今回ゲスト、株式会社リンクス 代表取締役 小橋重信 氏は、「物流から日本の企業を元気にする」をミッションに、事業会社の物流改善や物流戦略の見直しなどをご支援されていらっしゃいます。
小橋氏に『EC物流』についてお話をお伺いしました!
▽物流の問題が起きているのはなぜですか?
あるべき状態と現状とのギャップを知らないと解決方法は出てこないのですが、物流はすごく軽視されてきた歴史があります。物流コストは叩けばなんとかなっていました。規模をとるためにお互いが無理をしてきたことで、マーケット自体はそれなりに増え続けてはいますが、2024年問題など、宅配に関しても誰も儲かっていない問題が起きています。コスト構造を無視して、とりあえず規模をとろうという動きがありました。
▽利益を上げるための物流コストの考え方は?
物流コストを下げてきた歴史があるので、経営視点や戦略的視点で考えるのは難しいです。物流で一番きついのは波動です。例えば、ECサイトでイベントをすると上下が大きくなりますが、その中で人を手配します。大体のECは夜中に売って朝受注データがくるので、朝にならないとわかりません。その日のうちに全部セットをして出すには、人員をうまく調整しないといけません。人員を多めに入れると物流コストの波動が大きく、結果的に売上を上げるためにトップラインを上げて波動を抑えたり、即日配送をしたり、カスタムをしてリスト対応をします。結局売り上げを上げるためにやることが物流コストを上げています。物流コストを下げるのは、平準化・標準化など簡素化する流れの中にあるので、経営者の目が向きません。物流コストのあり方や、付加価値をつけて単価を上げていく方法を考えれば、物流コストの問題はある程度解決に向かっていくと思いますが、楽天の最強配送など、早く安く届けるという流れがまだまだ残っています。
自社で物流をしている会社は、コストや時間が何にかかっているのかわかりますが、多くの会社が外注をするのがスタンダードになっており、楽天物流を扱えればより安く配送できるので頼らざるを得ません。物流コストの中身を見て安くできる方法を理解するのは少ないと思います。売り上げを上げることと物流コストを下げることは真逆なので、どこでバランスを取っていけばいいのかが難しいです。
▽顧客単価を上げるべきですか?
物流コストは自分たちの力ではどうにもならないという諦めのような感覚があると思います。物流コストは横並びで戦わなくてはいけません。平時と有事という捉え方にすると、まだ平時の考え方でいますが、そろそろ有事になってきています。物流コストはBtoBだと5%前後、ECだと15%くらいです。今後の2024年問題やいろんな労働者の環境で、仮に30%になったら今と同じ考え方のままでいるのかをEC物流の経営者に問いたいです。店舗に来てもらい配送費がかからない形にするか、同じようなものを売っている2〜3社と組んでセットで物を届けるなどを考える必要があります。有事になった瞬間に考え方を変えない限り、物流費だけで30%を取られたら多くの会社がストップすると思います。物流に対しての関心度は徐々に上がっています。昔は物流を現場から改善していくニーズはありませんでしたが、ここ最近、生産性を把握するニーズが荷主側からも出てきています。有事であると認識して今から備えておかないといけないと思います。物流コストが上がってくる中でどこで単価を上げるか、在庫をどうするか、サイズひとつをとっても工夫が必要です。
▽物流コストの問題解決をするには?
物流の話は、ビジネスをデザインをする話と重なり合うと思っています。いい時代は縦割りで競わせればお互いが磨かれてマーケット自体が伸びていましたが、今は原価を下げても物流コストが上がるとなると、結局全体的に俯瞰しないといけません。昔は物流部や物流担当だったのがロジスティックス担当のようになってきて、大手ではサプライチェーン本部ができています。
物流は、現場でいかに効率的に働くか。ロジスティクスは、計画的に人を入れて効率的に回していかに人件費を抑えるか。さらに戦略的になるとサプライチェーンとなり、ものの仕入れ先や販売先、お客様も含めて効率的にPLのみならずBSも含めた在庫回転率を変えていかなくてはいけません。EC事業者であっても、ものを仕入れて売るだけではなくて、最終的に設計していかなければならず、経営視点でビジネスモデルをデザインしないといけませんし、物流も変わりません。
このほかにも盛りだくさん、『EC物流』について公開しています!
EC物流についてご検討中の企業様のご参考になるかと思います!
それでは、小橋氏流『EC物流』、ぜひお楽しみください!
~第288回 ゲスト~
小橋 重信 氏
株式会社リンクス
代表取締役
アパレルメーカーにてブランド運営10年 その後、ソニー通信サービ事業部にてIT営業3年。EC物流の新規立上げをきっかけに物流会社に転職。現在は、物流コンサル会社リンクスを立上げ、「物流から日本の企業を元気にする」をミッションに、事業会社の物流改善や物流戦略の見直しなどを支援。日本オムニチャネル協会ロジスティクス部会リーダー。ダイヤモンド社より「メーカーの仕事」を共著にて出版。物流系YouTube「ロジカイギ」配信中
EC運営に役立つ資料が満載!

EC運営に役立つセミナーを毎月開催中!

当社のEC運営代行サービスについて
