例えば「ECサイトで注文した商品を実店舗で受け取る」といった複数チャネルを自然に繋げることで、ユーザーの満足度は高くなります。
オムニチャネル化を進めるためには、実店舗・ECサイトなど各チャネルごとに存在している顧客のデータを一元的に管理し連携させる必要があります。
しかし、それによって一人の顧客についてのデータをより詳細に獲得できるようにもなりました。
データの厚みを利用して、それぞれの顧客に対して購入後のフォロー施策を細かく行うことで効果的にリピーターを増やしており、それが結果的にアパレルEC市場の成長へと繋がっています。
アパレルECサイトを立ち上げたいと思ったら
ここからは、実際にアパレルECサイトを立ち上げたいと考えている方向けの解説です。
アパレルECサイトを開業する場合、実際に商品を準備したりショップを開いたりする前に、まずじっくり考えるべき2つのことがあります。
1.ターゲット層を決める
アパレルECを開業するに当たって、何よりも重要なのはターゲットとなる「顧客=ペルソナ」をしっかりと定めることです。
これにより取り扱う商品はもちろん、ショップ全体の雰囲気や広告の出し方までも変わってくるため、特に念入りに決める必要があります。
ペルソナを決める上で重要になる項目は主に以下の3つです。
1.年齢・性別
2.趣味・嗜好
3.予算
ターゲット像は出来るだけ具体的に決めるようにしましょう。
そのターゲットになりきって、実際にどんなショップでどんな風に商品を探して購入するのかをトレースしてみれば、どんなECサイトを作れば良いのかが見えてくるはずです。
ターゲットが明確に定まったショップは独自性や専門性を持ちます。
そういったショップに訪れるユーザーは目的がハッキリしているため、満足する購買体験ができればそのままリピーターとして定着する可能性も高いと考えられます。
「どんな顧客に訪れてほしいか」そしてその顧客に「どう満足してほしいか」を主軸に、しっかりとペルソナを定めていきましょう。
2.商品はオリジナルで作るか仕入れるかを決める
当然、商品が無ければショップは経営できません。
アパレルECの場合、取り扱っている商品は大きく「オリジナル商品」か「仕入れた商品」のどちらかになります。
ここではそれぞれの特徴や取り扱うための方法を解説していきます。
オリジナル商材の場合
オリジナル商品の強みはそのショップでしか買えないものであるということです。
そのため一度ユーザーに認知・購入してもらえば、そのままリピーターとして定着してくれる可能性が高くなります。
一方で、何もない状態から商品を作り上げていくため、それだけ手間と時間はかかってしまいます。
特に服の製造に関する知識がない場合は、予期せぬトラブルや予想外の出費を覚悟しておくべきでしょう。
オリジナル商材の場合、服のデザインについては、自分で作る方法と業者に依頼する方法があります。
デザインを自分で行い、縫製は工場で行ってもらう場合は「OEM(Original Equipment Manufacturing)」、デザインから丸ごと依頼する場合は「ODM(Original Design Manufacturing)」と呼ばれています。
OEM生産を依頼できる業者は
・縫製工場
・仲介業者(工場を持たない)
の2種類があります。
縫製工場に直接依頼すれば、間に何も挟まない分それだけ費用を抑えることが可能です。
しかし生地やボタンといった製造に必要な素材を発注側が持ち込まなければならない場合がありますので、そういった知識がない場合にはおすすめできません。
仲介業者に依頼した場合は、費用がかかる分、市場調査や企画の段階からサポートしてもらえます。
オリジナル商品をブランド化して販売する場合には、後々のトラブルを防ぐため、商標登録を忘れないようにしておきましょう。
また、企業でなく個人のデザイナーにデザインを依頼しようと考えているなら、デザイナーとのコミュニケーションも意識する必要があります。
「売れ行きが順調だったのに、デザイナーと仲違いをして仕事を引き受けてもらえなくなった…」
といったことにならないよう、特に権利や報酬の面はしっかりすり合わせておくようにしましょう。
仕入れ商材の場合
商品を仕入れで揃える場合、大きく4つの仕入れ先があります。
・メーカー
・問屋街
・インターネット
・海外
このうち、海外からの仕入れは言語・文化の違いがあるだけでなく、送料や関税といった経費がかかってしまうため、初めてアパレル業を始めるという方にはおすすめできません。
国内での仕入れに慣れてから検討するようにしましょう。
メーカーから仕入れる場合、例えば突然電話をかけて「商品を仕入れさせてほしい」と言ってもまず取り合ってもらえないでしょう。
一般的には、アパレル系の展示会に参加して実際の商品を見て、そこから商談を行うという流れになります。
商品はメーカーにとっても大切なものですので、仕入れを順調に進めるためには信頼できる取引先だと感じさせる必要があります。
どんな風に商品を販売するのか、事業としてはどんな計画を立てて進めていくのかといったことを明確に説明できるようにしておきましょう。
メーカーと直接取引して仕入れる場合、間に仲介業者がないため価格を抑えることができます。
また、お互いに良い取引を続けていれば、市場に出回っていない商品を融通してもらえる可能性もあります。
一方、展示会への参加から商談の取りまとめ、そして実際の納品まではかなり時間がかかるので、個人でなるべく早く始めたいという場合は向いていない仕入れ方法と言えます。
問屋街とは、メーカーなどから買い取った商品を販売している問屋の集まったエリアを指します。
個々の店舗が集まって形成されている区域の総称ですので、取引の前にはそれぞれの店舗について調べ、失礼のないよう心がけましょう。
問屋でも実際に商品を手に取って確認することができます。
そしてメーカー仕入れと違って気に入った商品はその場ですぐ購入し持ち帰ることが出来る点もメリットです。
しかし、問屋はメーカーとバイヤーの仲介業者に当たるため、メーカーから直接仕入れるよりもやはり値段は高くなります。
また、大きな問屋街は大都市圏にあることがほとんどですので、在住が地方である方は出向くために時間とコストがかかり、負担が大きくなってしまうこともあります。
インターネットを利用した仕入れは、ネットだけですぐ完結するため、距離や費用といった点で他の方法に比べて気軽に行うことができます。
ただ実物を確認することはできませんので、商品選びにはとりわけ慎重にならなければなりません。
商品を選ぶ際は、特に価格に注意しましょう。
値段だけを見て決めてしまうと、実際の商品の質が想像以上に低かったといった形でトラブルになってしまう可能性があります。
仕入れサイトを利用する場合は、複数のサイトに登録すると比較検討がしやすくなります。
仕入れサイトの中でもよく利用されているのは下記の4サイト。
・NETSEA(ネッシー)
・SMASELL(スマセル)
・SUPER DELIVERY(スーパーデリバリー)
・TOPWHOLE(トップホール)
NETSEAとSMASELLは会員登録・年会費ともに無料ですので、インターネットでの仕入れの感覚を掴むためにおすすめです。
アパレルECの始め方・手順
商品やメインとしたいターゲットなど、ショップの方向性について決まったら、いよいよ実際にショップを立ち上げます。
ここではネットショップの開き方、特に初めてショップを開く個人でも開店できるような手順を紹介していきます。
1.店舗の形式を決める
ネットショップを開業するためには、まず店舗の形式を決めなければいけません。
店舗の形式には大きく「モール型EC」と「自社ECサイト」があり、それぞれ以下のような特徴があります。
モール型EC
楽天市場やYahoo!ショッピングといったプラットフォームのスペースを利用する形で出店します。
特に大手モールは集客力が高く、ユーザーからも信頼されているのが大きな特徴であり長所です。
その代わり初期費用や月々の出店費用が必要で、同じような商品を取り扱う競合ショップも多数存在しているため、商品の差別化が必要になってきます。
自社ECサイト
ECサイト構築用のパッケージやASPカートシステムを使い、独自のECサイトを立ち上げます。
ASPカートシステムを利用すればPCの知識が無くても簡単にショップの体裁を整えられ、無料で開店できる場合もあるため、初めての方におすすめです。
ただし大手モールと違って集客は自分で行わなければいけません。
費用は必要になりますが、SEO対策やリスティング広告の打ち方に詳しいECコンサルに相談するとスムーズに進められる場合があります。”
モール型ECと自社ECサイトのメリット・デメリットについては、下記の記事でさらに詳しく解説していますのでぜひチェックしてみてください。
(EC戦略・ECマーケティングページへ)
2.店舗に必要なものを準備する
ショップの形式が決まったら、実際に開店し、商売をしていくために必要なものを準備します。
具体的には、ECサイトのデザインや、決済・配送方法を決めていきます。
ECサイトそのものを作るときに最も重点すべきことはユーザビリティです。
例えばサイトデザインなら、トップページからすぐ商品ページに飛べるか、検索機能は充実しているかといった、ユーザーから見た分かりやすさ・便利さに気を配らなければなりません。
実物を見て購入できないECサイトでは商品画像がとても肝心になってきます。
素材感や色味が伝わるような写真、実際に着用している様子がイメージしやすい写真など、試着出来ないという不安を払拭できるような画像を複数用意するようにしましょう。
決済の手段は利用者の多いものに対応しておく必要があります。
利用ユーザーの多い決済手段は「クレジットカード」「代金引換」「コンビニ払い」で、この3つには最低限対応しておくと、決済段階でのカゴ落ちを防ぐことができます。
配送業者を選ぶ際に大切にしたいのはやはり信頼感です。
なるべく早く届けてくれる、明確な配送日が分かる配送業者に依頼をしましょう。
上で挙げたような点をチェックし、自分がユーザーになった時に買い物をしたいと思えるようなサイトを作っていきます。
3.各種書類を用意する
ECモールに出店する場合は、各モールの規定に基づき、出店申込書や審査書類、商材の写真などを送らなければいけません。
また、モールによっては法人もしくは個人事業主でなければ出店できない場合もありますので、そのときは開業届を用意して提出しましょう。
ASPカートシステムを利用するのであれば、基本的にはメールアドレスとクレジットカード情報があれば可能な場合がほとんどです。
これは開業後の話にはなりますが、ネットショップ運営で得た所得額が20万円を超えた場合は確定申告を出す必要がありますので、その点を忘れないようにしておきましょう。
4.必要な仕事道具を用意する
ネットショップを運営していくために必要な道具はあらかじめ準備しておき、いざという時に慌てないようにしましょう。
必ず必要になってくるものは以下の4つです。
・インターネットに接続できる端末(スマートフォンやパソコン)
・商品写真を撮影するためのカメラ(スマートフォンでも代用可能)
・商品
・配送用の梱包材
特に4つ目の梱包材は見落としやすく、うっかり切らしてしまうことも多いので注意しておきましょう。
「せっかく注文が入ったのに道具が無くてすぐ発送できない…」ということになれば、ショップの評判も落ちてしまいます。
ある程度ショップの運営が軌道に乗ってきたら、下記の道具を用意すると、より魅力的なショップを作ることが出来ます。
・高性能のカメラ
・画像編集ソフト
・その他、商品画像撮影に必要な小道具
質のいい商品写真や動画はユーザーの買いたいという気持ちを掻き立ててくれます。
もちろん実物とあまりにかけ離れていてはいけませんが、魅力的に感じられるものを用意しましょう。
アパレルECで成功するために大事な6つの戦略
アパレルECで成功するためには、ただ魅力的な商品を取り揃えるだけでは足りません。
ユーザーに注目してもらい、魅力を感じ取ってもらうための戦略を練る必要があります。
ここでは、アパレルECで成功するために大切な6つの戦略を紹介していきます。
顧客のニーズに合わせて商品を展開する
数ある商材の中でも、アパレル商品は特にトレンドの移り変わりが激しいものです。
アパレル商材を取り扱う以上は、常にトレンドにアンテナを張り、顧客が求めているものを考え、商品展開を考えていく必要があります。
また、仕入れで商品を揃える場合に特に注意しておきたい点として、季節商品の販売時期があります。
アパレルは季節や流行で価格変動の大きい商材なので、計画を立ててから仕入れるようにしましょう。
オリジナル商品を取り扱う場合でも、それぞれのアパレルショップでどの時期にどう商品が入れ替わり、どんなセールを行っているのかをチェックして、流行に乗り遅れないようにしましょう。
オムニチャネル化でユーザーの購買体験の質を向上する
アパレルECが成長した要因である「オムニチャネル」は積極的に取り入れるようにしましょう。
「ショップのSNSアカウントを見かけたユーザーが実店舗に訪れる」といった形で、ユーザーは自然な流れで複数チャネルを渡り歩いています。
それらのチャネルを企業側でも繋げて楽に行き来できるような工夫をすれば、自然と購買体験の質の向上へと繋がっていきます。
オムニチャネルはその性質上、単一の部門だけで実施できるものではありません。
しかし、新規開店の段階から意識しているならば無理なく進めていくことが可能です。
また、オムニチャネル化により一元化されたデータは、後ほど説明するファンマーケティングにおいても非常に役立つため、ショップの長期的な安定化のためにはやはり欠かせない施策だと言えるでしょう。
データを活かした施策でリピーターを獲得する(ファンマーケティング)
ファンマーケティングとは、文字通りユーザーをブランドのファンにすることを目的とした戦略です。
ファンが居ることによって、安定した売上が期待できるだけでなく、熱量の高い口コミやレビューで新たなユーザーを連れてきてくれたり、時には商品やサービスの改善案を出してもらえたりといった多くのリターンが期待できます。
特にECサイトの売上はリピーターによるものが大部分を占めると言われています。
ECで運営を安定させるためには必ず欠かせない手法だと言えるでしょう。
ファンマーケティングを行うためには、顧客に対するきめ細やかな配慮が欠かせません。
例えばページ構成が非常に分かりやすく、問い合わせにもすぐ返信が来て、商品注文から到着までの経路も透明性が高いECサイトがあれば、ユーザーは好感を持ちます。
購入履歴から予測したおすすめの商品をレコメンドしてもらえればぜひ試してみようと感じさせられるでしょう。
ユーザーの購入体験の質を上げ、購入後も適切なオファーを行うためにはユーザーに関するデータが必要です。
そのため、良質なファンマーケティングに必要な材料は、オムニチャネル化を進めることで手に入ると言えるでしょう。
それぞれの戦略はバラバラに実践するのではなく、このように連動させていくことでより効率的に段階を進めていくことができます。
サイトの宣伝・集客のために広告出稿とSNS運用をする
宣伝・集客は、自社ECサイトを運営するなら必須となります。
大手ECモールに出店している場合でも、価格以外の要素で他店に競り勝つためにはユーザーへの宣伝は欠かせません。
商材がアパレルなら、バナー配信型などのビジュアル面を前面に打ち出した広告の効果は他に比べて高くなります。
また、写真をメインとしたSNSであるInstagramに公式アカウントを作るのも有効です。
SNS運用は長く続ければ続けるほどショップの信頼感を上げる役に立ちます。
ユーザーとコミュニケーションを取ることで顧客ロイヤリティの向上に繋がり、ファンマーケティングの一環としても役立ちますので、ぜひ公式アカウントは作成しておきましょう。
ただしInstagramはTwitterと比べて拡散力に乏しいため、SNS広告の出稿やインフルエンサーによる宣伝を活用して、多くのユーザーにショップを知ってもらえるようなひと手間をかける必要はあります。
SNS運用で大切にしたいのは独りよがりなアカウントにならないことです。
こちらの売りたい商品だけを押し出すのではなく、ユーザーにとって役に立つ情報を発信し、フォローすると有益なアカウントだと感じさせましょう。
もちろん「最初の1ヶ月だけは更新していたけど後は放置している」といった状況は、信頼感という点では全く逆効果です。
一度公式アカウントを作ると決めたら、しっかりと腰を据えて運営していきましょう。
データ分析・改善を行う
ECサイトの強みの一つはユーザーのデータが蓄積されることにあります。
ショップの開設前に、仮想ユーザーを具体的に設定すべきだと書きましたが、これはショップに訪れたユーザーの年齢や性別、検索ワード、経由した広告などを分析することでユーザー像をより明確にしていくことが出来ます。
きちんと分析すれば、最初に想定していたものとは違うターゲット層が訪れているといった認識のズレにも気付けます。
ユーザーの滞在時間や離脱したページについて調査すれば、サイトの改善点も自ずと見えてきます。
例えば、サイトトップですぐに離脱してしまっているなら、商品ページに飛ぶための導線が分かりづらい可能性があります。
また、カゴ落ちが多ければ、決済までの工程をシンプルにしたり、アカウント登録をせずとも購入できるようにしたり、ユーザーの疑問にすぐ答えられるチャットボットを設置したりすることで解決するかもしれません。
分析の際は、ターゲット層が類似している他のショップと自分のショップを比較するのも有効です。
ページ構成やレイアウト等を比べることで、自分のショップに足りないものが何かというヒントを得ることができるはずです。
信頼感を持ってもらえる対応を心がける
ECサイトには対面での接客という工程がなく、ユーザーは自分一人で商品を選ぶことになるため選択に慎重になる傾向にあります。
またショップの顔が見えない分不信感を抱きやすく、それが買わない理由に繋がってしまいます。
ユーザーに信頼してもらえるかどうかに重きを置きながらサイトを構築するようにしましょう。
ユーザーは分からないことがあればそこに疑いを持ちます。
例えば、商品の写真が少なければ、品質をごまかすために枚数を減らしているのかと考えるかもしれません。
この疑問は、様々な角度から撮った写真を掲載したり、実際に着用しているモデルの映像を見せたりすることで払拭できるはずです。
同様に、ユーザーからの問い合わせには迅速かつ丁寧に対応し、また商品の注文後は出来るだけ早く届け、常に配送状況が確認できるようにすることで、ユーザーが不安を感じるタイミングや時間を減らすように心がけていきましょう。
開業したばかりでは難しい部分ですが、ユーザーレビューや口コミは信頼感を上げるのにかなり役立ちます。
企業ではなく自分と同じ立場のユーザーから与えられた情報だからです。
「レビュー投稿で割引クーポンをプレゼント」といった施策を使い、積極的にレビューを投稿してもらえる状況を意識して作りましょう。
まとめ
ここまで、アパレルECに関する基礎知識とアパレルECサイトを実際に開業するための方法、そして軌道に乗せるまでの戦略について説明してきました。
ECサイト運営で大切なのは「そのショップでどんな顧客をどのように満足させたいかどうか」を考えることです。
ユーザーの需要に合わせた商品を揃え、ユーザーが利用しやすいサイトを作り、ユーザーが魅力的に感じるような広告戦略を実行すれば、少しずつでも着実にサイトの売上は伸びていきます。