自社ECサイトの決済手段として、ID決済、いわゆる「Amazon Pay」「PayPay(オンライン)」「d払い®」「楽天ペイ(オンライン決済)」などの採用が昨今増えてきています。
なぜ増えているのかというと、ユーザーの多くは「個人情報の入力」が面倒だったり「ECサイトへの不信感」がありますが、こういったカゴ落ちの主要な原因を解決すればCV率アップに直接つながるからです。
今回はこれら各ID決済の機能の違いを説明していきたいと思います。
ECサイトで提供される「オンライン決済」の役割は重要
ECサイトに希望の支払い方法がないと、一旦、商品をECサイトの買い物かごに入れても、決済画面でそれ以上先に進まないといういわゆる「カゴ落ち」の率が約7割に上るという結果が出ています。
ECサイトを運営するEC・通販会社は、ECサイトのデザインや商品画像、商品のコピーや案内文を改良したりといった新規ユーザーの獲得に向けてさまざまな取り組みを実践していますが、決済画面でユーザーが希望する決済方法がなく、カートから離脱(カゴ落ち)されると、これらの努力が無駄になってしまいかねません。
そのユーザーは離脱した後、希望する決済方法が導入されている他の競合サイトで購入することになってしまいます。
主要なID決済
近年、さまざまなID決済が登場していますが、今回は自社ECサイトで使われることが多い
・Amazon Pay
・楽天ペイ(オンライン決済)
・d払い
・PayPay(オンライン)
・Apple Pay
・LINE Pay
こちらを解説します。
Amazon Pay
Amazon.co.jpのユーザーアカウント(Eメールアドレス・パスワード)を使って自社ECサイトのログインと決済を行います。
Amazonアカウントに登録されているユーザー情報(氏名、配送先住所、クレジットカード情報など)を参照するため、ユーザーが初めて使うECサイトでも住所やカード情報などを入力する必要がなく、決済完了と同時に、自社ECサイトの会員登録やメルマガ購読登録も行えるといった簡略化が大きいです。
楽天ペイ
楽天会員が楽天IDとパスワードを使い、楽天以外のECサイトで決済できるID決済サービスで、お買い物の際に「楽天ポイント」を貯めたり、使ったりすることもできること、日本最大のECモールである楽天ユーザーであれば利用しやすいと言えます。
PayPay
自社ECサイトでの買い物において、電子マネー「PayPay残高」や、「PayPay」に登録したクレジットカードを使って決済します。
決済時は自社ECサイトから「PayPay」のアプリ(アプリがインストールされていない場合はブラウザ)に遷移します。
d払い
NTTドコモが手がけるスマホ決済サービス「d払い」を使い、自社ECサイトでの決済を行います。
支払いは、携帯電話などの通信料金とまとめて支払う「電話料金合算払い」やクレジットカード払いなどがある。決済時に「dポイント」が貯まったり使えたりできます。
NTTドコモのユーザー以外でも、eメールアドレスを登録し、クレジットカード情報を紐づければ誰でも利用することは可能です。
Apple Pay
「Apple Pay」を設定済みのiPhoneを使い、Face IDやTouch IDで決済を行います。
商品詳細画面に「Apple Pay」を実装すると、ショッピングカート画面に遷移することなく決済できるのは大きなメリットです。
LINE Pay
自社ECサイトにおける買い物で、「LINE Pay」に事前にチャージした残高や、登録済みのクレジットカードで決済を行います。
決済時は「LINE Pay」のアプリが起動、お客様は表示された決済画面で支払い方法を選択し、決済を行います。
これら6つのID決済のうち、ID連携を標準機能として提供しているのは「Amazon Pay」のみで、他のID決済は決済機能のみを提供しています。
ID連携のメリット
ID連携のメリットは、新規会員のコンバージョンが期待できることでしょう。
初回購入時に配送先住所やクレジットカード番号などを入力する必要がないため、「入力の手間がかからない」「ECサイトから情報が漏えいする心配がない」といった理由から、決済への心理的ハードルが下がります。
また、ID連携した会員は、次回のサイト訪問から連携済みのIDでログインできるため、ECサイトの都度ログインなど煩わしい手間を取ることはありません。
ECサイトにIDやパスワードを登録しないため、セキュリティ的にも安心です。
このように、ID連携機能を使うと既存顧客の2回目以降の買い物の満足度も高くなります。
まとめ
ECサイトに導入するID決済を選ぶときのポイントは下記を中心にすると良いでしょう。
・決済の利便性を追求し、コンバージョンを上げる
・ポイント還元キャンペーンを活用し、販促を強化する
ID決済は現在、さまざまなサービスが乱立していますが、かといってすべてをECサイトに導入するのではなく、それぞれのID決済の機能や挙動、キャンペーンの特徴を踏まえ、自社に合ったID決済を見極めるとともに、導入効果を最大化する運用を目指していきましょう。