今回ゲスト、株式会社北の達人コーポレーション 木下 勝寿 氏は、資本金1万円でたった一人で起業し、独自のWEBマーケティングで時価総額1000億円の東証プライム上場企業にまでに育て上げた現役の上場企業社長。独自の管理会計理論、マーケティング理論、仕事術、組織論を書いた著作はどれもベストセラー入りしており、累計20万部を超えていらっしゃいます。
木下氏にECにおける『チームづくり』についてお伺いしました!
▽なぜこの本を書こうと思ったのですか?
本を書き始める時は絶好調でしたが、本が出版されてから集客が6分の1まで落ちました。一方で本が出たことで色々なところで呼ばれて絶好調と話はしながら冷や汗をかいていました。
落ちていった理由は2つあり、1つは当社が2016年から2020年にかけて、年商20億から100億へ一気に5倍になりました。急拡大した時に多くの人を採用したのですが、教育が全然追いつかないまま現場に配属していて、優秀なメンバーは採れていましたが、やり方が固まらないままぐちゃぐちゃになってしまいました。
もう1つは効率化が行き過ぎたことです。例えば広告を出して、同じ広告ばかり出していると疲弊してくるので、作り変えていくのですが、ゼロから作っていくより過去にあたった広告を見て、それをベースに作り変えていく方が当たる確率が高いので、そういう作り方をずっとやっていました。
そうすると、新しいクリエイティブを作るスキルがなくなってきて、全般的に同じ広告ばかり出すようになってきたので、新しいものを作ろうとは言ったものの、前にやっていたメンバーは現場を離れてしまい、お手本を元にしか作ったことがないメンバーばかりになっていました。そこを何とか3年がかりで立て直していき、最後の1年間で業績を13倍まで伸ばしました。
この話を同業者や経営者にすると、他でも同じことが起きていると知りました。どうやったのかと聞かれる事が多く、皆が困っているならこのことをちゃんと本にまとめた方がいいなと思い、今回「チームX」で本にしました。
▽KPIが一番重要かなと思いますが、御社でも作っていますよね?
意外ですが作っていませんでした。KPIは下手すると破滅が加速します。人数が増えていった時にKPIを設定して、この数字さえ達成できればいいですよとなるのですが、実際昔にあったのが、上限CPOはいくらまでで最大限集客してくださいと言ったら、頑張ってくれてかなり増えたのですが、上限CPO以内なのに思ったように売上が伸びないので、おかしいなと思ったら、LTVが落ちていました。LTVを計算して、そこから上限CPOを計算していたのですが、集客ルートによって全くLTVが違っていたんです。
当時はポイントサイトが流行っていた時代で、メンバーはポイントサイトが集客しやすいということで、そこばかりいっていたのですが、この方たちは全然リピートしないのでLTVがかなり下がりました。
目的は利益だと話をしますが、下手にKPIを設定すると、これさえすればいいという動きになるので、優秀であればあるほど破滅の道に進みます。
それで次はKPIは設定せず、利益から逆算して一番良いやり方をしてみようと試みました。少ない人数であれば大丈夫でしたが、ある一定以上になるとやはりKPIを設定しないといけないなと思いました。
そこで媒体別の上限CPOというのを分けて作りました。媒体別で上限CPO以内で最大限しようねくらいの軽いKPIは設定していましたが、集客人数が落ちてきたとき、その理由を尋ねると、仕方ないと言われ、その「仕方ない」が本当なのかどうかも分かりません。伸びている伸びていないが自己申告になっていたので、これはちゃんとしないと気を引き締め、広告運用チームで、直近半年間の自分の担当している媒体の平均集客数の1.2倍というのを目標に設定して、ここの達成率でみるぞという風に変えました。そうなると、伸びていると言いながら達成率が低かったり、担当が変わった瞬間に達成率が変わったりして、ここで基準ができて、うまくいっている・うまくいっていないが数字で見れるようになりました。
▽ビジネスで風土が大事だと思いますが、実際どうですか?
風土というのは難しくて、なかなかコントロールがしにくいなと正直思います。風土はそこにいる人たちの、例えば「頑張るのって馬鹿らしいよね」という風土があったり、「頑張った方がいいね」という風土は、なかなか上の立場の人がコントロールできるものではありません。
弊社では、「頑張ったら損だよね」という感じはなかったのですが、新しいものにチャレンジするという風土がなくなっていた時がありました。
その時に、新人をここに入れるとその雰囲気に染まってしまうので別チームにして、私が直接教育していました。例えばユーザーのことを理解しましょう、ヒアリングしましょうと言っても、男の子はだいたいヒアリングが嫌いですね。でも今までやらずに来れていたので、入って2〜3年の子たちは何とかごまかそうとします。しかし、新入社員の子にまず最初はヒアリングユーザーインタビューしないとダメだよ、というのを切り分けた状態で言うと、すぐやるんですよね。
それがこの本にも書いてある子ですが、40~50代の女性が使っている商品だから、該当の女性にもっと話を聞いた方がいいよと言うと、素直に行動に移してくれたんです。この時にこれだと思い、この子を隔離して育てようと思いました。
風土はKPIによって決まる気がします。KPIは会社の価値観を数値化したものなので、KPIを達成するために、協力し合う風土ができてくるのは大きい気がします。理念を言葉として伝えていくのと、理念を数字に表してKPIというものに表して構造を変えていくのとで、風土が変わってくると思います。
この他にも盛りだくさん『EC運営のチームづくり』について公開しています!
マンネリ化した企業体制に悩む企業様のご参考になるかと思います!
それでは木下氏流『5つのXポイント』、ぜひお楽しみください!
~第224回 ゲスト~
木下 勝寿 氏
株式会社北の達人コーポレーション
代表取締役社長
資本金1万円でたった一人で起業し、独自のWEBマーケティングで時価総額1000億円の東証プライム上場企業にまでに育て上げた現役の上場企業社長。
X(旧Twitter)での情報発信が「現役の上場企業社長からマーケティング理論を学べる」ということで多くのビジネスマンに大人気となりフォロワー数が6万人を超えている。
独自の管理会計理論、マーケティング理論、仕事術、組織論を書いた著作はどれもベストセラー入りしており、累計20万部を超えている。
事業においては「北の快適工房」という化粧品、健康食品ブランドのD2C事業を行っており、社長を務めながらもWEBマーケティング部長を兼任しており、現在もマーケティングの最前線で戦っている。
またFMラジオ局「FMノースウエーブ」の経営も行っている。