今回ゲスト、 シナジーマーケティング株式会社の江森 清文 氏は、DtoC領域での経験を活かし、CRM業務全般をご担当。LTV最大化や顧客関係構築に貢献し、実店舗運営経験を基にオンライン・オフライン双方でマーケティングを支援。現在はCRMコンサルタントとして企業のLTV向上を支援し、「みんなのCRMアカデミーPlus」の校長兼講師も務めていらっしゃいます。
江森氏に『CRM』についてお話をお伺いしました!
▽CRM施策はどう設計するのですか?
お客様をセグメントして分析していくと、誰がいくら買ってくれているかが分かります。目標設定やLTVや継続率、セグメント別に何をすべきかが分かってくるので、どのタイミングで誰にどういうものを送るかをしっかり設計する必要が出てきます。
色々なタイプのペルソナを作り、買うに至った経緯、買った後の気持ちをカスタマージャーニーマップにまとめます。ペルソナの感情の起伏も入れていくと、朝の10時にメール送っても絶対見ない、などが分かってくるので、それらを集めてCRM施策に落とし込みます。
▽ペルソナを作るコツは?
デシル分析をしていって1番お金を使ってくれる層から上位の何名かを当てていくと、年齢や性別が1つの塊になります。最も多い方から最終的なペルソナに仕上げ、更に誰に商品を買ってほしいかを決めます。
アクセス解析をすれば、例えば店舗の場合は夕方以降に来るお客さんで主に1番目立つ所にある商品を買っている、ECの場合は最初に出てくるトップページの商品を買いがち、などもわかります。
▽カスタマージャーニーマップの考え方は?
顧客がどこから体験するのかから始まります。例えば誰かのSNSを見て、店舗で買うか、オンラインで一回見てから店舗に行くかの2通りが出ます。次にSNSで見た人たちに渡すクーポンが店舗とオンラインどちらで使用可能かで分かれます。どちらの方がLTVが最大化するかがわかると、どのお客様に対してメールマーケティングをするべきかが分かります。顧客が認知してから購買に至るまでが多様化しています。
生活習慣など勘に近い部分もあるので必要に応じて織り混ぜます。平日は8時からSNSを見ている、YouTubeを見ている時間帯はテレビ見ていない、などが分かるとCMは無駄、など複合的に考えないといけない時代に突入しています。
生成AIを使ってある程度の分析でマッチングして自分たちの答えと比べる方法もありますが、比較検討が必要です。
▽アンケートは定期的に取るべきですか?
アンケートには、年に1回、NPSを取るための大型アンケートと、お悩み系商材に多い、効果に不満をもっている方々に不満を吐き出してもらうものの2種類があります。窓口があることが大事で、特典をつける方法もあります。アンケートが取れて継続もしてもらえる内容のものは王道のメール施策といっていますが、これで継続率が上がることは結構あります。意見を聞いてもらえて嬉しいと思ってもらえて、好きになってくれる確率が上がります。
周期や頻度については、カスタマージャーニーマップを作るとタッチポイントが見えてきます。メールや電話、DMなど、生活シーンを考えて月に何回、何ヶ月なら嫌がられないかを考えます。タッチポイントが途切れると忘れられてしまうので、月に1回アクションを必ず起こし、可能なら1年上は送った方がいいです。最初のうちは忘れられないよう、60日間使えるクーポンをつけて再購入を促し、その後は定期的に月に1本から2本ぐらいの関係を続けます。毎月火曜日にメールが来る、というような定期的に送るようなことでも覚えてもらえます。
▽顧客満足度とLTVを上げるには?
メール、LINEもありますが、紙のDMがいいです。メールは見てもらえないと言われ、LINEはクーポン目当てなど、目的が分かれてきている中で、DMは届くので見られます。DMのリバースエンジニアリングをして「誰の何を何のために」を組み立てていき、いつ誰に見て欲しいかを考えます。
クロスセルしたいなど目的はあると思いますが、買った直後に「この商品も買って」と言われると嫌な思いをする人もいて、全員が満足してくれることは恐らくないので、どんなツールや手段を使って連絡を取るのかが大事です。
メールも同梱もLINEも全部やった方がいいです。メールだけでは伝えられないことを同梱では伝えられるので、「届いたかどうか確認してください」という内容をメールを送り開梱してもらいます。不足があった時にクレームになるよりは連絡をくれる方がいいですし、顧客満足度が上がりLTVも必ず上がるはずです。満足度を上げることがLTVを上げることに繋がるので、そのための活動です。
~第280回 ゲスト~
江森 清文 氏
シナジーマーケティング株式会社
クラウド事業部 第2デジタルマーケティングG CRMスペシャリスト
DtoC領域で2社の経験を積み、メール、DM、同梱施策などのCRM業務を担当。年間LTV最大化を実現し、顧客との関係性構築に貢献。また、4店舗の実店舗運営経験を活かし、オンライン・オフライン両面でのマーケティング知識を提供。現在はCRMコンサルタントとして企業のコミュニケーション設計を支援し、LTV向上を実現しています。さらに、CRM担当者養成のため「みんなのCRMアカデミーPlus」の事業責任者(校長)兼講師を務めています。