ECサイトを構築する際、様々な開発方法はありますが、そのなかに「フルスクラッチ」という開発方法があります。
このフルスクラッチは実現に高い技術力や多くのコストが必要になる分決して初心者向けとは言えませんが、企業ならではのカスタマイズされたECサイトを構築することができます。
今回はECサイトのフルスクラッチについてまとめたいと思います。
フルスクラッチ開発とは?
フルスクラッチとは、大まかに言えば「システムすべてをゼロから自作すること」です。
既存のECパッケージとは異なり、既存のプログラムやパッケージソフトウェアを使わずに1から独自にECサイトを構築する手段です。
ただシステムを「ゼロから作り出す」とはいっても、自社のECサイトのシステムに実装させたいシステムなどを外部の会社に伝え、開発をしてもらうというケースもあり、要件を受けた会社は、その企業が既に持っているシステム構築のテンプレートやフレームワークを応用しながら要望に応えていきます。
こういったECサイトの構築の仕方を「スクラッチ開発」といいます。
フルスクラッチとパッケージ開発の違い
フルスクラッチとよく対比してあげられるのが、ECパッケージを利用したECサイトの構築方法であるパッケージ開発で、最大の違いは導入にかかる初期費用と期間でしょう。
フルスクラッチ開発の場合、初期費用は1000万円~数億円で、その導入には最短でも1年程度かかるのに対し、パッケージ開発の場合は初期費用が数十万~数千万と、比較的安価で始めることができ、導入までの期間も最短で3か月程度が目安とされています。
フルスクラッチ開発は下記のようにかかる費用や期間が膨大に必要なため、ある程度体力のある大手企業でなければ、その実現は難しいでしょう。
・ プログラム本体の開発
・ サーバー
・ ドメイン代
・ 決済手数料
・ ECサイトのデザイン費用
・ ベンダーによるサポート
いっぽうECパッケージの利用には、低コスト・短期間でECサイトの構築ができるというメリットがある一方、パッケージのシステムを大幅に変更するようなカスタマイズができないことが、デメリットの一つとしてあげられます。
ECサイトをフルスクラッチで構築することのメリット
ECサイトパッケージソフトウェアやクラウドサービスではなく、フルスクラッチでECサイト構築をすることには、次のようなメリットがあります。
自由な仕様
1から開発するので、希望や要件をすべて満たしたECサイトが構築できるのは大きなメリットです。
開発時間や費用という問題はありますが、柔軟な仕様変更や特殊な形式のECサイト構築、予約管理システムや問い合わせ用のチャットボットなどなど、ECサイト以外の機能追加も可能です。
カスタマイズ可能
デザイン、機能、他システムとの連携など、あらゆる部分を自由にカスタマイズでき、ほかのECサイトと大きく差別化することが可能で、さらに将来に向けた拡張性を残すこともできます。
トラブル対応・新機能追加などにも柔軟な対応が可能
管理やメンテナンスもほとんどの場合社内で行えるスタッフが在籍しているため、トラブルや障害の発生時にすみやかな対応が可能です。
新機能追加やA/Bテストなどの希望にも柔軟に対応できるでしょう。
ECサイトとマーケティングを連動して高速PDCAが可能
サイト構築を内製化すれば、迅速な修正が可能となり、マーケティング部門・ECサイト構築部門が連携、改善提案とテスト、分析を短いサイクルで繰り返す高速PDCAサイクルを短いスパンで実現を可能とし、収益向上のスピードを上げ、大きな利益につなげることが期待できます。
ECサイトをフルスクラッチで構築するデメリット
費用が高く開発時間がかかる
フルスクラッチでのサイト構築を行なう際、開発に大きな時間と初期費用が必要となります。
また頻繁に修正や更新を行う必要があるので、ランニングコストもかかり、さらにプログラムを作成するだけでなく、時代に合わせてサーバーやOS、回線などのハードウェアの費用も必要になります。
高い技術力のある人材が必要
開発・運用管理や分析・改善提案を内製化するため、社内に技術力のあるスタッフが必要になります。しかも彼らが退職などした場合、また代替できる人材の確保に追われるでしょう。
セキュリティシステムの頻繁な更新に追われる
フルスクラッチによるシステムのセキュリティ対策は自社で行う必要が発生します。
そのため常に新機能追加や不具合修正、セキュリティ強化などの更新が必要となります。
また、こまめな更新でつぎはぎを繰り返すと全体の整合性やレイアウトが古くなるため、数年程度で大幅なリニューアルも必要となるでしょう。
ベンダーを変えにくい
フルスクラッチ開発をベンダーに外注すると、たとえ不満足なできあがりであっても、他社へと乗り換えにくくなります。
その理由としては、開発を担当したベンダーが開発の経緯や背景を知っているため、詳しい説明がなくても意思疎通ができるといった事情もあることが大きいでしょう。
まとめ
フルスクラッチ開発はコスト・時間などを膨大に取られる反面、実現した場合はパッケージ開発にはない様々な強みを持てることができます。
フルスクラッチ開発を行える環境を作り上げるのは会社として並大抵のことではないですが、メリットによる恩恵は大きく、そういった環境を作り上げるのも会社としての成長の証とも言えるでしょう。
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