今回ゲスト、株式会社ライフェックス 代表取締役 工藤 一朗 氏、300社以上のEC・通販企業に対し、ブランディング、マーケティング、CRMなどの一貫支援をご提供されています。日本CRM協会役員を歴任し、2022年9月新著「ブランド・プロデュース思考」を出版されていらっしゃいます。
工藤氏に『ブランディング戦略』についてお伺いしました!
▽取引先パートナーとの接し方の重要性とは
アウターのお取引先であったり、関連各位の会社様とのコミュニケーションの取り方で、共通認識が出来上がっていないとできないと思っています。
属人的に対応してしまうと煩雑にもなりますし、部署ごとで共通認識が違うとお取引様に対する接し方も部署ごとに変わってきてしまうため、会社としての統一感が全くなくなってしまいますので、インナーの統制は大事になってきます。
インナーブランディングの中の言語化したものを自分ごと化するという言い方にした時に、自分の言葉でそのブランドをアウトプットできるようになるというのが1つのゴールだと思っています。
先程、ブランドの定義はプロミスということをお伝えした一方で、ブランドの最大の資産とは、顧客データや売上、メディアが大切な資産という考えになりますが、私たちは「Love to trust(信頼と愛情)」を最大の資産として掲げています。
「愛と信頼」という抽象度の高い言葉を、誰に対してどう構築するかという考え方を持っていて、定量化するところが確かに難しいところではありますが、やはり社員一同、自分たちのブランドプロダクトに対して愛がないと良いコミュニケーションは生まれないと思っています。
抽象的な言葉で体系化できている会社様の方が少なくて、お客様向けには当然しますが、結局「お客様主義」、「顧客第一主義」と言いつつ、無意識的に主語が自社になっている会社様が多いです。
▽どうやってブランドを作っているのか
私たちの実際の仕事の生業としては、ブランドを作るだけではなくて、作った部屋に分けて、プランニングして、その後の実装も私たちが行います。
社内のディビジョンは、ブランディングディビジョン、マーケティングディビジョン、CRMディビジョンというディビジョンに分かれて、そのブランドごとにチーム編成を組むような形にしているので、アイデンティティーがないとプランニングもブレますし、何が良くて、何がダメかという線引きができないし、なおかつ結果が出しにくいというのが本音です。
プロダクトライフサイクルやブランドライフサイクル、いわゆるそのブランド寿命で見ると、フェーズごとに導入期、成長期、成熟期、衰退期というのが一般的にある中で、EC市場の場合は導入期から成長期にかけた新規の獲得に、まず1個目の壁が出ます。
▽マーケティングとコミュニケーションの関係性とは
今、新規獲得で悩んでいる会社様と同等ぐらいにCRMの問い合わせが増えています。
私自身、独立してから1オーナーとして事業者の側面で赤字だった会社をM&Aで買わせていただいた時の経験は本当に大きいです。
その時の会社の売上比率が2:8でリピート売上だったのですが、3年で100億の売上目標と考えると、新規の比率が増えるのですが、新規のお客様を獲得しようと考えている日々よりも、リピートのお客様と対峙して仕事をしている時の方がすごく充実感が持てて、お客様を可視化できたという体験ができたので、すごく有意義な時間だったと思っています。
アイデンティティーをマーケティングに、出口の2つ目にする時のそのプランニングはとても大事で、その時系列とともに売上構成比率をどういうKPIを引くかというのはとても大事だと思います。
3年後も売上の9割が新規だとまた行うことが変わりますし、3年後には何パーセントのユーザーに再購入していただくようなスキームだと、経営的にもキャッシュ的にも安定するので、何のコストがどこに掛かるのかというところを全部計算していきます。
▽CRMとは
CRMという言葉1つの概念もここ5年で変わっていますが、昔はリピートの側面でCRMという言葉を使うことが主流でしたが、私たちは今、そのリピートという概念はもう無くて、認知の段階からCRMは始まっていると思っています。
全てにおいてCRMは、まさにコミュニケーションとマーケティングが一体化している感じで、どういう風にリピーターになっていただくのかをデザインしていくか考えると、それもマーケティングだと思います。
私たちのブランディングチームには海外の著名人も顧問で入っていますが、プライシングの時は日本とグローバルは真逆で、日本は職人気質のお国なので、良いものを作って市場観合わせて積み上げ式でプライシングしていきますが、グローバルのブランドのプレイヤーの方々の話を聞くと、自分たちの価値はここだから、そこから割り振っていくというのを実感しています。
プライシングは、自分たちがなんぞやというところをきちんと自覚した上で意思決定するのは大事だと思っていて、そこに対するバリューを作れるかどうかですし、しいてはそれがプロミスだという話にも繋がってくるかなと思います。
私たちも広告運用を行って色々支援する中で、最近、私たちはCRMという言葉よりもCXM(カスタマーエクスペリエンス)、顧客体験・ブランド体験のような考え方をゴールに据えて、ブランド体験でどういう提供できるのか、というところも作っていくというところがコミュニケーションであり、お店作りであり、プロダクトであるという観点がとても大事だと思っています。
このほかにも盛りだくさん、『ブランディング戦略』について公開しています。
それでは、工藤氏流『ブランディング戦略』、ぜひお楽しみください。
~第213回 ゲスト~
工藤 一朗 氏
株式会社ライフェックス
代表取締役
大手総合通販企業の株式会社ベルーナへ入社。当時、最年少で営業部長を経験、2009年に株式会社ライフェックスを設立。300社以上のEC・通販企業に対し、ブランディング、マーケティング、CRMなどの一貫支援を提供。経営層との対話を通じてブランドイメージ強化し、社員とのコミュニケーションでブランド意識を現場に浸透。一貫性あるブランディング戦略を展開している。 日本CRM協会役員を歴任し、現在に至る。 2022年9月新著「ブランド・プロデュース思考」を出版。