今回ゲスト、世界へボカン株式会社 代表取締役 徳田氏は、
「日本の魅力を世界へ伝える」というミッションの元、デジタルマーケティングを
駆使した日本企業の海外進出支援を14年以上にわたって取り組まれています。
徳田氏に「伝統工芸の越境EC」についてお伺いしました!
▽伝統工芸の越境ECをあえてクローズアップしたのはなぜですか?
僕は越境ECを15年やってますが歴史の変遷があって。
今は伝統工芸ももちろん売れるのですが、東南アジア製の偽物とかがモールに置いてあった時にこっちは5千円、こっちは2万円で違いがわからないと。
そうなった時にやはり安い方がリスクが少ないから買うんですね。
すると「僕は南部鉄器にすごく期待してたのに期待したものが来なくてがっかりした」と日本語サイトにDMが来るようになったんです。
本物が欲しい人とその形をしたものが欲しい人がいる中で、やはり徐々に皆さん目が肥えてきてこれちょっと違うんじゃないかなと気づき始めたんですよ。
これまで職人さんを取り纏めているメーカーさんはBtoBの取引で卸していたんですね。
その卸し先がAmazonに載せたり販売されたりしていたので、メーカーもお客さんとの接点を持っておらず伝えるべきメッセージを伝えずモノだけを輸出していたんです。
南部鉄器の職人さんから伺ったのは、自分達はどんなお客さんが手に取ってくれているのか全然分かってないんだなと。
やはりお客さんとの接点を持つことが大切というのと、その物だけじゃなくどんな人が作っているのかや、ストーリーや歴史という他の人に真似できないところを伝えていかないと、自分達は生きていけないんじゃないかと気づいたらしいんですね。
国内だと高いと言われてしまうけど海外の方だと「本物なら安い。もっとお金出すからいいもの作って」と言ってくれる。
そうなった時に海外にも目を向けることが大切なのではというところや、職人さんが高齢化していて次世代に引き継ぐという時に、今はもしかしたら現状価格でも食べていけるかもしれないけど若い世代がそこに魅力を感じるかと。
そういった時にやはり越境ECは必要だなと感じてきたんです。
▽伝統工芸だけでなく人の手が入る工場全てに必要ですよね。
南部鉄器も包丁もそうですし、手が入って人的コストがかかるものって価値を伝えないと売れないじゃないですか。
そうするとAmazonみたいなモールじゃなく独自ドメインサイトで展開していき、しっかりストーリーから伝えて価値を感じていただく、伝えることをやらないといけないです。
ただ何か伝えた方がいいと思うものの今まで接点がなかったので、海外のお客さんの理解がどこまであるのか、なぜ買ったのかをインタビューすることと、作り手にこれはどういう特徴があって何が違うのかと聞くこと、両方やらないといけないんです。
お互いのこの2質と、伝えたいことと伝わっていることをマッチさせるという今はそこをひたすらやってます。
▽マニアックな人達ってお金じゃなくモノをあげる方がよっぽど喜んで話してくれますよね。
おっしゃる通りで、土佐の包丁があるんですが、イタリアで買ってくださったシェフがその包丁で切った動画を送ってきてくれるんです。
魅力をちゃんと分かってくれているその人の素材を最近使わせていただくとやっぱり全然変わるんですね。
どれくらいのフォロワーがいるとかじゃなくて、その人のコミュニティが100人でも熱量があれば本当に伝わるんです。
ウェブサイトに来た時に包丁とかって全部同じ形に見えるじゃないですか。
どれが自分にとっての悩みや課題解決につながるものなのか違いがわからないので、そこをメーカーさんの説明などをウェブサイトに落とし込むと売れるようになるんです。
そういう一つ一つの取り組みをやることで職人さんの待遇が改善されて外の人も喜んでくださってメーカーさんも続けられてという、三方良しの世界が広がるのかなと。
▽ニッチな商品の場合そこに市場性があるかはどう判断しますか。
Googleのキーワードプランナーでも日本の包丁みたいな検索ワードって一定数あるんです。
ただ別に海外のナイフでもいい人もいるし、拘ってる人もいるし多岐にわたるんですね。
なので国ごとの検索結果で皆がどんなことを考えているのかを見にいったりユーザーに聞いたりしています。
あとお金的に欲しい人と買えるという人はまた別なので。
可処分所得みたいなところも、提供データなどを見て絞っていき自分たちが本当に誰に届けたら売れる可能性が高いのかや、価値を感じてくれるのかみたいなところをひたすら調べます。
このほかにも盛りだくさん、伝統工芸の越境ECについて公開しています!
伝統工芸品のECをご検討中の企業様のご参考になるかと思います!
それでは、徳田氏流『伝統工芸の越境EC』、ぜひお楽しみください!
~第143回 ゲスト~
徳田 祐希(トクダ ユウキ)氏
世界へボカン株式会社
代表取締役
「日本の魅力を世界へ伝える」というミッションの元、デジタルマーケティングを駆使した
日本企業の海外進出支援を14年以上にわたって取り組む。2014年に前職の事業部をMBOして
立ち上げた世界へボカン株式会社には、アメリカ、オーストラリア、マレーシア、中国、モンゴル、
日本といった多国籍のメンバーが在籍し、調査・戦略立案から他言語サイト構築、プロモーションまでを
ワンストップで提供している。JETROにて越境EC、海外BtoBマーケティングの講師としても活躍中。
Shopifyマーケティングエキスパート。
著書に『はじめての越境EC・海外Webマーケティング』(WAVE出版)がある。