ECショップを営んでいる方のなかには、SaaSという用語を耳にした方も多いと思いますが、SaaSとは何かご存知でしょうか。
SaaSとは、一言で言えばクラウドECのことを指しており、近年トレンドになりつつあるECのことです。今回はこのSaaS型ECサイトについてここで解説してみたいと思います。
SaaSとは
SaaSとはそのクラウド関連の用語の一つで、「Software as a Service」の頭文字をとったものです。
インターネット上で使えるソフトウエアのことであり、クラウドにおいてもECにおいても取り入れられる場面が増えてきました。
例えばGmailやGoogleスプレッドシートなど、すでにインターネット上のクラウドにソフトウエアが置いてあり、それをユーザーが自由に使えるというもののことです。
クラウド上に置かれたソフトウエア以上のパフォーマンスを発揮したり、その範囲を超えてソフトウエアをカスタマイズはできないというデメリットがありますが、利用するための環境を構築する必要はなく、例えばExecelを購入、自分のPCにインストールしなくてもインターネットにアクセスできればスプレッドシートをすぐに利用できるというメリットがあるという、アクセスするデバイスの環境に影響を受けないというメリットがあります。
一般的には各ユーザーはクラウドのサービスを導入することで開発のコストを節約し、自社内で共有することで利便性を高めていくことができます。
SaaSではあくまでソフトウエアのみがクラウドで利用できるというところにポイントがあります。
SaaS型ECはクラウドECともいえる
SaaS型ECという言葉がECサイトの構築や種類を示す話の中で使われる場面が増えていますが、これはクラウドECのことを指しています。
SaaS型ECサイトというのはECのためのソフトウエアがすでにクラウド上のプラットフォームにインストールされているわけであり、ECのシステムとして利用可能なソフトウェアのパッケージがイントールされており、そのクラウドにインストールされているパッケージをユーザーが利用してECサイトを構築できるサービスがクラウドECということになります。
このようにECパッケージであれば、インターネット上からダウンロードして構築しそれをサーバーにアップロードして利用しますが、SaaS型ECではその部分は全てクラウドで完結しているイメージになります。
ただしクラウドECはSaaSの特性としてはソフトウエアとしてのカスタマイズには制限があり、ECパッケージと比較した場合にはカスタマイズ性に劣るデメリットがあります。
クラウドECはASPから発展した概念
「SaaS型ECはカートASPと同じ」「別物」と相反する意見があり、これは二つともあっているし、間違っているともいえます。
そもそもASPとは
ASPはApplication Service Providerの頭文字をとった略で、インターネットを使って何らかのサービスを提供する事業者のことです。
ASPとECの世界では単純に略して呼んでいますが、実際にはECサービス以外にもいろんなサービスを提供するASPがあります。
ASPはECサイトとして利用できるシステムをインターネット上のサーバーに置いてある利用者に「利用してもらう」サービスであり、これはSaaSと同じと言えますが、ASPが提供しているのはECサイトのアプリケーションそのものではなく、あくまで利用できるライセンスを貸し出しています。
こうした考えによればクラウドECはクラウドECを提供するASPによって準備されたものを利用するサービスです。そのためASPと言えないこともないのです。
SaaSの概念では、一般的なカートASPにない「マルチテナント」と呼ばれるものがあり、このマルチテナントに対してシングルテナントという概念があります。
このシングルテナントは一つの商店を、マルチテナントはテナントビルを比較のイメージとして持ってもらうと理解しやすいと思います。
SaaSはASPと比較した場合、複数の目的に対して対応することができるというものです。その結果、ASPよりも応用範囲の広いサービスを構築することができるのです。
こうしたことからSaaS型ECはASPより優れているところもあり、ASPでウィークポイントとされるカスタマイズ性の低さを解消するという方向性からもクラウドECは発展してきました。
ASPとパッケージを比較した場合、ASPは自由度はないもののシステム的なメンテナンスを必要としないというメリットがありました。ユーザーはシステムに対して作業ができない一方、そうしたトラブルや保守については全てベンダー側が対処します。
そのため、逆にその部分での作業から解放されることになります。
パッケージではサイト運営者の責任においてアップデートの作業を実施しなければならず、アップデートをせずに放置すると脆弱性を突かれてサイトに進入を許し、サイトを乗っ取られる事態に発展したりと技術者を必要としたり、時間的なコストも発生します。
さらにこうしたシステムの管理に関わる費用はサイト運営側が負担することになります。
クラウドECであれば、こういったシステム自体のメンテナンスに関わる作業の必要がなく、バージョンアップについてはベンダー側で実施することになります。
サイト構築の自由度を持ちながら限りなくメンテナンスフリーなので、信頼できるベンダーを選ぶということが重要とも言えますが、料金はASPよりどうしても高額になるというデメリットは念頭に置いてください。
まとめ
SaaS型ECを検討する際、機能の豊富さや自由度などと比較してASPなのか、クラウドECまでレベルをあげるのかと行った選択をリニューアル時なども含めて、今後は考えるという場面もECの現場では多くなっていきます。
独自で保守のための対策を行う必要はなく、常に最新の状態で利用できるのであれば、ECサイトの運営者は販売の戦略に集中できるということもメリットですので、もし導入を検討している場合はサヴァリへご相談ください。