スマホやタブレットの普及に伴って従来のようなWeb上にあったECサイトをアプリでも使えるようにすることで、ユーザーの利便性が向上したり、さまざまなマーケティング施策を行いやすくなったりして、結果的に認知度拡大や売上増加につながっています。
今回はECサイトのアプリ化について、概要やメリット・デメリットなどについてもまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ECサイトのアプリ化とは
ECサイトのアプリ化とは、従来のWebブラウザ上で提供されているECサイトを、ユーザーがスマートフォンやタブレットなどのデバイス上で利用できるアプリケーション(アプリ)として提供することを指します。
これにより、ECサイトの機能やコンテンツをアプリとして開発・配信し、ユーザーが直接アプリを利用して商品の閲覧や購入、決済などの操作を行えるようにすることです。
アプリ化によって、ユーザーはデバイス上にアプリをインストールすることで簡単にアクセスできるようになるだけではなく、高速でレスポンシブな動作を可能にし、ユーザーの利便性を向上させることができます。
また、アプリではオフラインでの利用やプッシュ通知の受信など、デバイスの機能を活用したさまざまな機能を利用することも可能です。
ECサイトのアプリ化は、顧客との接点を増やして認知度を拡大させたり売上を伸ばしたりするための戦略として注目されています。
近年、Amazon、楽天市場はじめユニクロや業界や業種を問わずさまざまな企業がEC市場に参入しており、ECサイトのアプリ化は企業にとって欠かせない戦略の1つなっております。
ECサイトをアプリ化するメリット
ユーザーの利便性が向上する
アプリの特長として、Webブラウザよりも高速でレスポンシブな動作を可能にすることが挙げられます。
デバイスにアプリをダウンロードすると一定量の情報がデバイス自体に保存されるため、通信料を抑えながら利用することができます
また、アプリであればオフラインでの利用が可能なため、ネットワークに接続できない場所でも商品を閲覧したり、ショッピングカートに商品を追加したりすることができます。
ユーザーはいつでもどこでも手軽にアプリを起動し、ストレスなくショッピングをすることができるようになるのは大きいでしょう。
顧客データを活かした施策を打ちやすくなる
アプリはデバイスデータと紐付けることで、顧客の性別や年齢、趣味嗜好などの詳細なデータを取得しやすくなります。
また、ECサイトよりも利用される確率が高く、会員数が増えやすいのもアプリの特徴です。
アプリで得た顧客の購買履歴や行動履歴を分析すれば、ECサイトよりもパーソナライズされたコンテンツや推奨商品をユーザーに提供することが可能で、顧客のニーズに合わせたマーケティング施策や特典の提供が可能となり、顧客のエンゲージメントやロイヤルティ(企業やブランドに対する愛着・信頼のこと)を向上させることができます。
購入率(CVR)の向上が期待できる
購入率(CVR)の向上に期待できるというのも、ECサイトをアプリ化するメリットの1つです。
従来のECサイトでは、ユーザーは商品を手にとって見ることができないため、「本当に自分の好みのものかな」と不安になり、購入を迷ってしまうケースがありましたが、アプリでは、カメラ機能などを使用して実際に自分のニーズに合っているのかを確認してから購入できるようになります。
洋服の場合はバーチャル空間で試着したり、インテリア商品であればカメラを通して実際に自分の部屋に置いてみたりすることが可能になります。
実際に手に取ることができないという点ではECサイトもアプリも同じですが、スマホの機能を利用できるアプリでは、購入体験の質を向上することができるといえるでしょう。
新規顧客の集客に役立つ
アプリは「App Store」や「Google Play ストア」などのアプリストアで提供されるため、ECサイトと比較して多くのユーザーに知ってもらいやすいという特徴があります。
ランキングやレビューなどを活用したりASO(アプリストア最適化)を行ったりすれば、さらに露出を高めることができるでしょう。
さらにアプリをダウンロードしてもらったユーザーに対しては、プッシュ通知でアプリ限定の特典やキャンペーンなどをお知らせするのが効果的。
プッシュ通知はメールやDMよりも開封率が高く、新規顧客を取り込むのに役立ちます。
リピーターを獲得しやすい
アプリは「使えば使うほどお得になる」ことが多いため、リピーターを獲得しやすいというメリットがあります。
定期的にクーポンを配布したり、ポイントカード機能を導入したりすることで、顧客離れを防ぐ効果があるのです。
また、アプリ内でログイン情報やカート情報を保存することにより、ユーザーは定期的・継続的にアプリを利用しやすくなり、ユーザーにとって使い勝手が良いという面でも、リピーター獲得に役立つでしょう。
新たな収益チャネルが増える
アプリには、アプリ内の機能を完全無料で利用できるタイプと、課金することで新たな機能が使えるようになったり、使い勝手が良くなったりするタイプの2つの種類があります。
例えば、アプリ内での広告掲載や有料機能の提供、会員制プランの導入など、課金というアプリならではの特性を活かして、これまでのECサイトにはなかった新たな収益チャネルを得ることができます。
費用対効果が高い
アプリは一度開発・リリースできれば、比較的安定した運用が可能であり、アプリの機能やデザインの改善など、継続的なアップデートによって顧客体験を向上させることで、より良いROI(投資対効果)を期待することができます。
ECサイトをアプリ化するデメリット
開発に費用がかかる
ECサイトをアプリ化するには、アプリ開発に関する費用がかかります。
アプリの要件定義、デザイン、プログラミング、テストなど、複数の工程が必要となるため、場合によっては外注する必要もあるでしょう。
また、複数のプラットフォーム(iOSとAndroidなど)での対応や、異なるデバイスサイズや解像度に合わせたレスポンシブデザインの実装なども考慮する必要があります。
費用を抑えて開発するためには、自社の顧客を分析した上で開発デバイスを絞るなどの方法も検討するといいでしょう。
運用に工数がかかる
アプリは、開発・リリースしたらそれで終わりというわけではありません。
多くのユーザーに継続的に利用してもらうためには、定期的なメンテナンスやアップデート、バグ修正などの作業が必要となります。新しい機能の追加やセキュリティの強化なども重要な要素です。
アプリの運用には専門知識や技術的なスキルが必要となり、それに伴い一定の工数やスタッフが必要になります。運用は外注するなどの選択肢も理解しておきましょう。
ダウンロードしてもらうための施策を打つ必要がある
ECサイトのアプリを利用してもらうためには、ユーザーにアプリをダウンロードしてもらう必要があり、適切なマーケティング施策やプロモーションが必要です。
アプリの魅力を伝える広告やプッシュ通知、SNSの活用など、ダウンロード促進のための戦略を立て、実施する必要があります。
アプリストア内での競争も激しいため、競合のアプリと差別化する施策も重要です。
ECサイトをアプリ化するかどうかの判断基準
ECサイトのアプリ化を検討している方の中には、「自社の商品がアプリと相性が良いのか分からない」という方も多いと思いますが、無理にアプリ化する必要はありません。
アプリ化を進めるべきケース
- 主要なターゲットがスマホ・タブレットユーザーである
- 豊富な機能によって顧客体験を向上したい
- 顧客ロイヤルティやリピート購買の促進を行いたい
今すぐアプリ化を進めなくても良いケース
- ターゲットのスマホ・タブレット利用が少ない
- ECサイト自体の集客がほとんどない
- 開発・運用コストを捻出できない
費用対効果を十分に評価し、アプリ化によって得られるメリットとコストのバランスを考慮し、検討することが大切です。
まとめ
スマホやタブレットの普及に伴って注目されているECサイトのアプリ化は、これまでWeb上でしか利用できなかったECサイトをアプリ化してデバイス上で気軽に使えるようにすることで、ユーザーの利便性向上や顧客獲得、リピート率の向上、売上アップなどにつながるいっぽう、ECサイトのアプリ化には開発や運用に費用・工数がかかる、ダウンロードしてもらうための施策を打つ必要があるなどのデメリットも存在します。
自社のECサイトはアプリ化するべきか否かをきちんと判断した上で検討するようにしましょう。