みなさんはD2C・ECのグローバル市場規模をご存知でしょうか?
アメリカは世界第2位のD2C・EC市場規模を誇っており、2020年のD2C・EC市場規模は7,945億ドルと、日本の1,413億ドルの約5.6倍を誇っております。
アメリカは日本と比べて2年先を行っていると言われていますので、アメリカのD2C・EC市場の現状を知れば、世界最先端の事情が分かるだけでなく、今後の日本の市場動向も予測可能となりますので、D2C・EC業界や市場をおさらしておきましょう。
アメリカEC市場の現状
アメリカのBtoCーEC市場は世界第2位の市場規模であり、2019年は6,017億USドル、2020年は7,945億USドルとなっています。
1位の中国とは約3倍の開きがありますが、3位以下の国々の市場規模を大きく上回っており、年々成長を続けています。
またEC市場規模と合わせて確認したいのが「EC化率」(全商取引のうちEC市場にて取引される割合)で、このEC化率を調べることによって、その国のEC化への姿勢・積極性を考察したり、分野・ジャンル別のEC化率から今後の動向のヒントを得たりすることができます。
2018年第1四半期に9.6%だったEC化率は2020年第4四半期において14.0%と4.4ポイント増となり、とりわけ2020年第2四半期には一時16.1%を記録するなど、高いEC化率を維持しています(なお日本のEC化率は2018年時点で6.22%、2020年は8.08%、1.86ポイント増と、アメリカのほうが軍配が上がっています)。
アメリカEC市場から学ぶ今後のポイント
アメリカのEC市場規模の大きさ、成長率の高さから日本が学ぶべき市場動向として、結論からいうと以下の4つに分類できます。
- Amazon中心で回るアメリカEC市場
- 世界で注目される越境ECマーケットプレイス「eBay」
- 新たな勢力!Googleショッピング広告が注目
- 日本でも拡大中!アメリカで盛り上がるD2C市場
アメリカのEC市場は「Amazon一強」の状態が維持されているような状況ですが、それはEC市場に限った話であり、オフラインを含めた小売全体の売上ランキングでは「ウォルマート」がトップを独走しています。
両社はそれぞれオンライン・オフラインの施策に力を入れており、小売市場全体における売上向上と、EC市場シェアの拡大に努めていると考察できます。
またこれからのECビジネスは国内の市場規模・シェアだけでなく、海外ユーザーに向けた施策(越境EC)も展開していかなければなりません。
越境ECとして有名な「eBay」は世界190カ国に展開している巨大ECプラットフォームであり、個人・法人問わず様々な商品を出品、購入することができます。
アメリカのEC市場シェアでも第3位(4.3%:Top 10 US Retailers, Ranked by Retail Ecommerce Share, 2021 より)に入るeBayの今後の展開・発展にも注目する必要があるでしょう。
そして急速なEC市場の拡大、EC化率の上昇により、ECビジネスを行う事業者同士の競争が激化している現状があります。
アメリカではAmazonのEC市場シェアが圧倒的であるため、集客力を高める意味合いからAmazonプラットフォーム上にショップを構えるブランドも少なくありません。
しかし様々な事業者がECビジネスに参入してきた結果、既存の集客施策や販売手法で生き残れない事業者が出てきたのも事実です。
アメリカではこうした市場のうねりの中で、D2C(Direct to Consumer)という新しい販売戦略を持ったブランドが多く誕生しています。
アメリカD2C・EC事業者のAmazon活用方法
アメリカの多くの事業者は、膨大な顧客を持つAmazonを広告媒体として広告を掲載して、マーケットプレイス内の自社ショップに誘導するのはもちろん、Amazon広告から外部の自社ECサイトにユーザーを集める動きも広がっています。
Amazonは、アメリカのD2C・EC市場シェアの約4割を占めているだけでなく、有料会員プログラムである「Amazonプライム」でも2億人以上(Amazon公式)という顧客基盤を持っているため、膨大な数の見込み客が集まるAmazonは、今やショッピング広告のプラットフォームとしても大きな役割を担っているのです。
世界で注目される越境ECマーケットプレイス「eBay」
eBayの特徴は大きく分けて2つあり、それは法人に限らず個人でも出品できること、全世界190カ国に展開しており、世界中で法人・個人問わずeBayで商品の売買が行われていることです。
これら2つの特徴から、越境ECを目指す世界中の企業にとっては、eBayは海外の販路拡大を目指す上で重要なマーケットプレイスと言えるでしょう。
売上高のAmazonに対し、掲載商品数・出品国数で上回るeBayの動向を注目していきましょう。
新たな勢力!Googleショッピング広告が注目
Googleショッピング広告の利用も近年盛んになっています。
Googleショッピング広告とは、Googleの検索結果に検索したキーワードに関連する商品の画像や価格、スペックなどが表示される「検索連動型広告」で、ショッピングが目的のユーザーにとって、キーワードにマッチした商品の画像や価格が直接表示されるGoogleショッピング広告は利便性が高いといえます。
eBayと同様に、国外のEC市場へとアプローチする際の足がかりとして今後注視すべき存在といえるでしょう。
日本でも拡大しているD2C市場
D2Cとは
D2CとはDirect to Consumerの略であり、簡単に言えばメーカー直販のことです。
商品の企画、生産を行い、SNSでプロモーションを行い、直販ECで販売をするというのが基本です。
アパレルや美容化粧品の分野で盛んに採用されている手法ですが、近年では他の一般小売にも使われるようになっており、EC業界に浸透してきています。
小売業界の衰退から生き残りをかけた戦略がD2C
アメリカでは現在、ブランドメーカーが自社の製品をサイトなどで直接販売する「D2C(Direct to Consumer)」が活発化、直販の強みを活かし、顧客データをマーケティングやCRM(顧客関係管理)に活用しています。
さらにプロモーションに従来のテレビCMやWeb広告よりも、SNSを積極的に活用していることで、D2Cの主なターゲットである「ミレニアル世代」に直撃していることから、SNSを活用したプロモーションが有効だと言われています。
まとめ
アメリカのEC市場動向から、日本でも今後EC市場の拡大・競争激化が推測されます。
日本ではアメリカのような「EC市場におけるAmazonのシェア」や「ウォルマートの独走状態」はないもの、徐々にD2CブランドのEC市場におけるシェア拡大や、新しい販売手法の登場することは想像に難くありません。
EC事業者はこうした市場動向を注視し、D2Cブランドの立ち上げや、新しい販売手法の実践など、様々な方法を検討していく必要があるといえます。
また、Googleショッピング広告やD2C・ECは日本のEC市場でも注目されています。
長期的に考えて、今のうちにAmazonを活用しておくなどEC業界の動向を知り、有効な手段を打つのが最適と言えるでしょう。