中国越境ECに興味はあるけど、実際どうなの?と思っている方
今回ゲスト、株式会社キレイコム 代表取締役社長 上田氏は、
阪神淡路大震災の後、イギリスへ留学、その後、台湾の総合商社に勤務を経て、
LAの貿易会社へ勤務。現在、アジア最大級の美容博覧会の日本事務局を行って
おり、中国人バイヤーとのネットワークを活用し、日本の美容メーカー様の進出支援
を行っております。
上田氏に『中国越境EC』についてきいてみました!
▽ 『中国の越境ECの難易度が上がって来ていますよね』
政府の政策もそうですし、僕たちの統計でいきますと中国人は7回見ないと買わない
と言われています。プラットフォーム毎など、”知る・目にする機会が”7回見ないと購入
にいたらないという統計が出ています。
▽ 『メジャーなものじゃないと怖くて買えないとういう感じですか?』
そうですね。2018年くらいまではライブコマースで紹介したものが衝動買いみたいなの
があったんですけど、そこから、WeChatの公式アカウントがあるのかとか、TikiTokあるの
かとか、Tmallで期間店があるのかとか、7回見ないとなかなかコンバージョンしないという
ことになってきています。
▽ 『日本だとライブコマースは、これからって感じですよね』
来そうな気配はあるんですけど、中国で昨年一番売った女性の方は一人で年間1,700
億円くらい、2位で1200億円くらい。その下の方が250億円なので、圧倒的に差があり
ます。芸能人もKOLになりたいみたいな時代が来ています。
▽ 『KOLだと手数料が入ってきますからね。』
取る方で25~30%とか。在庫もこれだけ数がないとやらないとかですね。すごく厳しい
ですね。認知がなかなかつくれないメーカーさんが多いです。日本のメーカーさんがよく
ライブコマースだけやってほしいとかあるんですけど、それだけで効果は出せず。単発で
はなかなか売れなくなってきてます。
逆に日本で知名度ないんですけど中国だけかなり売上を上げているメーカーさんも
いらっしゃいます。僕らは化粧品が多いので。売上の比率でいうと、もう国内1割、中国
9割みたいな会社さんが結構増えてきています。上場した会社さんの売上の内訳は
ほぼ中国が8割くらい。ブランディングできるように中国の方、在日の方。やはり、デザ
インもそうですし中国の方が好まれるようなデザインにしています。ネーミングもそうですし。
内情はやっぱり中国の方のマーケッターがきっちり入られながらやってます。
▽ 『越境ECの枠を超えている感じがするのですが』
僕らの会社も、実は60%は我々日本で持っているんですが40%は中国の会社が
資本を入れてやっています。2013年にタオバオとかが始まり、CtoCが始まった時
に郵政さんと組んで色んなことをやったんですが、なかなか売れなかったです。
70社くらい支援させてもらったんですけど、ほとんど売れなかったです。法人と
ちゃんと組みながら設計しないとほとんど売れないです。
▽ 『中国越境ECにこれから参入したい企業には何て言いますか?』
商品によりますね。やっぱり日本人が見て良いなと思う商品でも、中国のスタッフが
みたら、売れそうにないとのこともある。
▽ 『中国の方はどういったものが響くのですか』
分かりやすい商品が好きです。日本人って白いボトルに英語でロゴだけ書いてあって
肌に使うのかなみたいな?どこに使うのかわからないような商品が結構好きだと思うんで
すけど、中国人はもう、例えば、バストアップのクリームだったら、女性のラインが描いて
あるような、分かりやすい商品がほしい。これだとバストアップって分からないですよね、
みたいな。化粧品でいうと、派手さもあるんですけど、分かりやすいのが好きです。
もうベタな方が良いです。中国のバイヤーさんとよく話すんですけど、韓国のブランドは
商品がそれほど良くなくてもパッケージとかマーケティングが上手い。日本人は商品は
良いけどマーケティングがヘタクソって言われてしまうことがすごく多いです。
▽ 『良くも悪くもその通りだなって感じですね』
クオリティは高いんですけど、プレゼンテーションするんですが、容器一つとってもみても
ポンプのプッシュ回数が何万回でも何グラムをきっちり出せますみたいな。あまり消費者
はそこを求めていない。過剰なところがありますね。
▽ 『中国での商品についての表現的なところはどうなんでしょうか』
規則は一応あるのですが、グレーゾーンをうまく攻めたり、他社の広告見ても、
2週間でシミ消えますみたいな。言っちゃってるけど大丈夫なの?みたいな感じで
すね。
▽ 『本当はダメなんですか?』
やっぱり”効く”とかはダメです。でもライブコマースで個人が主観的に話しています。
ライブコマースがすごく伸びていて一つ思うのは、現地の接客がやっぱりすごく雑
なんです。僕らが中国で服を買いに行っても、”買うの?”、”買わないの?”、
”どっち?早く”みたいな、モノ食べながら帰れ帰れみたいな。一方、ライブコマースだと、
普通の街で接客をうけているようなレベルで、こういうコーディネート合いますよとか、
こういう口紅が合うんじゃないですかとか定員さんからアドバイスをもらえるような。
ライブコマースだと必死に彼女たちもやっぱり売上にたいしての歩合みたいなものがある
ので、そこは一生懸命説明しながらやるので、すごく満足度が高いのかも知れないです。
▽ 『今までの辺りが、7回見ないと買わないってことなんですね』
今回、3月8日も女性のイベントがあったんですけど、一人の方が約100商品をずっと
ローテーションで何時間も説明している。日本人からしたら不思議です。
中国ではカテゴリーって概念があまりないんです。中国のECで売れているサイトを
見ましても化粧品だけじゃなくて隣に食品があったり、洋服もあったりなど。日本人だと
専門店で買いたいみたいな意識の方が強いんですけど。そのお店の方が楽しいじゃな
いですか。みたいな意識がやっぱりあるんです。なので、ドンキホーテさんはすごく盛り
上がりますし、中国の方はめちゃくちゃ好きです。そういうのがECに反映されているの
かなというところはすごく感じます。
▽ 『中国は物販のワールドシリーズみたいな感じですよね。』
化粧品にかぎっては、NMPAという薬事の認可があるんです。それが結構ハードルが
高く、その成分使っていると現地の認可が下りません。みたいな。費用が5~60万くらい
1商品でかかりますし、認可も半年くらいから長かったら1年くらいかかるので、それこそ、
10商品持っている会社さんだったら(×60万)。なので8か月から12か月後みたいな話
になると、それだったら越境でいいやとなるので、僕たちは越境のあおりを受けて簡単に
越境に任せたらやってくれるんでしょう?みたいな。
このほかにも盛りだくさん、中国越境ECについて公開しています!
越境ECをご検討中の企業様のご参考になるかと思います!
それでは、上田氏流『中国越境ECの現状』、ぜひお楽しみください!
「ECの未来」episode79 ポイント
現地でどう楽しませるか
~第79回 ゲスト~
上田 直之(ウエダ ナオユキ)氏
株式会社キレイコム代表取締役社長
株式会社アーツ創業者兼、取締役会長
東証二部上場会社とのJV企業
株式会社PAエンタープライズ代表取締役社長
株式会社シールド代表取締役
株式会社アイコーングローバル代表取締役社長。
1975年8月5日生まれ
阪神淡路大震災の後、イギリスへ留学、その後、台湾の総合商社に勤務を経て、LAの貿易会社へ勤務。
現在、アジア最大級の美容博覧会の日本事務局を行っており、中国人バイヤーとのネットワークを活用し、
日本の美容メーカー様の進出支援を行う。
~ECの未来 チャンネルMC~
柳田 敏正(ヤナギダ トシマサ)氏
株式会社柳田織物
代表取締役
1971年4月生まれ。
1994年法政大学卒業後、(株)バーニーズジャパン入社、横浜店にてメンズ全般の接客に従事。
1999年退社し(株)柳田織物に入社。
2002年オリジナルのシャツを販売する自社ECサイト「ozie」を開設し、BtoCへ進出。
2011年にOSMC(オンラインショップマスターズクラブ)最優秀実践者賞受賞。
2012年第4回エビス大賞 大賞受賞。
2013年4月代表取締役に就任。
2014年、六本木一丁目にショールームをオープン。
EC4店舗を運営。