今回ゲスト、株式会社MiLの井上 剛貴 氏は、マーケティング責任者として、リリース直後の「the kindest」ブランドのD2C領域やリテールへの販路拡大を含めた急成長に貢献。現在では複数カテゴリに拡張する「the kindest」ブランドのオンライン・オフラインでのマーケティング・営業効率の最大化を目指した体制作りに従事されています。
井上氏に『D2CとB2B』についてお伺いしました。
▽ 株式会社MiLとは
私たちは子育て家族に向けた食にまつわる周辺をサポートするブランド「the kindest」を展開しています。
D2Cでスタートし、直近では某赤ちゃん専門店やドラッグストアなどのオフラインの店舗さんにも一部お取り扱いいただいて、かなり順調に拡大しています。
メインはベビーフード、幼児の栄養補助食品、おやつや飲料などの商品があります。
オンラインは自社ECとAmazon、楽天もやらせていただいています。
▽ 売れるベビーフードとは~市場をとりまく社会環境の変化~
5年程前には、離乳食をベビーフードに頼るのはやや愛情不足だというイメージがありました。
またお母さんが今日はちょっと疲れたから、お出かけに行くから、といったスポット使いがメインになっていました。
しかし最近では女性の社会進出も進んできて、お父さんお母さんも仕事と家事と育児で忙しいなか、離乳食期をまるっと私たちに預けてください、とご提案しています。
美味しいかどうか、栄養が大丈夫か、食材をいっぱい体験させてあげられるか、本来どおりに全部こだわって、手作りと同水準またはそれ以上のクオリティで提供しています。
大体平均相場の3倍ぐらいの価格で提供しています。
▽ 相場の3倍でも売れる!コツとは
私たちが一番うまくいったと思うのは、離乳食期が始まる少し前段階の調べる、準備するというフェーズに照準を向けたことです。
5ヶ月から離乳食が始まりますが、およそ3ヶ月頃に離乳食の情報を提供する形で、大体出生の10%ぐらいは簡易プログラムで無料会員さまになっていただいています。
そこでしっかりと我々のブランドの思いや背景、ストーリーなどを共有、発信し、価格が高いけど試してみようかな、といったお客さまを徐々に増やしていくことに成功したと思います。
例えばメタ広告などでは、瞬間的にしかお客さまと接点が持てないので、思いやストーリーを伝えませんが、前のタイミングでしっかりと長い時期間コミュニケーションを取るのは有効でした。
ベビーフードのマーケットが縮小していくなかで、そこに注力度を上げているブランドが結果的に私たちだけだったはひとつの勝因だと思います。
私たちは会員さまのお子さんのデータ、お子さんが今何ヶ月だという情報も取らせて いただくことによって、育児のフェーズにあわせて適切な商品のご提案をさせていただくことができます。
育児に関するtipsなども提供しており、会員様の解除率は少なく、90~95%ぐらいは残っていただいています。
それぞれのタイミングにあわせてシナリオを作り、全員会員さん向けにお届けしています。
お客さまからお問い合わせいただくことで、配信の内容を自分のお子さんに合わせてもらうこともでき、いわゆるCRM(=Customer Relationship Management)を実践しています。
▽ D2CからB2Bへ ~店舗で売れる戦略とは~
現在では、売り上げの半数がオフラインで、個数ベースではオフラインの方が多いです。
某赤ちゃん専門店さんなどの6割~8割ぐらいでお取り扱いをいただいており、これからドラッグストアやスーパーマーケットさんなどにも徐々に拡大中といったところです。
店舗をお持ちの企業さんも成長にあたって、店舗数を増やすことで成長されているところが多いと思います。
各小売店さんも客単価を上げていくのが課題としていたところ、プロモーション施策をやりながら当ブランドのストーリーを伝え、高い単価でもある程度売れてきたタイミングで、小売店さんの課題ともマッチしたのだと考えています。
出生数は減っていますがベビーフードの市場は伸びています。お子さんへの投資金額がシンプルに伸びているのですが、その要因としていろんな社会背景が影響しているのだと思います。
業界の常識で離乳食は安い単価でしか売れないというのがあり、ベビーフードの棚に200円で類似のブランド品が並んでいるなかで、全く別のとがったものを置いたことで新規のお客さまを獲得できたのだと思います。
この他にも盛りだくさん、『D2CとB2B』について公開しています!
ハイブリッド販路で売上向上をめざす企業様のご参考になると思います!
それでは井上氏流『D2CとB2B』についてぜひお楽しみください!
~第277回 ゲスト~
井上 剛貴 氏
株式会社MiL
オンライン営業事業部事業部長 オフライン営業事業部リテール企画グループ長
新卒で大手広告代理店に入社。デジタルマーケティング、ブランディング、新規事業開発等を経て2021年に退職。2021年5月に株式会社MiLにマーケティングの責任者としてジョインし、リリース直後の「the kindest」ブランドのD2C領域やリテールへの販路拡大を含めた急成長に貢献。現在では複数カテゴリに拡張する「the kindest」ブランドのオンライン・オフラインでのマーケティング・営業効率の最大化を目指した体制作りに従事。