ネットショップを運営されている皆さまの中には、本格的にネット広告を運用したい方、またはすでにネット広告(運用型広告)を実施しているも、うまくいっていない方はたくさんおられると思われます。
今回はどういった数値を見ながらネット広告の運用に従事すべきか、損益分岐点の理解の重要性を踏まえながら、広告運用に関する基本指標を説明させていただきます。
ネット通販事業の損益分岐点を把握する
事業の採算ラインである損益分岐点を把握することが重要です。
そして通販・EC事業は、次のようなコストがかかりることでしょう。
・固定費(売上高の変動に関係なく毎月支払う費用)
・変動費(売上高の増減に比例して変動する費用)
「売上高 – 変動費 = 固定費」が損益分岐点であり、この損益分岐点によって達成すべき売り上げが算出できます。
変動費を決定する大きな要素は仕入原価で、同じ販売単価、売上高でも仕入値が高いのと安いのとでは商売の収益性が大きく異ります。
変動費率が低いほど儲かり、高くなるほど利幅が小さくなることを理解しておきましょう。
ネット広告の運営担当者が勘違いしてしまう落とし穴
「仕入れた金額よりも高く商品を販売しているので儲かっている」
「広告費に対する1件あたりの獲得単価(以下CPA)が、販売した1個あたりの商品の利益を下回っているから儲かっている」
こういったケースは損益を達成すべき売り上げと数量規模が頭に入っていないことによって損失が発生している場合がありますから自社の損益分岐点とコスト構造はしっかりと把握して下さい。
1商品の販売に投資できる広告費用を算出する
1商品を販売するあたって許容できる広告費の算出(CPAの算出)してみましょう。
平均販売単価から仕入原価と販売に伴う送料・手数料を差し引いた「粗利益」、これが投資できる広告費となります。
例)
平均販売単価(10,000円)- 仕入原価(2,000円)- 送料・手数料(1000円)=粗利益(7,000円)
この場合、投資できる広告費の上限(CPA)は 最大7,000円です。
そのままCPAをそっくり広告費に投資すると、粗利益が残らなくなってしまいますので、注意してください。
ただ、昨今リスティング広告などの運用型広告は競争が激化している現在、投資できる広告費の上限が高まれば、より有利に広告出稿の機会を獲得できることから、投資できるCPA最大限を見極めていきましょう。
リピート率を把握、顧客の生涯価値を計算しよう
どうすれば投資できる広告費を最大限に引き上げることができるのか?
その1つがリピート施策です。
これはリピート回数を増やし、顧客生涯価値(LTV、Life Time Value)を算出することで、投資可能なCPAをグッと引き上げることができます。
例えば、ECサイトで単価10,000円の商品を購入する消費者の3割はリピートすると設定した場合、1年回で4回商品を購入する場合のLTVは、
購入単価10,000円 +(購入単価10,000円×リピート率30%×購入回数4回)= LTVは22,000円
粗利益率は40%なので、LTVから算出される粗利益は、
LTVは22,000円×粗利益率40% = LTVから得られる粗利は8,800円
1年間を通して考えた場合、CPAは8,800円となり、これはLTVを考慮しない前項のCPA(7,000円)から大きく投資できるでしょう。
ROASを成果指標として把握する
複数の商品を取り扱っているアパレル系・総合通販ショッピングサイトは、商品ラインが複数あり、かつ複数商品のまとめ買いもあるため、顧客単価、リピート率がそれぞれ異なるというケースがよくあります。
「投下した広告費がどの程度の売り上げとなって返ってきたのか」=ROAS(Return On Advertising Spend)をしっかり把握し、広告運用を行っていきましょう。
例えば売り上げが1,000万円で広告費用が200万円かかった場合、
売上1,000万円/広告費200万円×100%=ROASは500%
と算出できますので、ROAS指標もLTVを組み込んで考えることが重要になります。
ただし現実には低単価商材や利益率の低い商品、リピート率が低い顧客の獲得といった施策に偏向し、目標として設定したROASと、想定したLTVが乖離(かいり)したケースもあり、広告費が過払いになってしまう場合もありますので注意してください。
まとめ
事業の採算ラインである損益分岐点を把握することは、ECショップ運営者様にとってなによりも重要ですので、明確に損益分岐点を把握・経営判断の重要性を認識していただければ幸いです。
成果指標が定まったら、積極的な事業拡大への投資判断の精度がより高まりますので、取り組んでいきましょう。
サヴァリでは広告運用に長けておりますので、より効果的な広告をご希望の店舗様は、ぜひご相談くださいませ。