越境ECはインバウンドをおさえる戦略にチャンスがある時代【EC・ネットショップ】

EC支援サービス編

今回ゲスト、SHOPLINE Japan株式会社 大山 廣貴 氏は、2019年アリババ中国本社のグローバルリーダーシッププログラムに日本人で初めて合格され、アリババ中国本社にご入社、2024年4月よりSHOPLINE Japan株式会社代表取締役にご就任なさっています。

引き続き、大山氏に『最先端ECカート』についてお伺いしました!

▽更に独自にやられていることは?

(前回の1つ目より)2つ目は“AI機能”です。商品情報を最低3つ入れて、自分の好きな雰囲気やコンセプトを入力すると、AIが自分好みのECサイトを作ってくれる機能が標準機能として入っており、ノーコードで作れます。そして、ChatGPTが標準装備されているので、日本語や多言語など自動でブログを書いてくれる機能もあります。また、バックヤードでインスタグラムやFacebookなどのすべての問合せに対応でき、その問合せに対しての返答の文章を作ってくれる機能もあります。
この形態になったのは、台湾ではECカートとお客様が直接繋がっているケースが多いからです。日本ではWeb製作会社がすごく優秀なのですが、台湾で自社でECをやる場合、基本はECカートが毎週勉強会を開いて、ECカートの事業者さんが勉強をしています。ですので、弊社のAI機能はWeb製作会社からすると、仕事が無くなってしまう恐れがあるということで不評なんです。
中小なお客様でも簡単にECを始められる、かつWeb製作会社を挟まずとも最低限のものが安価で出来る、がコンセプトです。ですので、これから外国人を相手にしたい中小な方には凄くおすすめです。

▽3つめは何ですか?

多言語SEOですね。Webサイトを多言語化し、かつSEO対策まで出来るのは強みだと思っています。特に昨今、日本のインバウンドがこれだけ来ているので、とても需要があると思っています。
こちら(日本)が知っている英語や中国語は、向こうではニュアンスが違うことがあります。文章を書いてみて、ここが弱いというのをAIが鑑定し表示してくれます。インバウンドは8割くらいの方が旅行前に現地の色んな情報を調べて決めますので、日本語しかないものを多言語で準備したいというニーズは当然あります。
政府も去年5.3兆円くらいのインバウンドの消費だったのを、2030年までに15兆円にすると言っていますが、10兆円増えるマーケットはなかなか今の日本ではありません。そして、インバウンドは今ふいていますが去年は2500万人で2030年までに6000万人という数字を掲げており、これは明確に今後伸びる産業なので、そこに対する準備で多言語化のWebサイトや、海外のお客様が予約するフォーマットが必要です。海外の方がお店を予約して来店しないケースが多いですが、それは悪意がある訳ではなく、タクシーが捕まらないなど、トラブルのケースもあると思うので、事前決済ができる予約ページを多言語で作り、お客様がお店に来て顧客管理をし、ファンになってもらい母国に帰った後にECで売りたいというお客様もいます。

▽それはインバウンドからの越境ECですね。

ヨーロッパを旅行していた時にインバウンドでチョコレートを買った事があるのですが、味よりも自分の思い出を買っている部分はありませんか?その時の思い出をフラッシュバックさせるという意味で買っているので、送料やレートを気にしません。いわゆる越境ECというと、中国は高額払って大量買いのイメージが強いですが、インバウンドからの越境ECは、社内で「思い出コマース」と呼んでいるのですが、そういうのを気にせずに思い出を買っている方々なので売りやすいです。その流れで一番成功されているお客様はD2C(DtoC)のみならず、D2B(DtoB)も売られているケースが多いです。それは、すごく気に入ってくださった方にバイヤーがいて、そのバイヤーの方が母国に帰った後に繋がって、弊社ではD2B(DtoB)のECがあるのでやりとりすることが出来ます。意図せずにインバウンド対策をすると、越境でD2C(DtoC)は増えると思いましたが、D2B(DtoB)が伸びているというケースがあり、それは成功されている方の共通点だと思います。

▽今がチャンスですか?

やる事業者がそこまで多くないのでチャンスですね。成功しているところを紐解いてみると、実は日本の会社でなく、インバウンド向けの商売を上手くやっているのが中国系の会社であったりします。それはそれでいいと思いますが、日本人として悔しい思いがあります。これだけ平和で治安もよく綺麗な国というのは本当にないので、日本はこれから伸びる余地しかないと思っています。

海外向けに情報発信したり、サービスを作りたい企業様のご参考になるかと思います!
それでは大山氏流『最先端ECカート』についてぜひお楽しみください!

~第264回 ゲスト~

大山廣貴(オオヤマ ヒロタカ) 氏
SHOPLINE Japan株式会社
代表取締役

新卒で株式会社商船三井に入社、営業、経営企画、MBA留学を経験後、2019年アリババ中国本社のグローバルリーダーシッププログラムに日本人で初めて合格し、アリババ中国本社に入社、物流事業に配属。2021年より同社物流会社であるCAINIAOの日本法人立ち上げのため帰国し、事業責任者を務める。2024年4月よりSHOPLINE Japan株式会社代表取締役に就任。早稲田大学理工学部、CEIBS(MBA)卒。

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