ECサイトをWordPressでつくりたいと考える事業者は多いのではないでしょうか。WordPressはサイト制作でよく使われるツールの一つですが、安易にWordPressでECサイトを作るのはあまりおすすめではありません。
今回はWordPressでECサイトを作るメリット・デメリットやおすすめの構築方法などを詳しく解説します。
目次
WordPressとは
WordPress(ワードプレス)とは、専門的なプログラミング知識がなくてもブログやWebサイトの構築・運用ができるCMS(コンテンツ管理システム)の一つです。
- オープンソースのため、無償かつライセンスフリーで利用できるから
- カスタマイズ性が高く、デザインのテンプレートや拡張機能も豊富だから
- WordPressに関する情報がネット上に多くあり、困ったときにすぐ解決しやすいから
このようにWordPressは使い勝手がよいシステムなので、HTML/CSSやPHPなどのプログラミング知識がある方なら、さらに細かくカスタマイズすることが可能ですが、WordPressの主な用途はブログやWebサイトであり、EC向けに開発されたものではありません。
そのため、ECサイトとして活用するなら「ECサイトに必要な機能やシステム」を搭載する必要があります。
WordPressでECサイトを作るのに必要な機能
カートシステム
WordPressをECサイトとして活用するなら、主に以下のような機能を追加する必要があります。
- カートシステム
- 決済システム
- 管理システム
- セキュリティシステム
- マーケティング機能
- カスタマーサポート機能
カートシステムとはいわゆる「買いものカゴ」のことであり、ECサイトを構成するもっとも基本的な機能の一つです。
ユーザーが欲しいと思ってカゴに入れた商品を記憶したり、購入時にはカゴに入れてある商品の合計金額を計算したりします。
決済システム
オンラインで商品を安全に購入・決済するためのシステムです。
決済方法には、カードや銀行振込、代金引換、後払い、電子マネーなど多岐にわたります。
ユーザーがよく使う決済手段を搭載していないと、購入まで至らず離脱するおそれがあります。
そのため、豊富な決済手段に対応できるシステムを選ぶのがおすすめです。
管理システム
商品情報、在庫情報、受注情報、顧客情報など、ECサイトの運営に必要な情報を管理するシステムです。
ECサイトで売上を上げるには、いかに日々のバックオフィス業務を自動化・効率化し、マーケティングや戦略などに時間をさけるかが重要です。
実店舗を持っている場合、ECサイトとの情報の連携も欠かせません。コストを削減し、事業にプラスとなるシステムを選ぶことが大切です。
セキュリティシステム
ECサイトを安全に運用するために、セキュリティ対策は必須です。
ユーザーの個人情報や決済情報などを預かるため、もし情報漏洩などの事故が起きたら大きな損失になります。
企業存続の危機に陥るケースもあるため、万が一の事態が起こらないために、万全の備えをしておきましょう。
マーケティング機能
ECサイトの集客や販売促進、データ分析にかかわる機能です。
例えば、クーポン発行やメール配信、クロスセル・アップセルなど「このような施策を打ちたい」と思っても、機能やシステムの問題で実行できないケースは実は少なくありません。
効果的なマーケティングを行い、売上を伸ばすためにも、豊富なマーケティング機能を搭載したシステムを選ぶとよいでしょう。
カスタマーサポート機能
電話やメール、チャットなどを活用して、ユーザーからの問い合わせや要望などに応える機能です。
カスタマーサポートを設けることで、ユーザーがより安心して商品を購入できたり、ユーザーの声を取り入れて商品やサービスを改善できたりします。
カスタマーサポートは売上に直結する部分ではないですが、顧客満足度に大きく関わるため、より質の高いコミュニケーションができるよう設計を進める必要があります。
ECサイトをWordPressで作るメリット
コストを抑えやすい
WordPressはオープンソースとして全世界に無償で公開されているシステムのため、構築・運用にかかる費用を抑えることができます。
そのため、コスト面が制約になりやすい個人や小規模の法人でも、比較的取り組みやすいというメリットがあります。
操作がしやすい
WordPressはCMS(コンテンツ管理システム)の一つとして、専門的なプログラミング知識がない人でも操作しやすいように進化しているため初心者でも始めやすく、更新・管理といった運用も比較的簡単にできます。
カスタマイズがしやすい
WordPressには「プラグイン(必要な機能を追加できる拡張機能)」が豊富にあるため、自由にサイトをカスタマイズしやすいです。
また、Webサイト全体のデザインを構成する「テーマ」も数多くあり、商品やブランドにあわせたデザインを演出することができます。
競合サイトとの差別化やブランディングなどを進めるうえで、デザインの自由度は大きなメリットになります。
集客にある程度強い
ECサイトを作っても、ユーザーを集客できなければ売上にはなりませんが、ブログ運営に適したWordPressを使えばSEOによる集客を狙えます。
さらには、「商品販売」と「ブログ」を同一ドメインで運用できるため、ドメインパワー(Webサイトの信頼度)を一ヶ所に集め、SEOに有利なサイト作りが可能になります。
困ったときの参考情報が多い
WordPressは世界中でもっともよく使われているシステムのため、WordPressに関する情報が数多く公開されています。
そのため、なにか困ったことやトラブルが起きた際には、インターネットや本などで参考情報が見つかるケースが比較的多いです。ただし、個人や小規模の開発を対象としたケースが多いので注意しましょう。
ECサイトをWordPressで作るデメリット3つ
WordPressでECサイトを作るとき、デメリットや注意点もあります。
セキュリティリスクが大きい
「WordPressは世界中でもっとも利用されているシステム」であり、それと同時に「世界中の悪意あるハッカーから狙われやすいシステム」でもあります。
実際、2017年にはWordPressで作ったサイト150万件以上が不正改ざんを受けたという事件も起きています。
ECサイトの場合、顧客の大切な個人情報や決済情報を扱うため、情報流出や不正改ざんといった事態が起きると、被害がより拡大するおそれがあります。
そのため、
・WordPressのバージョンを最新に保つ
・古いプラグインは使わない
といった基本的なことはもちろん、セキュリティリスクを回避する施策を継続的に行うことが大切です。
決済方法の種類が少ない
プラグインを使ってWordPressを作る場合、
・機能の制約が多い
・相性が悪くてエラーが出る
といった不具合や手間がかかることがあります。
Amazon PayやLINE Pay、定期購読(サブスクリプション)などに対応することで販売の機会を増やし、売上を伸ばしていきたい場合は注意が必要です。
カスタマイズには専門スキルが必要
WordPressは初心者でも操作がしやすい一方、細かい修正やカスタマイズをする際には、Webサイトやプログラミングに関する専門的なスキルが要求されます。
例えば、デザインを変更するならHTMLやCSS、機能を追加するならPHPなど、社内に専門的な人材がいなければ、思いどおりのサイトに仕上がるまでに想定以上の時間がかかってしまうかもしれません。
さらには、セキュリティ被害に遭わないためにも幅広い知識や技術が必要となります。
そしてECサイトを運営する以上、長期にわたって人材の確保が必要となるため、十分なリソースが見込めない場合は改めて構築方法を検討するのがおすすめです。
まとめ
コスト重視で小規模なECサイトを作りたい方にはWordPressはおすすめです。
もしWordPressでECサイトを作りたい場合は、技術やセキュリティがしっかりしているECシステムと連携させるのがおすすめです。
不明点あればサヴァリへご相談くださいませ。