今回は楽天の違反点数制度についてご紹介します。
なかなか触れることのない楽天のガイドラインを振り返ってを再確認し、これから違反リスクを回避しながら、より高い顧客満足度を得られるようにしていきましょう。
目次
楽天市場のペナルティ(違反点数制度)とは?
楽天市場にはショップ出店者向けにペナルティが設定されています。
楽天市場のルール・ガイドラインに違反した行為を行ったり、禁止事項に抵触したりすると、楽天市場上での運営に影響が出るような「表示制限」や「RMS(楽天市場の店舗運営システム)の利用制限」といったペナルティが課せられてしまいますので、注意してください。
とくに2016年9月1日から始まった「違反点数制度」は、毎年1月1日にリセットされる年間積算制の違反制度ですが、違反点数・違反レベルに応じたペナルティが設定されています。
- ランキング掲載制限
- 検索表示順位ダウン
- 一部媒体掲載制限
- R-Mail利用停止
- 一時改装中処理
- 違約金
- 原則契約解除
これらは違反点数・違反レベルに応じて適用されるペナルティで、違反点数・違反レベルが上昇するにつれて「適用されるペナルティの重さ」が変化します。
また年間積算制のため、1度ペナルティを受けた後も再度のペナルティに注意してください。
楽天市場がペナルティを設けた背景
運営者にとってはありがたくないこの違反点数制度ですが、楽天市場がこのような制度を設けた背景には「ユーザーが安心して利用し続けられるプラットフォームでありたい」という想いが込められています。
多様なニーズを持ったユーザーが利用するプラットフォームとして在り続けるためには、不正行為や、ユーザー・ショップ運営者の不利益を被る行為をルール・ガイドライン等で定め、利用者自身が主体的に遵守するよう仕組みを作ることが重要といえるでしょう。
楽天市場のショップ運営者はこうしたペナルティの設置をネガティブに捉えるのではなく、「今後のECビジネス・ECショップ運営のスタンダードになるもの」としてポジティブに捉えると良いでしょう。
ペナルティ(違反)してしまうとどうなるの?
違反レベル1になる35点になってしまうと、
- 7日間のランキング掲載制限、検索表示順位がダウン、一部媒体掲載制限、
- レベルⅠ講習【WEB】
といったペナルティが課せられます。
さらに違反レベルが5に達すると
- 56日間のランキング掲載制限、一部媒体掲載制限
- サイト自体の28日間一時改装中処理
- 違約金300万円
と大変厳しいペナルティが用意されています。
ガイドラインをチェックリストとみなして顧客満足度を高めよう
ペナルティの内容だけを見ると、非常に厳しいペナルティのように見えますが、これは楽天に寄せられているユーザー様の声を突き詰めてガイドラインと点数が設定されています。
逆に言えば、ガイドラインをチェックリストとしてキチンと対応していくことで、お客様の満足度が上がると捉えれば、ガイドラインに従って見直しを行う良い機会に繋がるとも言えるでしょう。
リスク回避の意味でも、この機会に徹底的な見直しを行うことを強くオススメします。
楽天市場でよくありがちなペナルティ例
楽天市場でよくありがちなペナルティ例を以下にまとめました。
ついついやってしまうショップ運営者もいらっしゃるかと思いますので、この機会に一緒に確認してください。
- 連絡がつかない・連絡が困難
- 明細書の入れ間違え
- 店舗関係者によるレビューの投稿
- レビュー投稿を条件とした特典の付与
- 外部サイトのリンク記載
- 医薬品医療機器等法(旧薬事法)への違反
- ランキング操作等を目的とした架空注文
連絡がつかない・連絡が困難
最も低い違反点数として設定されているのが「連絡がつかない・連絡が困難」という項目です。
「ユーザーもしくは楽天がショップに荷電し、営業時間中に連絡がとれない状況が複数回確認されること」で違反と判断されます。
これは違反点数が5点に設定されており、7回同じ行為が繰り返されると「違反レベル1」に達してしまいます。
違反レベル1では「ランキング掲載制限」や「検索表示順位ダウン」、「一部媒体掲載制限」などのペナルティが課せられ、実際のショップ運営に影響が出る内容となっています。
「1回5点だから大丈夫」と油断してしまいがちですが、年始の繁忙期にユーザー対応を疎かにしてしまうと、同年12月31日まで違反点数を引きずる形となり、ペナルティが課せられる可能性が高くなります。違反点数制度が1月1日にリセットになる旨をおさえ、普段から繁忙期の健全なオペレーションについて検討しておくことが重要です。
明細書の入れ間違え
納品書などの入れ間違えというのは、意外と多く聞かれるミスの一つです。
お客様の個人情報漏洩に繋がるという観点で、違反点数が15点に設定されています。
現在、納品書の入れ間違いなどがある店舗さんは必ず見直しを行ってください。
物流会社等外部に委託している場合でも、ミスがあった場合には違反点数に加算されるため、物流会社と違反点数に関しての話をする機会を改めて設けるなど、意識を徹底しましょう。
店舗関係者によるレビューの投稿
「店舗関係者」の定義がハッキリと明記されていますので、改めて確認しておきたい所です。
ガイドラインでは、「出店店舗様の役員及び従業員・委託先・提携先・家族・友人・その他出店店舗様と利害関係のある第三者」となり、これらの人が知らずにレビュー投稿を行ってしまうと違反点数80点になります。
特に大きな企業の場合、EC以外の部門に属している方やその家族が知らずに書いたとしてもこの定義にあてはまってしまうため、会社として注意喚起をしっかり行っておく必要があるでしょう。
レビュー投稿を条件とした特典の付与
ユーザーへの「レビュー投稿を条件とした特典の付与」も違反の対象となります。
レビュー投稿を条件とした特典の付与は「違反点数35点」となるため、一発で違反レベル1に達してしまいます。
仮に当該の違反が複数回繰り返された場合には、違反点数70点で違反レベル2(レベル1と同じペナルティだが期間が14日間)、違反点数100点で違反レベル5となり、原則契約解除、仮に出店継続判断となった場合でも「違約金300万円」といった想いペナルティが課されることになります。
ただし「レビュー投稿を条件とした特典の付与」のなかでも、「別送でのおまけの送付」「次回注文時に利用できるクーポン」などは、商品発送およびレビュー投稿の確認後にユーザーへ送ることが許可されています(レビューキャンペーン)。
ユーザーに送付するおまけや特典の限度額は景品表示法のルールに従う必要があるため、あらかじめ確認しておきましょう。またレビュー投稿確認後であっても、キャッシュバックや金券の送付等は一律禁止になっていますので、注意してください。
とくに「レビューの記載の強要」はより重いペナルティ(違反点数80点:違反レベル4)で違約金も発生するため、こちらも注意しましょう。
外部サイトのリンク記載
「楽天市場から外部サイトへのリンクを貼ること」は、禁止事項となっています(違反店数35点)。
外部の自社サイトに誘導をしたいという考えが生まれる理由としては、楽天市場ではRMS(楽天市場の店舗運営システム)の利用に関してランニングコスト(月額費用)が請求されます。プランや売上に応じて請求金額は変化しますが、例えば「目標月商50万円」「予想客単価3,000円」「商品ジャンル:ファッション」とした場合、ランニングコストの試算結果は約52,000円〜64,500円となります。
ショップ運営者は改めてご自身のショップに外部サイトへのリンクが記載されていないかチェックしましょう。ちなみにサイト外へのユーザー誘導も、違反点数35点に該当します。
医薬品医療機器等法(旧薬事法)等への違反
楽天市場の「出店審査や取扱商材に関する注意事項」にも記載があるように、医薬品や医療機器などを楽天市場で販売する際は、事前の申請が必要となっています(違反点数35点)。
また医薬品や医療機器には「医薬品医療機器等法(旧薬事法)」をはじめ、食品衛生法・健康増進法・景品表示法などの法律が関係します。したがって医薬品や医療機器の「効果・効能」を記載した商品説明を行っている場合は、これらの法律に抵触する可能性があるため注意が必要です。
楽天市場では「医薬品医療機器等法(旧薬事法)等についてご不明な場合は、所轄の都道府県薬務主管部(局) へご相談願います」と案内を出しており、ショップ運営者の自主的な取り組みを推奨しています。
ランキング操作等を目的とした架空注文
楽天市場におけるランキング操作等を目的とした架空注文が発見された場合、楽天市場は違反点数80点、違反レベル4に該当するペナルティを適用する可能性があります。
「楽天ショップ内での評価を上げるために不正に大量の架空注文を行う」といった行為は誰もが違反行為と推測できますが、「ショップ立ち上げ時のテスト注文」など、キャンセルすべき注文を誤って決済してしまうケースに注意しなければなりません。
楽天市場のガイドラインにも記載がある通り、「合理的な理由のないテスト注文」が違反の対象となるため、ショップ立ち上げ時のテスト注文などは該当しない可能性が高いです。しかしショップ運営者は「放置しているテスト注文はないか」「ショップ関係者が架空注文となり得る施策を計画していないか」といった事柄をこの機会に確認し、ランキング操作を目的とした架空注文となってしまう恐れがないか、チェックしましょう。
楽天市場の違反点数制度にひっかからないために気をつけるべきポイント
楽天市場の違反点数制度に該当しないようにするには、違反点数制度の概要を確認するとともに、以下の2点を確認しておきましょう。
- 楽天市場が目指す姿
- 出店審査や取り扱い商材に関する注意事項
これらの資料を確認することで、楽天市場が「どのようなプラットフォームを目指しているのか」「ユーザーやショップ運営者にどのような姿勢を求めているのか」を知ることができます。
まとめ
楽天市場の違反点数制度について確認しましたが、「バレなければいい」「ギリギリを攻めよう」といった考え方ではいつか楽天市場の禁止事項に違反してしまい、店舗運営に支障をきたすペナルティを被ることになります。
ペナルティや違反はたしかに面倒ですし注意したい事柄ですが、楽天市場に対する意識を向けることで自然と回避できるものも多いでしょう。
実店舗の運営も含め、ユーザーやプラットフォームに敬意を持った運営ができているか、確認する機会にしましょう。