SNSが流通した現在、ライブコマースというワードを耳にしたことがある店舗様も多いと思われます。そもそもライブコマースとは、ライブ動画を配信しながら、その中でさまざまな商品を紹介して販売する「ライブ配信」と「Eコマース」をかけ合わせた新たな販売形態になります。
今回はライブコマースがいま注目される理由に加えて、メリット・デメリットを解説したいと思います。
目次
ライブコマースとは
スマホとYoutubeの流通をきっかけに動画のライブ配信は近年広く浸透し、いまやアーティストからSNSのインフルエンサー、一般のユーザーまで、さまざまな人が動画をライブで配信しています。
ライブコマースとは、このライブ配信と商品の販売プラットフォームをかけ合わせた、小売業の新たな形態だと言えます。
販売者と視聴者(消費者)がライブ動画を通してリアルタイムにつながりながら売買を行うことができるという点で、従来のネットショッピングとは大きく異なるものだと言えます。
従来のECのイメージは、インターネット上に設置された架空の店舗に商品が並んでおり、それぞれの商品についての説明は画像とテキスト、あるいは録画された動画によってなされることがほとんどでしたが、より消費者に近づいた販売形態といえるでしょう。
日本国内におけるライブコマースの現状
国内ではライブコマースは広がりつつあるものの、メルカリチャンネル)や楽天LIVE、PinQul、Laffy、BASEライブなど多くの企業がサービスを終了しています。
ライブコマースの認知・利用状況の調査によれば、全体のうち「全く知らない」が56.8%、「言葉は聞いたことがあるが、利用方法や内容はよく知らない」が14.8%を占めており、日本国内においてはライブコマース自体があまり浸透していない状況がわかります。
ただし、国内でも成功事例はあり、三越伊勢丹ホールディングスではオンライン接客やライブコマースを実施、過去最高EC売り上げを実現したり、株式会社BEAMSもクリエイティブディレクターやブランドディレクターを起用したライブコマースを実施し、1時間で100万弱の売上に成功しています。
ライブコマースのメリット
臨場感のある購買体験を生み出せる
ライブコマースを用いれば、あたかも自分がその場にいるような感覚で購入する販売方法が可能になります。
すでに録画された動画の配信ではなく、生放送ともいえるライブ配信なのでチャットを通じて視聴者が質問を送り、その場で販売者が質問に答えることを可能にしました。
このように双方向のコミュニケーションによって臨場感のある購買体験を生み出すことができるのが、ライブコマースの大きな魅力の一つといえます。
従来ECと異なり、ECシステムそのものがライブ動画の配信プラットフォームに組み込まれているため、購入するためにわざわざ動画を中断したり、別のアプリを立ち上げたりする必要がなく、動画を視聴しながら購入手続きまで完了できるといった、動画の視聴から購入までそのまま可能にしたのは大きいでしょう。
感染症の拡大防止策として来店不要での販売・購買が可能
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、従来のデパートやスーパーマーケットなどで販売者が対面で商品をPRしたり説明したりするのは、感染リスクの観点から多くの消費者が対面でのやりとりを避ける傾向が強まりました。
結果、オンライン販売の需要は高まる反面、商品についての情報は画像やテキストに限られるのが一般的です。
ライブコマースはこの状況を打破するともいえる販売形態です。
タレントやインフルエンサー、メーカーの開発者を起用した販売が可能
多くのファンやフォロワーを抱えているタレントやインフルエンサーにライブ配信を行ってもらうことで、旧来のTVやCMといった媒体では獲得できなかった購買層にもダイレクトにPRすることが可能です。
ただし配信者が会社や商品のイメージに直結するため、モデルの選定は慎重に行う必要があると言えます。
他にも商品の開発者や専門家、商品に詳しいバイヤーなどを配信者に起用すれば、商品のコンセプトや商品に込められた思い、活用方法などの情報に説得力が生まれるといった面も期待できます。
このように顧客の納得感を得やすい販売者からメッセージを訴求することで、顧客ロイヤリティの向上につなげられるでしょう。
商品の詳細をリアルタイムで質問しながら購入が可能
ECで商品を購入する際のデメリットとして、商品を実際に手に取ることができず、サイズ感や質感などの詳細がわかりにくい点が挙げられますが、ライブコマースでは、購入者がリアルタイムで質問をすることによって、商品に関する情報を詳しく入手することができ、不安を解消した上で購入することが可能です。
ライブコマースのデメリット
事前の告知による集客が不可欠
録画された動画ではなくライブ配信であることを考慮すると、配信前に視聴者を確保しておくことは当然必要になります。
告知なく突然配信をはじめても、なかなか視聴者が集まらない(=購入につながらない)という点はライブコマースのデメリットでしょう。
逆に言えば周知の方法によっては、従来のリアル店舗などでは来店が難しかった、遠方にいる潜在顧客にも、物理的な距離を問わずつながることができるとも言えるでしょう。
ライブ配信者のスキルがある程度必要
対面販売も熟練したトーク術を持つ人と未経験者では大きな差があるように、ライブ配信もやはりある程度のスキルと知識が必要です。
視聴者からの質問をチャットで確認する、商品がより美しく見える位置を探す、聞き取りやすいようにゆっくりはっきりと話す、などといった点は些細なことに思えますが、商品に対する視聴者の理解度にも大きく影響します。
機器のトラブルや通信障害などに備えてリハーサルや事前の確認を行うことも大切です。
配信内容によって企業イメージが損なわれる
配信内容によっては企業イメージが損なわれるなど炎上する可能性も考慮して、企業ブランディングの観点からライブの内容やセット、世界観を構築しておきましょう。
まとめ
ライブコマースは、現在の社会情勢を背景に小売業の新たな形態として大きな注目を集めています。
日本ではまだ流通しきっているとは言えない状況ですが、対面での販売が難しくなる中、商品やサービスの魅力をどのようにして顧客に伝えるか、ライブコマースはその答えの一つとなりうるシステムといえます
どのような商品をどういった人たちに向けてPRするか、という点でアプローチの仕方も異なります。
メリットとデメリットを踏まえた上で、ぜひ導入を検討してみてください。