楽天市場で公式商品が転売されると、メーカーが想定していない品質・保存状態の商品が流通する恐れがあります。
その結果、消費者からの信頼が損なわれ、レビューに低評価が集まれば、楽天市場内だけでなく、他モールや実店舗でも販売に悪影響を及ぼす可能性があります。
この記事では、楽天市場における転売のリスクと、その対処方法として実施すべき3つの施策を、ガイドラインの内容とともに解説します。
目次
楽天市場における転売がもたらすリスクとは?
楽天市場は、Amazonと比べて商品の魅力をビジュアルやコンテンツで表現しやすく、ファンを育てやすいECプラットフォームです。
しかし、その自由度が高い環境下で、非公式の転売品が出回ると、ブランドの世界観が崩れ、イメージの低下を招くことになります。
楽天市場で明確に禁止されている商品
以下は、楽天市場のガイドラインで販売・譲渡が明示的に禁止されている商材の一部です。
- 金融商品(口座・通帳・カード類など)
- ポイントやマイレージ、会員証など
- 航空券・チケット類
- デモ・サンプル盤のCD/DVD
- メーカー非売品や販促グッズ
- 開通済みの通信機器
- ノベルティ品(お買いものパンダグッズなど)
さらに、メーカーが明示的に転売禁止を宣言し、自社直販のみに流通を限定している商品であれば、楽天市場において無断転売された際に「規約違反」として通報することも可能です。
ただし、実際には楽天市場側がすべての転売案件に対応するわけではなく、申請が通らないケースも存在します。
たとえば、楽天のヘルプセンターでも「商流に関する申請には対応できない場合がある」との記載があるため、プラットフォーム依存ではなく自社でできる対策を進めることが重要です。
不当な価格設定も規約違反に該当
災害や人気の急上昇によって一時的に需要が高まった商品を、不当に高値で販売する行為も、楽天市場の価格設定ルールに反します。
とくに、市場価格から大きく乖離した転売品は、運営側から出品停止や契約解除などの処分を受ける可能性があるため、転売業者の行動には注意が必要です。
転売によって発生する主なデメリット
転売が発生した場合、メーカーや正規販売店は以下のような問題に直面します。
正規店舗の売上が減少する
プロモーションによって関心を持った消費者が楽天市場で検索した際、公式ではなく転売業者の出品が上位に表示されると、売上の機会を失ってしまいます。
結果として、本来の購入導線が分断され、公式ショップの販売数が減少することにつながります。
ブランドイメージの損傷
転売業者がブランドの意図に沿わない商品説明や画像を用いたり、価格を自由に変動させたりすると、ブランドの世界観が崩れます。
また、転売品が不適切な保管や発送によって損傷し、ユーザーが不満を持てば、低評価のレビューがつきやすくなります。
これが原因で、他モールや店頭販売にも悪影響が及ぶことがあるため、ブランドの信頼維持のためにも対応が欠かせません。
楽天市場における3つの転売対策
楽天市場での転売を防ぐためには、以下3つの観点から対策を実施するのが有効です。
公式ショップの露出と販売比率を高める
楽天市場では、非公式の出品を完全に排除することは困難です。
だからこそ、公式ショップの検索順位を高め、ユーザーに「ここが本物」と伝える設計が不可欠です。
実施すべき4つの施策
SEO対策の強化
商品名・ブランド名をページタイトルや商品説明文に適切に配置し、検索結果で公式商品が目立つようにします。
広告の最適運用
検索連動型広告(RPP)を活用し、ブランド関連キーワードで上位表示されるように調整しましょう。
デザイン統一で公式感を演出
商品画像にブランドカラーやロゴを反映させ、一覧画面で公式ショップと転売出品を区別できるようにします。
安定した在庫の維持
在庫切れが頻発すると、ユーザーは転売品に流れてしまいます。常に安定供給を意識し、購入機会を逃さないようにしましょう。
転売業者の購入を抑止する工夫
「転売目的での購入はご遠慮ください」「転売の疑いがある注文はキャンセルします」といった注意文を商品ページに記載することで、牽制効果を持たせることが可能です。
また、明らかに通常の消費量を超える注文があった場合は、キャンセル処理を行うことも有効です。
さらに、購入可能数の上限を設定しておけば、大量購入による在庫の枯渇も防げます。
セール時やポイント増量キャンペーンなど、転売業者が狙いやすいタイミングには、事前に数量制限や注意文の強化を行っておくと安心です。
楽天への違反通報
楽天市場には、知的財産権の侵害や不適切な商品表現に対する申告窓口があり、一定条件を満たせば商品ページの削除対応が行われることもあります。
「権利者侵害通知」の活用例
画像やテキストの無断使用に対して削除申請
メーカーが撮影・作成した素材を無断使用している場合、削除依頼が可能です。
商標権や著作権の侵害申請
商標登録されたブランド名やロゴの使用に関しても、侵害が確認されれば削除対象となります。
なお、流通経路に関する申告(=商流の違反)については対応が限定的なため、あくまでも知的財産権の侵害を中心とした申請が現実的です。
楽天以外の転売ルートも視野に入れた対応を
楽天市場での転売を食い止めるためには、転売業者の仕入れ先や販路を封じることも有効です。
たとえば、フリマアプリで継続的に出品している同一ユーザーがいれば、該当アプリの運営会社に出品停止を依頼することも可能です。
ただし、フリマアプリによっては転売行為を黙認している場合もあり、必ずしも迅速に対応されるとは限らない点に注意しましょう。
対策が難しい場合は外部委託の検討も
転売対策には、SEO設計、広告運用、在庫管理、クリエイティブ制作など多方面の対応が求められます。
すべてを内製化するのが難しい場合は、楽天市場運営に特化した代行会社への委託も選択肢のひとつです。
専門性の高いパートナーに任せることで、工数を削減しながら精度の高い転売対策が可能になります。
まとめ
楽天市場は、商品コンテンツの表現力に優れており、ファンとのつながりを深めやすいプラットフォームです。しかしその特性ゆえ、転売による悪影響が拡大しやすくもあります。
転売によるブランド毀損を防ぐために、以下の3つの観点から継続的に対策を行いましょう。
- 公式店舗の販売比率向上
- 転売者の仕入れ防止
- 違反出品の通報
ブランド価値と売上を守るためには、手間がかかったとしても積極的に対応する姿勢が求められます。
長期的な信頼構築と収益安定を目指し、計画的な転売対策に取り組んでいきましょう。
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