EC市場が急激に拡大している背景のひとつとして、インターネット人口が飛躍的に増加したことが関係します。
昔はインターネットにアクセスするには高額なパソコンが必要でしたが、アクセスが容易な新しいデバイスとしてスマートフォンが普及したため、インターネット人口が急激に伸びました。
そのため先進国から途上国まで、世界中で誰でもインターネットに気軽にアクセスし、ECサイトで買い物をすることが可能になりました。
そんなECサイトですが、AmazonといえばECサイトでは誰しも知る存在で、また日本国内で売上高が圧倒的に1位のECサイトですから、マーケティング担当者や新規事業の担当者がベンチマークにすべき企業であるのは当然でしょう。
世界の主要国でナンバー1のAmazon
Amazonは中国を除けばシェアナンバー1で、アメリカ・ヨーロッパなどの西側諸国の国ではシェアはほとんど1位ですが、、巨大な中国のECサイト市場では、シェアもたった1.3%(2016年当時)しかありませんでした。
中国は世界一の巨大市場で、「天猫(Tモール)」と「京東(JD.com)」の2大モールでシェアをほとんど握っております。
中国政府は2大モールとの関係は良好であり、特に中国でのビジネスでは中国政府との関係が、成功の可否を握っておりますから、国内ECモールが優先されるのは当然でしょう。
そのため、中国でシェアを獲得することができなかったAmazonは、2019年4月に中国市場からの撤退を発表しました。
米国のEC市場の現状
中国に続き2位の米国のEC市場は、絶えず、新しいITサービスを生み出す国で、世界中のIT関係者が、その動向に注目しております。
実はAmazonだけではなく、アメリカにはそれぞれのジャンルで高いシェア率のECサイトがあり、大手小売で世界一のWalmartやTargetなどのチェーン店もECを展開しております。
またCtoCでは、eBayが最も人気があります。
近年は、米国ではモバイルでのECショッピングが伸びており、その伸び率を支えているのがGoogle PayやApple Payといったモバイル決済です。モバイル決済は音楽や書籍などのデジタルコンテンツの決済方法として使われていましたが、ECサイトでの導入も進んでいます。モバイル決済の普及がEC化率の伸び率に影響を与えていくでしょう。
米国では、AmazonやGoogle、Apple、Facebookといった超大手インターネット企業だけでなく、Uberなどのユニコーン企業も次々と誕生しており、世界のインターネット産業の中心地であり、誰もが想像のしないサービスが生まれれば、一気にEC化率が伸びるポテンシャルがあります。
Amazonと楽天の違いは「出品」と「出店」
Amazonと国内最大級のECである楽天の違いを知るには、自身が事業者として考えるのが一番理解が早まります。
あなたは売上を拡大するために、ショッピングモールへの出店を考えますが、そのときに候補になるのが「Amazon」と「楽天」でしょう。
Amazonで商品を販売する場合は「出品」という形ですが、楽天は「出店」という形になります。
それぞれの商品詳細画面に大きな違いがあります。
Amazonは全商品同じ画面で、商品のスペックや価格が見やすく、どのページを見ても同じデザイン・レイアウトで、分かりやすいです。
一方、楽天の商品詳細は出店する企業ごとにデザインやレイアウトが異なるため、慣れないユーザーにとっては見にくい、調べにくいといった特徴があります。
ただし、楽天はとにかく「楽天ポイント」が溜まりやすいため、ポイント狙いのユーザー(主婦層など)から高い支持を得ており、Amazonと楽天のどちらかを検討する場合は、ターゲット層のITリテラシーを基準に考える必要があるでしょう。
Amazonの今後の課題は東南アジア
2017年11月にアリババの時価総額4,700億ドル(約53兆円)がAmazonを一時、上回る出来事がありました。
日本経済新聞によると、アリババは中国や東南アジアでのECサイト市場の好調を背景にした結果と伝えています。
世界のネット市場でAmazonとアリババは熾烈なシェア争いをしており、その中心舞台は東南アジアです。
Amazonは、ネットリテラシーの高いユーザーの多いインドネシアにおいて、最短1時間で配達するサービスの「Amazon Prime Now」の提供をはじめました。
しかし、ライバルのアリババは「タイ、フィリピン、マレーシア、シンガポール、インドネシア、ベトナム」で展開している東南アジア最大級のショッピングモールのLAZADA(ラザダ)を10億ドルで2016年に買収しているなど競争は激化しています。
まとめ
東南アジアには中華系ユーザーが5,000万人おり、アリババグループのショッピングモールには、Amazonよりもなじみも親しみもあるでしょう。
東南アジアの多くの国では、まだまだ物流は整っておりません。
今後は両社が物流網を構築し、効率の良い商品の配送の仕組みを作っていくことが、シェア争いの勝者を決めることになるでしょう。