ふくべ鍛冶「ポチスパ」誕生秘話公開!【EC・ネットショップ】

EC戦略・マネージメント編

今回ゲスト、株式会社ふくべ鍛冶 干場 健太朗 氏は、包丁研ぎの本格的な職人技を気軽に注文できる「ポチスパ(包丁研ぎ宅配サービス)」を開発。震災後は、そのシステムを生かした伝統産業品等の修理プラットフォーム「リペアクラウド」の立ち上げなど地域産業支援をされていらっしゃいます。

干場氏に『伝統工芸DX』についてお話をお伺いしました!

▽株式会社ふくべ鍛冶について教えてください。
包丁を中心とした刃物の製造・販売・修理を行う会社で、今年で創業117年になります。私は4代目にあたり、もともとは公務員をしていましたが、母の他界をきっかけに父が一人になってしまい、「自分が継がなければこの仕事が途絶えてしまう」と思い、家業に入りました。
当初は「包丁を売る」ことを中心に考えていました。能登半島にある商店での売り上げが全体の約9割を占めており、店舗販売に加えて移動販売トラックでも地域を回っていました。地元の農家や漁師の方々とともに成長してきた会社です。

▽DXへ転換した過程を教えてください。
地域の高齢化が進むにつれ、出張販売をしてもお客様が減っていくのを感じていました。人口推計を確認すると、25年後には半分になるという予測があり、売上も比例して減少すると考えました。
一方で、移動販売では販売よりも圧倒的に修理の依頼が多く、そこに可能性を感じました。最初は毎週自ら回っていましたが、豆腐屋さんや魚屋さんなど、同じく移動販売をしている方々に修理品の回収を委託するようになりました。そこから、宅配で修理を受け付ける仕組みを整え、2018年にECを活用した刃物修理サービス「ホチスパ」をスタートしました。
「ホチスパ」は“包丁をスパッと研ぎ直す”の略で、当初は冗談のようにつけた名前でしたが、覚えやすく、今ではすっかり定着しています。都会のお客様から「包丁を持って電車に乗るのが怖い」という声も多く、宅配にすることでそうした不安を解消できると考えました。
立ち上げ当初はECサイトの構築や物流の仕組みもまったくわかりませんでしたが、ネットクリーニングなどの先行事例を参考にし、それを刃物業界に応用しました。サイトから注文を受けると、専用の梱包箱をお客様へお送りし、包丁を入れてポストに投函していただきます。こちらで研ぎ直し、錆や刃こぼれを修復した上で返送します。往復送料込みで一律3,000円から対応しており、刃こぼれがひどくても追加料金はいただきません。“職人の誇り”よりも“お客様の安心感”を大切にし、「いくらかかるんだろう」という不安をなくすことが信頼につながると考えて、一律料金にしています。

▽成功を左右したポイントとは?
差別化の鍵は、「いかにお客様に寄り添えるか」だと考えています。刃物修理の現場では、お客様の思い入れが強いため、職人と意見がぶつかってしまうこともあります。そこで弊社では、職人ができるだけお客様の気持ちに寄り添い、技術をお客様のために使う仕組みを整えました。「便利に、安心して刃物修理を依頼できる」体験を提供することこそが、私たちのDXの本質です。

このほかにも盛りだくさん、『伝統工芸DX』について公開しています!
『伝統工芸DX』をご検討中の企業様のご参考になるかと思います!
それでは、干場氏流『伝統工芸DX』、ぜひお楽しみください!

~第319回 ゲスト~

干場健太朗 氏
株式会社ふくべ鍛冶
代表取締役

1980年生まれ、能登町出身。大学で経営学を学び能登町役場に入庁。地域産業の活性化や伝統文化の継承支援などの業務に携わる。12年後、母の病死を受け家業で創業100年以上の鍛冶屋を4代目として継ぐ。包丁研ぎの本格的な職人技を気軽に注文できる「ポチスパ(包丁研ぎ宅配サービス)」を開発。震災後は、そのシステムを生かした伝統産業品等の修理プラットフォーム「リペアクラウド」の立ち上げなど地域産業支援を行っている。

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