楽天は「楽天市場」全店舗にチャットボット機能を導入しましたが、このチャットボットというのはどういう機能なのか?
今回は楽天を含めたチャットボットについてフォーカスを当てたいと思います。
目次
チャットボットとは
チャットボットとは「チャット(会話)」と「ボット(ロボット)」を組み合わせた言葉で、自動会話プログラムのことを指します。
チャットボットの型は様々ですが、パターンマッチ型、人工知能型など様々な種類があります。
LINE、Facebook messengerなどメッセージングアプリといった、文字でコミュニケーションを取るものをチャットと呼びます。
そういったチャットツール、あるいはSNS上で「自動で発信、返答を行うもの」をボットと呼びます。企業で開発したものだけでなく、個人レベルで開発されたものもあり、種類は様々です。
また最近では音声でやり取りを行える、「AIスピーカ」というものも出始めています。
チャットボットは大きく2種類
チャットボットは、大きく2つに分類されます。
設定したシナリオに沿って会話を進める「シナリオ型」、AIが学習したデータから質問に対する最適な回答を選択する「AI型」です。
シナリオ型
シナリオ型のチャットボットはユーザーに対していくつかの選択肢を提示、その選択肢の中からニーズに合ったものを選択する仕組みです。
チャットボットは選ばれた選択肢に沿ったアクションと選択肢を提供し、その繰り返しによって質問を絞っていくツリー構造でコミュニケーションを行いますが、言い換えればチャットボット自体は会話を認識しておらず、あくまで事前に作成したシナリオのとおりに分岐していくため、「よくある質問」など、ある程度定型化された問い合わせへの回答や、アンケート回答などのマーケティングに利用されることが多いもの、シナリオに設定していない回答ができないこと、複雑な質問への対応が難しいことが挙げられます。
ユーザーにテキストを入力させる必要がないため、テキスト入力が苦手なユーザーでも利用しやすい点もメリットといえるでしょう。
AI型
AIチャットボットは、機械学習が搭載されたチャットボットを指します。
ユーザーによる表現のゆらぎにもある程度対応できるため、シナリオ型よりも複雑な質問に対して回答が可能で、事前に学習させたデータに加え、使用履歴に基づいて収集したデータをAIが学習することで、回答の精度を高めていきます。
AI型チャットボットのメリットは、蓄積されたデータを学習するため、ユーザーが利用すればするほど、回答の幅が広がっていくことです。有人対応のような受け答えが可能になるため、今までオペレーターが対応していた問い合わせも、チャットボットで解決できるようになりますが、運用ベースに乗るまでにある程度の学習期間が必要なこと、高度な機能が搭載されているため、導入にはコストがかかることが挙げられます。
AI型チャットボットを導入する際は、価格帯だけでなく、精度の高さや導入後のサポートについて確認しましょう。
また、高性能のAI型チャットボットであっても、苦手な領域は存在しており、人間の判断が必要なほどあいまいな表現、専門的な知識が必要になる高度な質問、個別案件やクレームへの対応はできません。
楽天市場のチャットボットとは
楽天市場の各ショップへの問い合わせをボットが自動応答するよう対応して店舗様の負担軽減、「楽天市場」としての顧客対応力アップにつなげることを狙いとしています。
導入費用が無料というのは嬉しいですね。
使い方としては購入履歴一覧の「ショップへの問い合わせ」をクリックすると、チャットボットが対応するようになっており、店舗様側の対応が多い決済、返品ポリシー、営業時間の確認についても自動で対応できるようになっています。
とはいえ、記載情報が不十分の場合、店舗は必要な情報を入力する手間が発生する可能性がありますので注意しましょう。
チャットボットのメリット
人的コストを削減できる
あらかじめユーザーからの問い合わせ内容を想定し回答を組み込むことで、問い合わせ対応を完了させられるので、人的コストの削減に繋がります。
一般的なサービスに寄せられる質問の70%は「よくある質問」ですので、シナリオに盛り込むことで訪問者の自己解決を促せます。
ユーザーとの接点の増加が見込める
ユーザーはお問い合わせ、資料請求などをせずとも、チャットボットなら簡単な操作で、リアルタイムに企業からの回答を得られます。
電話やフォームメールによる問い合わせを行うまでのモチベーションがないユーザでも、チャットだと話し言葉や短文でも問い合わせできるため、問い合わせの数が増加します。
検索ニーズとのマッチングができる
チャットボットならユーザーが欲しい情報をすぐ提供できることで、ユーザーにとってはホームページをあちこちと見る手間が減るため、顧客満足度向上につながります。
チャットボットのデメリット
導入コストや時間がかかる
チャットボットはフリーワードでの回答や、細かな質問に答えようとすると、データの作成、またそのデータの管理などが必要になります。
シナリオ外の質問、データベースにない細かな質問への回答が行えない
選択肢タイプ、ハッシュタイプで見られるデメリットです。
対応外の質問には、カスタマーサポートを設置、適宜応対する必要があります。
人間的な回答を行えない
チャットボットは回答の内容が機械的になってしまうため、人の感情を汲むということはできません。
そのため見る人によっては冷淡な印象を受ける場合があります。
まとめ
チャットボットとは、チャットを用いた自動会話プログラムで、コンピュータが人に代わって問い合わせ窓口に立つことで、24時間対応可能かつ人件費の削減を実現させています。
人員のコストカットだけでなく、ユーザーの欲しい情報を素早く提供できる、チャットボットを利用したユーザーへの発信が可能など、顧客接点の増加やコンピュータ自身が学習を行う「ディープラーニング」の研究が進み、自然な会話の実現に向けた動きもあります。
しかしチャットボットだけでは、顧客が満足する回答は行えていないのが現状で、チャットボットの対応できない範囲は、従来のように従業員が対応する必要があります。
それでも問い合わせ時間のリソースを大幅に確保できることを踏まえると、非常に大きなメリットといえますので、有効に活用していきましょう。