【ネットショップ経営】中小企業が大企業に勝つ方法とは?【episode138】

EC戦略・マネージメント編 店長編

今回ゲスト、株式会社 大都 代表取締役 山田 岳人氏は、
工具や塗料などDIY用品の日本最大級のECサイト「DIY FACTORY」を運営。国内主要モールのDIYジャンル全てでトップシェアを獲得されています。

山田さんに「大都流理念経営」について聞いてみました。

▽理念経営を進めるにあたって具体的にどういうことをされましたか?

ECをやりだしてずっと伸びていたが2009年に頭打ちになって、次の手を打つことになりDIYにフォーカスしようと決めました。
アイテム数が多い業界なので、ロングテールモデルを作ろうと膨大な商品登録をしました。
翌年から売上が2年連続で倍増したのですが現場が疲弊しました。
朝、受注担当の社員がため息をつく。
これが本当に自分たちのやりたかったことなのか?と疑問に思いました。
社員たちからも、なんでこんなにがんばっているのか?という疑問の声があがり、その時に道標のようなものが必要なんだと気が付きました。
いろんな本も読んで会社見学などにも行って学びながら「ハッピートライアングル」というミッションと「作る楽しさを未来につなげたい」というビジョンを作りました。
その時にわかったことは、会社としてどこを目指すかが決まらないと戦略は決まらないということです。
ビジョンを成すために戦略があって、戦略を実行するために組織がある。
その道筋が揃わないと組織だけ良くしようと思ってもできないと感じました。
逆にそれが分かると、やるべきことが明確になっていきました。
ミッションにもある通り取引先である仕入れ先やメーカーとの関係性をとても大切にしています。
全て隠さず商品データベース自体もメーカーに開放しています。

▽関係性がないとなかなかできないことですね?

APIで取引先さんの在庫を繋げさせていただいて取引先の在庫数を把握してサイトにも反映しています。
在庫数がはっきりわかれば問い合わせの必要がありません。
取引先との関係性というのは信頼関係。
我々のこともちゃんと開示します。
EDIで発注しますが使用料は頂きません。
賛否ありますが「プライベートブランドは作りません」と宣言しています。
メーカーに対するリスペクト。
メーカーからしたら、売れている商品を真似して作っているPBは面白くない。
やれば収益性が高まるのはわかっていますがやらないと決めました。
その分、メーカーの商品をいかに見せるかに注力しています。
今GoogleでDIYを検索すると、うちが出てきます。
そこはコンテンツをしっかり作っているところを評価いただいているからだと思います。
ECは中小企業にもチャンスをくれる。
売上が何千億というホームセンターが全国に何社もある中で、全てのモールのDIYジャンルで我々が一位です。
勝てるんです。
ECの面白さがそこにある。
大資本が勝つルールになっていないんです。
我々のやり方がそのまま他業種に当てはまるとは思っていませんが、やりようはいかようにもあるのかなという風に思っています。

▽工具からDIYにシフトして、そこをキーワードにしているんですよね?

名前は2回変えました。
一回目は卸問屋の屋号を変え、2回目はEC店舗の名前を変えました。
ECと別の名前で出した店舗の広がりがすごくてメディアの取材が殺到し、そちらの認知が広がったので、ECの方の名前を変えました。
お客さんは我々を工具屋として捉えていません。
お客さんは別に工具が欲しいわけではないんです。
例えば子供部屋をかわいくしたいという人がいて、その為に必要なものとして塗料や工具があるわけです。
店舗を持ったことで、お客さんが求めるのは工具ではなく、どうしたいかなのだと強く感じました。
実は途中でビジョンも変えています。
経営者は理念を一度作ったら変えてはいけないと思っている人が多いと思います。
ブレていると思われると。
私もすごく抵抗がありました。
でもビジョンに縛られていて狭くなっていると気が付いて変えました。
日本のDIYの日曜大工からの脱却。
そして、それを実現させる社会にするために、われわれはビジネスをやっていこうと。
直接マネタイズしないことでも、文化を作っていくことがDIY人口を増やすことになり、ゆくゆくは自分たちに返ってくるということを言い続けて、5年、10年という長いスパンの話ですが、やり続けているという感じです。

▽以前は苦しめられたホームセンターとの関係も変わってきているのですよね?

ECをやり始めたころは、ホームセンターを、この業界をつぶしてやろうと思っていました。
でもミッション・ビジョン・バリューが決まってくると、ホームセンターも我々と一緒に未来を目指すパートナーだと。
DIYを日本に広げていく同志なんだと考え方がすごく変わりました。
私は後継ぎなので、これをやりたいと思って会社に入ったわけではありません。
後付けでもいいと思っています。
何を成したいのかが見えてくると、全てがすごくはっきり見えてきます。
売上や利益を上げることも必要だけど、それを目標に掲げたところで、喜ぶのは経営者だけで社員は喜びません。
会社が何を考えているかが透けて見える時代です。
エンドユーザーも取引先も見ているし社員も経営者を見ています。

このほかにも盛りだくさん、大都流理念経営について公開しています!
理念経営をご検討中の企業様のご参考になるかと思います!
それでは、大都流『理念経営』、ぜひお楽しみください!

~第138回 ゲスト~

山田 岳人氏
株式会社 大都
代表取締役

1969年11月生まれ。石川県出身。大学卒業後、リクルートに入社。6年間の人材採用の営業を経て、1998年に総合金物工具商社であった大都に入社。2002年にEC事業を立ち上げる。2011年、代表取締役に就任。
工具や塗料などDIY用品の日本最大級のECサイト「DIY FACTORY」を運営。
DIYをブームではなく文化にすべく、取引先とのデータ連携システムを自社開発しDIY領域のECプラットフォームを構築した。
国内主要モールのDIYジャンル全てでトップシェアを獲得しデジタルドミナントを成立させている。

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