今回ゲスト、株式会社E-Grant 北川 健太郎 氏は、総合CRM支援を展開。CDP・CRMツール「うちでのこづち」の提供やLTV・CRMマーケティングをご支援され、数千万円~数百億円まで累計1,000社以上の支援実績を持ちEC・通販市場においてトップシェアを獲得されていらっしゃいます。
北川氏に『CRMとLTV』についてお話をお伺いしました!
▽LTVは「チャネル横断」で見ないと意味がない理由を教えてください。
CRMの話になると、データも取れて顧客資産を自社で持てることから、どうしても「自社サイトでやるもの」というイメージが強くなりがちです。「顧客資産を自社で抱える」という意味では、確かに自社ECは一番メリットがあります。
ただ、現実を見ると、売上の4〜5割、事業者によっては6〜7割がモール経由というケースも珍しくありません。いくら商品開発やマーケティングが良くて、ユーザーの課題に寄り添った商品を作っていても、「どこで買うか」はまた別の話になってきています。今は、利便性やポイント、配送スピードや返品のしやすさなど、AmazonならAmazon、楽天なら楽天で買う理由がそれぞれあります。商品名をコピーしてAmazonや楽天で検索する、という行動も、もう当たり前ですよね。自社広告で入ってきたユーザーが、結果的にモールで購入する、という流れは普通に起きています。
そうなると、LTVの考え方も変わってきます。最近の明確な流れとしては、自社ECだけではなく、Amazonや楽天も含めて「トータルでどうLTVを上げるか」を考える企業が増えています。もう総合格闘技みたいな世界です。例えば、自社ECで2回購入して、3回目はモールで買ったとします。モール側から見ると「初回購入」ですが、事業者側から見ればF3です。にもかかわらず、チャネルを分断して見てしまうと、毎回「はじめまして」のコミュニケーションになってしまう。でも本当は、そのお客様に対して「はじめまして」は違いますよね。そこで、チャネル横断でLTVを見る必要性があります。
▽モールはリピートマーケティングしにくいのは本当ですか?
モールはデータ制約があり、CRMやリピート施策がやりにくい、というイメージを持たれがちです。確かに以前はそうでしたが、最近はテクノロジーがかなり進化しています。例えば、Amazonや楽天とAPI連携することで、期間限定で消えてしまうデータも保持できるようになってきています。モールと自社のデータを一緒に見て、自社CRMとモールの購買データを統合し、顧客単位でLTVを把握することも可能になってきました。
そうすると、「どこで買っているか」ではなく、「誰が、今どんな状態か」で判断できるようになります。モールも一つのチャネルとして捉えて、自社かモールかではなく、「そのお客様はなぜそこで買ったのか」を理解することが重要です。
ただ、現場を見ると、自社EC担当とモール担当が分かれていて、KPIも違うため、結果的に社内で競争してしまっているケースも多いです。割引率の競争になり、利益が下がり、お客さんも「一番安いところを探す」行動に寄ってしまいます。手段が目的化してしまっている状態です。本来、ライバルは社外にたくさんいるのに、社内で戦っている場合ではありません。結局、鍵になるのはデータです。CRMの役割としてまず大事なのは「見える化」です。モール内で直接CRM施策ができなくても、傾向が分かれば打ち手は見えてきます。そうすると、自社ECの施策も変わりますし、モール側の売り場づくりも変わってきます。
これはリアル店舗も同じです。店舗では優良顧客なのに、ECでは「初めまして」扱いされると、ユーザー体験として違和感が出てしまいます。だからこそ、OMOも含めて、チャネルを横断して顧客を理解する必要があり、テクノロジー的にも少しずつそれが可能になってきています。
▽中小企業こそCRMを活用すべき理由とは?
大手企業はお金をかければある程度できますが、日本の企業の99%は中小企業です。中小企業こそ、データを活用して成長できる世界を作っていきたいと思っています。新規獲得でやっていることはCRMにも効きますし、CRMでやっていることは新規獲得にも効きます。新規とCRMを分けて考えるのではなく、新規獲得からCRMまでを一本で見ることで、結果的にLTVに跳ね返ってきます。今の時代の前提として一番大事なのは、「商品は買うけど、どこで買うかは私が決める」というのがユーザーの感覚だということです。その選択肢が増えている以上、事業者側もそれに対応していかないといけません。そのために、データを活用することがますます重要になっていると思います。
~第328回 ゲスト~
北川 健太郎 氏
株式会社E-Grant
代表取締役
当社ビジョン「日本発No.1総合CRMカンパニー」に向けてEC通販・BtoC業界向けに総合CRM支援を展開
CDP・CRMツール「うちでのこづち」の提供やLTV・CRMマーケティング支援を行う
数千万円~数百億円まで累計1,000社以上の支援実績を持ちEC・通販市場においてトップシェアを獲得
2015年に「一般社団法人 日本通販CRM協会」を立ち上げて今後グローバル化が進む世界へJCRMの普及活動を行う
起業家機構(Entrepreneurs’ Organization)Hokkaido 第5期会長
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