インターネットでのショッピングが当たり前となった現在、事業者様にとってECサイトの重要性は増しており、とくにECサイトで売上を伸ばしていくには、自社の商材や市場、事業規模に合ったマーケティング戦略が必要不可欠といえるでしょう。
今回は、ECサイトの売上を伸ばしていくための基本戦略をわかりやすく解説します。
目次
ECサイトにおける戦略の基本
ECサイトの売上を伸ばしていくには、まずは売上がどのような要素で構成されているのかを理解することが大切です。
ECサイトの売上は、「売上=集客数×購入率(CVR)×客単価」という方程式で表すことができます。
つまりEC戦略においては、「集客」「購入率(CVR)」「客単価」という3つの要素を伸ばしていくことが重要になります。それを踏まえて、ECサイトの基本的な戦略を見ていきましょう。
競合他社との差別化
まず競合他社と自社の差別化を図る必要があります。
たとえば、他社のECサイトが自社と同じような商品を同じような戦略で販売している場合、顧客の奪い合いのような状況になってしまい、思うように売上を伸ばしていくことが困難になります。
つまり、ECサイトを成長させていくためには、競合他社との差別化を図り、独自性を打ち出し、自社の商品を購入する動機を作ることが重要だと言えます。
競合他社を分析したうえで、どのような強みを打ち出していくのか、どのようなユーザーをターゲットにするのかなどを検討することは、今後のEC戦略を左右する重要なポイントとなるでしょう。
自社ECとECモールの両展開
ECサイトは、Amazonや楽天市場のように商品を出店する場所を借りる「モール型EC」と、自社でサイトを運用する「自社EC」に大きく分けられます。
モール型は知名度があり集客力が高い一方で、独自性を出すことができないためブランディングには向いていません。他社と商品の差別化が難しい場合は値下げで対抗することになり、価格競争に陥る可能性もあります。
一方、自社ECはモール型ECと比べて独自色を打ち出しやすく、データを活用しつつ自社に合ったマーケティング施策を実施しやすいというメリットがあります。ただし、一から集客を行わなければならないため、モール型ECと比べて集客のハードルはやや高いと言えるでしょう。
モール型ECと自社EC、どちらもメリット・デメリットが異なるため、両方を併用するのがおすすめです。それぞれのメリットを得られるだけでなく、複数展開を行うことで、顧客との接点も増やすことができます。
ただし、展開するECサイトの量を増やすほど、必要な費用や人員も多くなる点には注意が必要です。
オムニチャネル戦略
オムニチャネルとは、ECサイトや実店舗、アプリなど、あらゆるチャネル(販売経路)を連携させて、ユーザーとの接点を作る戦略のことで、具体例としては、ECサイトで購入したものを実店舗で受け取れるようにしたり、店舗にない商品をECサイトで購入できるようにしたりする施策が挙げられます。
オムニチャネルは、顧客とのつながりを深め、顧客満足度を高めて売上向上を目指す取り組みになります。
複数のチャネルから情報を得たり商品を購入したりできる状況を作れば、顧客満足度の向上につながり、リピーターを増やすことができます。
ただし、オムニチャネルの実現はECサイトと実店舗のデータを一元管理する必要があるので、現場判断で行うことはできません。全社が一体となって行う施策なので、導入までに時間がかかる場合があります。
越境ECの展開
越境ECとは、日本国内から海外に商品販売を行うECのことです。越境ECなら、実店舗を海外に出店するよりも、低コストかつ低リスクで商品を販売できます。
対象となる国の法律や規制の知識が必要ではありますが、海外の顧客も獲得できれば、売上を大きく伸ばすことができるでしょう。
インバウンド需要に店舗とECで対応出来る対策とは?
コンテンツマーケティング
ECサイトの基本戦略のひとつとして、コンテンツマーケティングも挙げることができます。
これは顧客にとって役立つコンテンツページを作成して見込み顧客を集客し、最終的に商品やサービスの購入につなげるマーケティング手法です。
なかでも、売上を左右する一要素である「集客」を伸ばすにはSEOの取り組みが重要になります。SEOは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンでの上位表示を目指す手法のことで、自然検索からの流入増加に効果が期待できます。
ビッグワードと呼ばれる検索回数が多いキーワードで上位表示されれば大きな集客効果が見込める一方、SEOのノウハウ・経験が求められるためややハードルは高いと言えます。
そこでおすすめしたいのが、ロングテールワードのSEO対策です。
ビッグワードに比べて検索回数は少ないものの上位表示を狙いやすく、ユーザーの検索意図(ニーズ)が明確なケースが多いため、コンバージョンにつなげやすいという利点があります。
ロングテール
SEOは効果が出るのに時間がかかる取り組みなので、根気よく継続する必要があります。自社で行うのが難しい場合は、コンテンツマーケティングおよびSEOのノウハウを持つECコンサルなどに依頼するのも一策です。
Web広告の出稿
コンテンツマーケティングと同様、Web広告の出稿も集客力強化に有効な戦略のひとつです。
Web広告に出稿するメリットとしては、集客効果の即効性を挙げることができます。コンテンツマーケティングは中長期的な施策であるのに対し、Web広告は基本的にコストをかけて出稿すれば即座に集客効果が見込めます。
広告形態や出稿媒体の選定、配信条件の設定などにより細かなターゲティングが可能なので、自社のターゲットに対してピンポイントにアプローチできるのも利点と言えるでしょう。
一方で、コンテンツが資産として蓄積されるコンテンツマーケティングとは異なり、Web広告は出稿を止めた時点で広告経由の流入が途絶えてしまいます。
そのため、Web広告だけに頼るのではなく、コンテンツマーケティングとあわせて集客の戦略を立てることが大切だと言えます。
CRM施策
顧客満足度を高めてリピーターを獲得していくという観点で、CRMも有効な戦略だと言えます。
CRMとは、顧客データを管理・分析して良好な関係性を構築することを目的としたマネジメント戦略のことで、ECサイトの売上アップを図るうえでも効果的です。
ECサイトに蓄積された顧客データを管理・分析し、ステップメールやメルマガの配信、会員向けキャンペーンなどの施策を実行することで、顧客満足度の向上やリピーター獲得につなげることが可能です。
一方で、CRM施策はデータ分析や企画立案、効果測定などさまざまなスキルが求められるためややハードルが高い施策だと言えます。社内にスキルやノウハウがない場合には外部パートナーの協力を得るのも一策だと言えるでしょう。
SNS戦略
近年はSNSで商品の口コミやレビューを確認するという方も増えてきています。FacebookやX(旧Twitter)、InstagramといったSNSを活用する施策も重要です。
SNSは情報が拡散しやすく、顧客が商品の情報を発信してくれる場合もあるなど、自社商品の知名度を高める施策を行いやすいのがメリットです。
また、アカウントを作るだけなら無料で行えるので、コストをかけずに情報を届けることができます。
直接的に利益につながる施策ではありませんが、顧客との接点を増やすために、アカウントを開設することをおすすめします。
アプリの活用
スマホユーザーの多くは、ブラウザよりもアプリに時間を費やしている傾向にありますECサイトとは別に、アプリを展開するのも有効です。
アプリを活用すれば、ユーザーにクーポンを配布したり新商品を紹介したりすることができます。メールマガジンでも同様のことは行えますが、アプリのプッシュ通知機能を活用した方が、顧客の目に留まりやすくなるでしょう。
ただし、アプリをインストールしてもらうためには、ユーザーに明確なメリットを感じさせる必要があります。プッシュ通知が多すぎると、煩わしく思ったユーザーにアプリをアンインストールされる恐れがある点も注意が必要です。
まとめ
今回は、ECサイトの売上を伸ばしていくための基本戦略についてご紹介しました。
ECサイトは、自社の商材や市場、事業規模などに応じて戦略を策定・実行していくことが大切です。
・売上に行き詰まった方
・自社への最適な戦略・選択が分からないという方
は、一度ご相談ください。