【ECの未来予測】もうEC業界が今のままではやばい理由・そしてその対策とは【社会変革・パープルオーシャン・EC・ネットショップ】

マーケッター編

今回ゲスト、 株式会社デジタルコマース総合研究所 本谷 知彦 氏は、シンクタンク大和総研でチーフコンサルタントとして国内外の産業調査・コンサル業務、経済産業省の電子商取引市場調査を2014~2020年に7年連続でご担当されていらっしゃいます。

本谷氏に『EC化率』についてお話をお伺いしました!

▽2030年以降のEC市場が明るいと考えられる理由の3つ目は?
1点目は「人口減少」、2点目は「年代シフト」を挙げました。3点目は「社会変革」です。社会変革は2つあり、1つ目は世帯の状況についてです。現状日本は専業主婦世帯と共働き世帯の比率が、1:2.5です。数でいうと500万世帯:1,200万世帯です。1997年はちょうど1:1でしたが、この年に逆転しました。それが年々広がってきて、これからももっと広がってゆくと思います。
2つ目は、今の日本で要介護認定を受けているのは700万人で、少なくなることは想像し難いです。700万人ですと、世帯でみると8世帯中1世帯が要介護認定の方を抱えているという計算になります。要介護認定を受けていなくても、体が不自由なご年配の方を抱えている家庭もありますので、それを含めれば8世帯に1世帯どころか7世帯に1世帯、6世帯に1世帯と想定されます。その点で、家事を簡素化するためにECは使い勝手がいいという社会変革が大きなポイントになります。例えばAmazonのテレビコマーシャルを見ていると、「買い物を楽にすれば、他のことにたくさん時間を使えますよ」と言っていますよね。社会変革もEC市場にとってプラスになると考えています。

▽EC化に際して、主体的にできる対策とは?
まず一つ挙げられるのは、店舗数が最適な店舗数かどうかを考えることです。全国にアパレル店舗を持つクライアントから「店舗数が多過ぎるのではないか」と質問を受けたことがありました。将来人口が少なくなるのに、今の店舗網を維持するかということを懸念していました。適正な店舗数と、今後アパレルのマーケットがどうなっていくのかという2つを元に、経営戦略を考えるべきだと言っていました。
実店舗回帰、リアル回帰になっている今は、OMOとオムニチャネルが全盛になっていますが、今後5〜6年を考える上では時間軸で物事を見て、逆算して今から対応する必要があると思います。
実店舗に依存しない販売体制をどう作ってゆくのかというビジネスモデルとしての目線と、OMOとオムニチャネルをどううまくやっていくのかという短期的な目線との二刀流を経営として追いかけていくことが求められています。

▽ECにシフトする判断に必要な要素とは?
一つ目は、最適な店舗数について、マーケットをリサーチしておくことが重要だと思います。マーケットのセグメントをして解像度を上げた分析をした上で、ビジネスモデルからどう判断するかが重要だと思います。
二十数年前にセブンイレブンのCIOをやっていた方が、小売業は「変化対応業である」と言っていました。「変化対応業」をネガティブに捉えると、物事をテクニカルに対処療法的にやっていくことの積み重ねでいいとみるため、ビジネスモデルとしての目線が吹っ飛んでしまいます。
2点目は、店舗網をプラットフォームで捉える考え方を広げていくことです。例としてはコンビニエンスストアの他、郵便局も遠方在住者の見守りサービスなどの付加的なサービスでできています。アメリカの例でいうと、ネットで買ったSHEINの商品をFOREVER21の店舗で返品できるなど、ハッピーリターンズという返品サービスを絡めた連携があります。例えば、日本のイオンが大規模な店舗を郊外に沢山持っているので、DtoC系のサービスの受け皿ができてもいいと思います。大企業にはビジネスモデルの考え方やプラットフォーム化を含めて色々な可能性を追求してほしいと思います。

▽実店舗数の減少を見据えた対応策。BtoB-ECは伸び代が大きいパープルオーシャン?
メーカーがDtoCに力を注ぐのは自然の流れですが、卸先が減るのでBtoB-ECは伸び代が大きいパープルオーシャンだと思っています。BtoB小売にどう売り込むかや、EDIでメーカー側がしがらみに関係なく新規販路開拓をやっていく必要があると思います。BtoCとBtoBが両輪で合わさることで、日本の流通構造のデジタル化がもう少し進み、全体的なBtoCのEC化を押し進めてゆく流れになればいいと考えています。

このほかにも盛りだくさん、『EC化率』について公開しています!
EC化についてご検討中の企業様のご参考になるかと思います!
それでは、本谷氏流『EC化率』、ぜひお楽しみください!

https://youtu.be/6OhApk6T2xQ

~第284回 ゲスト~

本谷 知彦 氏
株式会社デジタルコマース総合研究所
代表取締役

シンクタンク大和総研にて国内外の産業調査・コンサルティング業務にチーフコンサルタントとして従事。EC業界のスタンダードな調査レポートである経済産業省の電子商取引市場調査を2014年から2020年にかけて7年連続で責任者として手掛ける。その他日本政府の調査研究案件の実績多数。2021年末に同社を退職し2022年初に株式会社デジタルコマース総合研究所を設立。EC市場の調査研究はもとより、データに基づいた消費財のマーケット分析や事業戦略のアドバイス、および講演活動、メディア向けの執筆活動等を行っている。

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