個人・企業を問わず、様々な商品の販売に利用されているネットショップ。「ネットショップを始めたい」という方も多いかもしれません。しかし、どのようなサービスが存在し、どのような準備が必要かご存じでしょうか。今回は、ネットショップ開業に必要な流れと、おすすめサービスの比較、さらに自社ECサイトの開設に至るまで、幅広く解説します。
ネットショップ開業から販売までに必要なもの
ネットショップの開業から販売までに必要なものは、開業の方法によって変わってきます。
ネットショップを開業する方法は、「モールへの出店」と「自分(自社)でのECサイト立ち上げ」の2つに大別できます。 一方、どのような方法で開業する場合にも共通して必要なのは、以下の3つです。
- ネットショップの開業準備
- ネットショップ開業等の届出
- ネットショップの開業費用
これらについて、詳細を解説していきます。
ネットショップ開業の準備の流れ
ネットショップの開業には様々な準備が必要です。以下、ネットショップ開業の準備における5つのステップから、その流れを見ていきましょう。
- 1 扱う商品の決定
- ネットショップで扱うことができる商品は、無数にあると言っても過言ではありません。有形の商品のみならず、無形の商品を扱うことも可能です。
有形の商品の例としては、飲食物、ファッション、アクセサリー、ギフト関連、文房具、特産品、工芸品などが挙げられます。
無形の商品の例としては、情報商材、代行サービス、アドバイス、オンラインレッスン、パーソナルトレーニングなどです。
なお、扱う商品によっては営業許可が必要となるため、その取得も行いましょう。
- 2 ショップ・コンセプトの決定
- ショップ・コンセプトの決定とは、「これから立ち上げるネットショップがお客様にどのような価値をもたらすのか」を決めることです。ショップ・コンセプトを決定するためには「ターゲットとする客層」「客層の需要が期待できる商品」の方向性を明確にしましょう。ショップ・コンセプトが曖昧だと、狙った客層が来てくれなかったり、商品選定に迷いが生じて無駄な商品を仕入れたりするなど、販売面にも悪影響が生じる恐れがあります。
- 3 システムの決定
- システムの決定においては、まず「モールへの出店」と「自分(自社)でのECサイト立ち上げ」のどちらが最適かを検討します。
モールへの出店の場合、amazon、楽天、BASEなど、特徴が異なる様々なサービスがあるため、しっかり比較検討しましょう。
自分(自社)でのECサイト立ち上げの場合、モールへの出店よりも費用や労力がかかります。それでもなお自分(自社)のECサイトが必要と判断した時のみ、立ち上げを検討すると良いでしょう。
この他、決済方法や配送方法、配送費用(送料)についても検討します。
- 4 集客方法の決定
- 現在は、SNSを利用することで、簡単にショップや商品を紹介することが可能です。ただし SNSを利用した集客は、すでに多くのネットショップが実施しています。その中で埋もれてしまわないためには、工夫やアイディアが必要です。
ある程度の予算がある場合は、動画広告やインターネット広告の利用も選択肢の1つとすると良いでしょう。
また、定期的なキャンペーンや割引イベント等の実施も、話題となれば集客につながる可能性があります。
- 5 商品登録
- 商品登録では「商品名、商品の概要・説明、商品画像」などの情報を1点ずつ登録します。ネットショップ開業の最終ステップですが、商品数が多いほど大変な作業です。「商品数が多い」「商品登録の時間が取れない」といった場合は、登録代行業者を利用する方法もあります。
ネットショップは開業の届出が必要か
個人でネットショップを開業する際、基本的に開業届が必要となります。開業届を提出すると、以下のようなメリットが享受できます。
- ● 青色申告が利用できるようになる
- 開業届と共に青色申告承認申請書を提出することで、確定申告において青色申告が利用できるようになります。青色申告では「最大65万円の青色申告特別控除」が利用できるため、白色申告よりも高い節税効果が期待できるのです。
- ● 開業証明書類として認められる
- 開業届の控えは、保育園等の申し込みや、銀行からの融資等に必要となる就労証明書と同等の書類として認められます。
- ● 事業名義で口座が作れる
- 開業届を提出すると、ビジネスに利用可能な事業名義の口座を作ることが可能です。
なお、開業届は提出しなくても罰則はありません。ただし、ある程度の所得を得ていれば、「ネットショップを本業として営む個人事業主」あるいは「ネットショップを副業として営む給与所得者」かを問わず、確定申告が必要となりますので、ご注意ください。
ネットショップ開業の成功は仕入れにあり
ネットショップの運営は、基本的に「仕入れ」と「販売」で成り立っています。特に仕入れは売れ行きの良し悪しや、利益の多寡にも直結するため極めて重要です。仕入れで失敗しないためには「何」を「どこ」で仕入れるかをよく考える必要があるでしょう。具体的には、商品選定と仕入先選びをしっかりと考える必要がありますので、以下、ポイントをご紹介します。
【商品選定のポイント】
- ・知識のある商品を選ぶ
- 扱う商品に知識がある場合と全くない場合では、前者の方が有利になります。ライバルと比較して細やかな商品選定ができますし、商品の価値をしっかりと伝えることが期待できるからです。
- ・ニッチな商品/オリジナル商品を選ぶ
- 大手ショップに取り扱いのないニッチな商品、1点もののオリジナル商品などを扱うことで、他のネットショップと差別化できる可能性があります。
- ・需要のある商品を選ぶ
- 自分がどれほど好きで深い知識を持つ商品でも、ほとんど需要が見込めない場合には、売上が立たず、事業として成り立たない恐れがあります。商品選定では、需要の見極めも重要です。なお、トレンド商品には多くの需要がありますが、扱うショップも多く、それだけ競合が増えるデメリットがある点に注意してください。
- ・再購入/定期購入する商品を選ぶ
- 飲食物、ファッション、アクセサリー、ペット関連の消耗品などは、ユーザーに気に入ってもらえれば再購入/定期購入が期待できます。このようなリピート性のある商品の取り扱いは、安定したショップ運営に欠かせません。
【仕入先選びのポイント】
商品の仕入先候補は、以下のように多様です。
- メーカーからの直接仕入れ
- 問屋からの仕入れ
- ネット経由での仕入れ
- 海外からの仕入れ
- フリマアプリやネットオークションでの仕入れ
- 個人のクリエイターや店舗からの仕入れ
- 展示会での仕入れ
- ドロップシッピング
中でも「ドロップシッピング」は、業者と提携することであり、在庫を抱えずにネットショップ運営が可能です。ただし、価格面での差別化がしづらいなど、いくつかのデメリットも存在します。いずれにせよ、仕入れ価格、仕入れの手軽さ、信頼性などをトータルに比較して、最適な仕入先を選びましょう。
ネットショップ開業にかかる費用
ネットショップ開業にかかる主な費用は「立ち上げ費用」「運営費用」「広告費」の3つに大別できます。以下、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
- ● 立ち上げ費用
- モールを、自分(自社)で立ち上げる(構築する)場合、数十万円〜数百万円以上かかる可能性があります。ショップのロゴデザインなどは自分で行えば無料ですが、外部発注する場合には別途費用がかかります。さらに、扱う商品によっては営業許可申請費用が必要となり、受講料や手数料などで数万円程度かかる可能性があるので注意しなければなりません。
- ● 運営費用
- 商品の仕入れ費用、商品の製造資金ほか、人件費、テナント代、事務所の水道光熱費、インターネット使用料、ドメイン取得料、サーバーレンタル代、梱包資材費用などが該当。この他、ネットショップ開業に際して機材を購入する際には、パソコン代、プリンター代、カメラ代などが別途かかります。
- ● 広告費
- 自身のSNSやブログなどで告知したり、知り合いにメールなどで告知したりする場合は無料です。 一方、インターネット広告や動画広告を出す場合には、数千円〜数十万円程度の費用がかかる可能性があります。
ネットショップ立ち上げに必要な開業資金
モールを、自分(自社)で立ち上げる(構築する)場合の構築費用の目安は、以下の通りです。
- オープンソース(ネット上で無償公開されているシステムを利用した構築方法):0円~50万円
- パッケージ(販売されているECサイトの構築パッケージを利用した構築方法):数百万円
- フルスクラッチ(オリジナルシステムをはじめから開発する構築方法):数百万円〜1,000万円以上
上記の構築費用に、運営費用や広告費を足したものが、開業資金の目安となります。構築方法によっては多額の開業資金が必要となりますが、「モールへの出店」であれば、初期費用を大幅に抑えることが可能です。例えば、後に詳しくご紹介する「Amazon」「楽天」「BASE」などは、初期費用・月額費用がごく少額、あるいは無料から利用できます。
ネットショップ開業するなら助成金・補助金を活用
ネットショップの開業資金が足りない場合、助成金や補助金を活用する方法があります。以下、ネットショップ開業で活用できる助成金・補助金として「IT導入補助金制度」「小規模事業者持続化補助金」の2つをご紹介します。
- ● IT導入補助金制度
- IT導入補助金制度は、ITツールの導入をサポートする、中小企業や小規模事業者向けの制度です。導入可能なのは認定を受けた「ITツール」で、さらに、認定事業者のサポートのもとで導入が実施されます。
- ● 小規模事業者持続化補助金
- 小規模事業者持続化補助金は「販路開拓」「生産性向上」への取り組みにかかる費用をサポートする、商工会議所が管轄する制度です。経営計画書、補助事業計画書などを提出し、採択された業者に補助が実施されます。
ネットショップ開業ができるおすすめサービスを比較
ネットショップの開業に際しては、それぞれのサービスの特徴を把握して、最適なものを選ぶ必要があります。具体的に把握しておきたい各サービスの特徴は、以下の通りです。
ここからは、上記のポイントを踏まえ、有名モール「Amazon」「楽天」「BASE」について、それぞれの特徴を見ていきましょう。
Amazonでのネットショップ開業
Amazonは「モール型ネットショップ」の代表的な存在。独自の店舗(ストア)ページが登録できる一方、店舗(ストア)ページの作成不要で1商品から登録・販売することも可能です。そんなAmazonには、以下のような特長があります。
- 出店数は17万8,000店舗(2015年時点)
- 2つのプランを提供
- FBA配送代行サービスの利用で「商品の保存、注文、配送、返品」の代行もOK
- 小口出品なら月額固定費が無料
- 世界各国にサービス展開しており、海外向けの販売も可能(Amazonグローバルセリング)
- デザイン変更不可
【利用料金】
楽天でのネットショップ開業
楽天(楽天市場)は、Amazonと並ぶ「モール型ネットショップ」の代表的サービス。Amazonと比較して、デザインのカスタマイズが可能で、メルマガを発行できる点などが強みです。そんな楽天には以下のような特長があります。
- 出店者数は5万店超(2020年6月時点)
- 3つのプランを提供
- 会員ID数は1億1,980万K
- ネット通販全体のシェアのおよそ25%を占める
- メールマガジン配信サービスあり
- デザインの変更が可能
- 全てのプランで初期登録費用(6万円)がかかる
- ストアページ作成必須
【利用料金】
Yahoo!ショッピングでのネットショップ開業
Yahoo!ショッピングは、楽天(楽天市場)やAmazonと同じ「モール型ネットショップ」の1つです。楽天(楽天市場)・Amazonと比較して、初期費用、月額費用、売上ロイヤルティの3つが完全無料である点は特筆すべき点。そんなYahoo!ショッピングには以下のような特長があります。
- 月8,000万人の訪問者数のYahoo! JAPANが運営
- プランは1つのみ
- クレジットカード、銀行振込、コンビニ決済、モバイル支払い(キャリア決済)、paypay残高払い、ゆっくり払い(注文から2ヶ月後までの支払い)の6決済に対応
- クーポン発行可能
- メールマガジン配信サービスあり
- ポイント倍率・価格の自動切換えが設定可能
- CSVアップロード機能
- 無料電話サポートあり
【利用料金】
Shopifyでのネットショップ開業
Shopifyは、日本において2017年よりサービスをスタートした、海外発の「ASP型ネットショップ」です。複数の通貨・言語で販売できるなど、海外販売に向いていると言えるでしょう。そんなShopifyには、以下の特長があります。
- 利用ビジネス数は170万超
- 利用国は175カ国
- 3つのプランを提供
- 商品登録数は全プランで無制限
- クレジットカード不要の無料お試しあり(14日間)
- 日本語のメール・SNS サポートあり
- クーポンコードの発行可能
- 世界133の通貨で販売可能
- 最大20の複数言語で販売可能
- 海外ドメインの設定可能
- Paymentの不正解析機能あり
【利用料金】
BASEなら初期費用・月額費用が無料でネットショップ開業が可能
BASEは、人気タレントの香取慎吾さんを起用したCMでも話題となった「ASP型ネットショップ」の1つです。決済手数料・入金手数料などを除き、初期費用・月額費用が無料の点は大きなポイントと言えるでしょう。そんなBASEには以下のような特長があります。
- ネットショップ開設実績4年連続トップ
- プランは1つのみ
- ショップ開設数150万突破
- 豊富に用意されたショップデザインで簡単にデザイン可
- HTML編集対応
- クレジットカード、銀行振込、コンビニ払い、キャリア、後払い、PayPalなど、各種決済方法に対応した「BASEかんたん決済」
- ショップ開設に際してのサポートあり
- オリジナルドメイン適用OK
- 資金調達サービス(YELL BANK)あり
【利用料金】
ネットショップ開業サービスを利用せずに自社ECサイトを開設する方法
Amazonや楽天などの「モール型ネットショップ」、BASEなどの「ASP型ネットショップ」は、簡単で手軽にネットショップを開業できる点がメリットです。一方、より本格的なネットショップを開業したい場合には「自社ECサイトを開設する」という方法があります。
「モール型ネットショップ」「ASP型ネットショップ」と比較して、費用面、技術・知識面でハードルは高くなりますが、自社ECサイトの開設には、以下のようなメリットがあります。
- ● ショップとしてのカラーや存在感が出せる
- モール型、ASP型のネットショップはサービスそのものの知名度は高い反面、ショップ一つひとつの存在感を出すことは困難です。一方、自社ECサイトは、独立したショップとして、独自のカラーを存分に出すことが可能。ユーザーの認知度やリピート率向上につなげることも期待できます。
- ● 独自のキャンペーン・システムを展開できる
- モール型、ASP型のネットショップでは難しいケースもある、独自のキャンペーンや割引、会員制度、会員ポイントの設定など、ショップ独自のキャンペーン・システムを展開できます。
- ● 手数料が取られない
- モール型、ASP型のネットショップでは、月額使用料、決済手数料、システム利用料などが発生。一方、自社ECサイトの運営においては、そのような手数料は発生せず、高い利益率が期待できます。
自社でネットショップを開業するには
自社でネットショップを開設(構築)するには、モールへの出店とは異なり、以下のような準備が必要となります。
- ・ドメインの取得
- ドメインとはサイトの住所のようなものです。「www.○○.com」「www.△△△.jp」などのwww以降を指します。ネットショップの名前など、ユーザーが出来る限り覚えやすいドメインを取得しましょう。
- ・サーバーのレンタル
- サーバーとはサイト公開に必要な土地のようなものです。自分でサーバーを用意することもできますが、Webやコンピューターの知識がない場合にはサーバーを借りる(レンタルサーバーと契約する)ことが一般的です。
自社でのネットショップ開業でよくある失敗
自社ECサイトは、構築の自由度が非常に高い一方、これが失敗の原因となるケースもあります。
具体的には、「デザインに凝りすぎた結果、サイトの視認性や使い勝手が悪くなり、売上が下がる」といったケースが挙げられます。デザインにこだわるのは悪いことではありませんが、わかりやすさ・使いやすさを犠牲にしないデザインを心がけましょう。
まとめ
ネットショップの開業には様々な方法や必要な準備があり、開業方法に応じて費用も大幅に変わります。規模や予算等に応じて、最適な方法を選ぶことが大切です。今回ご紹介したポイントを押さえて、ご自身に合ったネットショップの開業を目指しましょう。
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