今回ゲスト、株式会社リンクス 代表取締役 小橋重信 氏は、「物流から日本の企業を元気にする」をミッションに、事業会社の物流改善や物流戦略の見直しなどをご支援されていらっしゃいます。
小橋氏に『EC物流』についてお話をお伺いしました!
▽2024年問題は、現状どうなってますか?
2024年問題は物流が注目されるいい機会になりました。ものが運べなくなっている時点でコストはじわじわと上がり、企業が個々になんとかやっているにしても、マクロで考えると物流が悪化してゆく傾向にあるのは間違いないです。
人によっては宅配に注目していますが、本当の意味での2024年問題はドライバー不足の問題です。世の中で走っているトラックの大半は実はBtoB向けで、BtoCの宅配はほんの一部だという考え方もありますし、2024年問題における総労働時間の規制は、長距離ではないラストワンマイルの宅配ドライバーには大きく影響しないと捉えています。
▽配送の下請け構造の問題点は?
下請け構造が積もりに積もって、結局労働時間が長く賃金が安いという一番儲からず誰もやりたがらない仕事に成り下がってしまったのがドライバー問題です。巡りに巡ってものが運べなくなり、結果的に配送費がじわじわと上がってしまうという問題になっています。
その中で、2024年に楽天は最強配送といって、宅配することの条件を厳しくしました。自分たちの商品の365日配送や、翌日配送など細かい条件を出して、配送レベルではAmazonに引けを取らないようにしました。
しかし、ヤマト運輸が2024年11月20日に今年の2月20日でフルフィルメントの休止を発表しました。無理してお互いチキンレースをしてきた綻びが出てきました。大手はある程度投資ができますが、中小企業はそういった大きな流れに抗えない状況が今まさに目の前で起きています。
2024年問題は国も法律で規制してゆく動きのきっかけになりましたが、色々な施策の効果が出るにはものすごく時間がかかる気がします。
▽物流を確実に回す共同物流とは?
物流を全般的にみた時に、2024年が始まって急に物流が悪くなったのではなく、以前からずっと言われてきました。人口減少とは別に、日本の場合はマーケット市場が細かく分散しているが故に、ものを届けるということが至極当たり前になってきたことに少しずつ無理が出てきています。
食品系で言えば、大手のカゴメでさえ、ものが運べなくなる可能性があるということで、F-LINEという共同物流をする会社を立ち上げました。北海道や九州などの離島の大きなマーケットに対して個別でものを届けてきた会社が配送を確保するのが難しくなってきました。かかるガソリン代やドライバーの拘束時間は一緒なので、小さな荷物の場合はトラックを満載にしなくてはならず、自ずと配送の頻度が減少するのでものが届くまでの時間がかかってしまいます。よって、大手食品会社は共同物流で運ぶ動きになってきています。今はどちらかというと多頻度でいかに細かく物を届けてゆくかが重視されているため、物流コストは上がっていく一方です。その中で、F-LINEのスローガンが「競争するのは商品、物流は共同で」に変わりました。そういう割り切りの中で、ものをどう届けるのかをインフラと考えると、Amazonや楽天物流を入れるのも理にかなっていると思います。EC事業者はどうあるべきか考えるべきところです。
▽在庫分散が得策?物流拠点の戦略とは?
調達物流と販売物流の2つをうまくコーディネートしないとコストが下がらなくなってきました。物流拠点が分散すれば、1箇所で持つより在庫が増えて無駄な作業が発生しますが、サブスク型のように、保管した物量だけに応じて課金する物流サービスが出てきています。東京から東京と、東京から九州で比べて20~30円程度の差であれば、1箇所においてあった方がいいのですが、200~300円になれば、一番近いところから配送してしまった方が結果的に下がるので、物流拠点は分散する考え方も出てきます。
また、オムニチャンネル寄りの話にはなりますが、店舗の在庫を生かそうという話も一部出てきています。日本でいうと、しまむらやワークマンがそれにあたります。ECで購入し、商品の受け取りは店舗にすれば、その分配送費がかかりません。そうなった時に戦い方が変わってくると感じています。ストック型で在庫を保管するのか、ある程度短いサイクルでぐるぐる回すかによっても物流拠点のあり方が変わってくるような気がします。
このほかにも盛りだくさん、『EC物流』について公開しています!
EC物流についてご検討中の企業様のご参考になるかと思います!
それでは、小橋氏流『EC物流』、ぜひお楽しみください!
~第287回 ゲスト~
小橋 重信 氏
株式会社リンクス
代表取締役
アパレルメーカーにてブランド運営10年 その後、ソニー通信サービ事業部にてIT営業3年。EC物流の新規立上げをきっかけに物流会社に転職。現在は、物流コンサル会社リンクスを立上げ、「物流から日本の企業を元気にする」をミッションに、事業会社の物流改善や物流戦略の見直しなどを支援。日本オムニチャネル協会ロジスティクス部会リーダー。ダイヤモンド社より「メーカーの仕事」を共著にて出版。物流系YouTube「ロジカイギ」配信中
EC運営に役立つ資料が満載!

EC運営に役立つセミナーを毎月開催中!

当社のEC運営代行サービスについて
